「ニューバランス(NEW BALANCE)」は5月、ブランドを象徴するカラー、グレーに焦点を当てたイベント「Grey Days」を各所で開催中だ。そのハイライトとなるのが、5月17日に東京・代官山の会場で行われる「Celebrating the Premium Grey」だ。本イベントで発表されるビジュアルは、ニューヨークと東京を行き来するファッションディレクターの一ツ山佳子が監修。スタイリングを山王丸久美子が担当した。グレーのグラデーションで表現されるのは、12のトレンドキーワードを元に手掛けられた、華麗なインディペンデント・ウーマンのルック。ランニングからドレスまでの幅広いスタイルを表現した。1980年代にランニングシューズに採用されてから受け継がれている特別な色を、同氏がどのように解釈して表現したのかを掘り下げる。
グレーの奥行きのある濃淡で
ワントーンコーデの幅を広げていく
「ニューバランス」とグレーの永続的なつながりは、1980年代にさかのぼる。都市でのランニングを想定して、コンクリートやアスファルトに似合う色としてランニングシューズに落とし込んだことが始まりだ。今回ビジュアルのスタイリングを監修した一ツ山は、色の特性を生かしながら、12足のルックを提案する。
「グレーは黒と白をつなぐ色で、奥行きがありますよね。実際にスニーカーに落とし込まれた色幅が広かったこともあり、服だけでなく背景まで、同系色のレイヤーをビジュアルにすることにしました。メタリック素材やビッグショルダー、ロング丈のアウターでつくるIラインのシルエットなど、12のトレンドを取り入れながらワントーンコーデの可能性を探求することに」。
芯のある女性像を表現
映画「ワーキング・ガール」が着想源
時代を超えて愛され続けるグレーは、“選択の自由や自己表現、インディペンデンスを表す”とされ、ブランドの核として大切にされている。そのマインドを同氏は、映画「ワーキング・ガール(Working Girl)」(1988年)になぞらえ、女性像のアイデアを膨らませた。
「80年代のニューヨークでパワフルに働く女性たちが頭に浮かびました。スーツをまとった彼女たちの足元はハイヒールだけではありません。作中では、スニーカーを履いて出勤するシーンがあるのですが、スーツを着てストッキングに白いソックスを重ねるスタイルが印象的でした。それを今回のスタイリングでも取り入れています」。
自分らしい基準で意思決定し社会進出に挑んだ80年代の女性たち。そんな彼女たちに敬意を表して、力強い一歩を「ニューバランス」と共に。
12のトレンドで履く「ニューバランス」
一ツ山が語るスタイリングの秘密
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LOOK1(LEFT) MODERN IVY
アイコニックモデルとして親しまれる“574”を足元にセット。「旬なアイビースタイルは、シャツにフーディーを重ねて、サイクリングパンツで肌見せするのがおすすめです。トレンドのヘアバンドも洋服と同じトーンで選び、全身でグレーのレイヤーを意識しました。ジュエリーは大ぶりなデザインにすると、スポーティー過ぎずにまとまります」
LOOK2(RIGHT) WORKING GIRL
クラシックな名作“574”は、サステナブル素材を使用して刷新した。80年代の映画「ワーキング・ガール」のムードを体現。「グッドガールすぎないように、シャツはボタンを開けて、スーツも遊び心があるものにしました。当時の装いに着想を得て、ストッキングに白いソックスをレイヤードしてスニーカーを合わせてみました」
LOOK3(LEFT) LONG I LINE
ブランド最高峰のランニングテクノロジーを駆使し、モダンな表情で仕上げた“WRPD RUNNER”。「丈の長いアウターで作るIラインのシルエットがトレンドに浮上しています。そこで、スエットのセットアップの上に、グレージュのスニーカーと色が響き合う長いトレンチコートを重ねました。季節が深まったら、マキシ丈のチェスターコートなどにしてもいいですね」
LOOK4(RIGHT) DECOLLETE CONSCIOUS
ボリューム感が特徴的な“90/60”は、内側と外側の“N”ロゴのデザインが異なるのもポイント。ナイトアウトのシーンにも洗練されたたたずまいに。「オールインワンで潔くデコルテを肌見せして、マチュアな印象に仕上げました。シルバーのバッグとスニーカーに立体感があるので、Iラインのシルエットが際立ち、シンプルさの中に奥行きが出せます」
LOOK5(LEFT) TRANSPARENT
70年代のレトロ・ランニングシューズに着想を得た“327”は、アッパーに異なる色調のパネルがあしらわれた一足。「トレンドの透け感のある素材使い。フェミニニティーがぐっと際立つので、外し役としてスニーカーを投入しました。そのカラーパレットとリンクする色に気を配ってコーディネートすると全体に深みが出ます」
LOOK6(RIGHT) DENIM ON DENIM
バスケットボールシューズ“550”が復刻。オリジナル同様のレザーアッパーを使用している。「加工感のあるデニムも注目が集まっていますね。ボーイズライクな装いには、耳に大ぶりなジュエリーを。そうすることで、ぐっとスニーカーの存在感が増します。洋服が黒に近いグレーなので、足元は色を抑制すると艶感のあるレザー素材がしっくりきます」
LOOK7(LEFT) SCHOOL UNIFORM
ランニングはもちろん、日常で長時間履くことにも最適な“1080”。「真面目なスクールユニホームをベースに、抜け感をミックスしようと思いました。ジャケットはオーバーサイズで落ち感のあるものを。シャツはタイドアップして、ランニング用のショーツを合わせます。ボリュームのあるスニーカーなので、肌見せしてもバランスが取りやすいです」
LOOK8(RIGHT) FUTURE SPORT
ヌバックとレザー素材を組み合わせた“327”。装いの近未来的な雰囲気をスニーカーがさらに拡張する。「ナイロン素材のブルゾンと光沢感のあるロングスカートの組み合わせ。スニーカーが、全体のフューチャリスティックなムードを盛り上げながら、コーディネートに抜けをもたらしてくれます」
LOOK9(LEFT) META SENSUAL
バスケットボールシューズ“550”の新色が登場。「肌に密着感のあるカットアウトのタンクトップはレイヤードをして、サイドスリットが効いたメタリックのスカートを合わせました。近未来的だけど、官能美を感じるテイストに。スニーカーでアクティブさをひとさじ添えているのもポイントです」
LOOK10(RIGHT) BALLET CORE
2000年代のランニングシューズを象徴する“1906”を再構築した“1906R”。タフなマインドを秘めたバレリーナをイメージした。「速乾性の高い素材使いのTシャツ。そこにバレエのチュチュをほうふつとさせる甘やかなスカートを合わせました。ロマンチックなテンションをスニーカーであえて裏切るテクニックです」
LOOK11(LEFT) GOAP CORE
グレーをまとった“550”を履いて、アクティブかつモードなたたずまいに仕上げた。「ハイキングやアウトドアの要素を取り入れたスタイル。“N”ロゴのアイテムをふんだんに使用しながら、色数を抑えることでスポーティーに寄り過ぎずモードにまとめています。大きな潮流になっている、“クワイエット・アウトドア”の延長線にあるテンションを目指しました」
LOOK12(RIGHT) BIG SHOULDER
約40年前に誕生してから幅広い層に人気のモデル。14代にわたり進化を遂げた“990 v6”を、ハンサムなスーツスタイルで。「上品なセットアップは、定番の“990”のスニーカーでデイリーに楽しんでほしいですね。インナーは、センシュアルなキャミソールにしても。マスキュリンとフェミニンの両方の要素をミックスさせると格段におしゃれ指数がアップします」
PROFILE
雑誌のファッションディレクションやアパレル会社での商品開発業務、アドバイザリー業務、ビジュアルディレクションに携わる。2014年5⽉にファッションコンサルティング&プロダクションカンパニーのSLITS Inc.を設⽴。ジュエリーブランド「ノウハウ(KNOWHOW)」の経営と運営、総合的なクリエイティブディレクションも⼿掛ける。現在はニューヨークと東京の二拠点で活動中
PHOTOS:SEIJI FUJIMORI
STYLING:KUMIKO SANNOMARU
HAIR:YUSUKE MORIOKA(EIGHT PEACE)
MAKEUP:ASAMI TAGUCHI(HOME AGENCY)
EDIT&TEXT:AYANA TAKEUCHI
ニューバランスジャパン お客様相談室
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