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特集 CEO2024 ビューティ編

【ビーエックス 福井敏浩社長】人材育成を目的に「b-ex財団」を設立 美容業界へ恩返し

PROFILE: 福井敏浩/ビーエックス社長

福井敏浩/ビーエックス社長
PROFILE: (ふくい・としひろ)1969年東京都生まれ。米国ボストンの大学で経営を学んだ後、父が起業したモルトベーネに入社。2001年、父の急逝により社長に就任。早稲田大学大学院商学研究科でMBA(ビジネス専攻)を取得。「ロレッタ」「スロウ」「ハニーチェ」などヒット商品を生み出す PHOTO : YOHEI KICHIRAKU

b-exはミッションである「人生に、新しい美の体験を。」のもと、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指している。23年は“ブリーチ革命”“グリーン革命”“Z世代へのアプローチ”を推進しブランド育成を強化。また、経営の柱に掲げるSDGsへの新アクションも続々と行い、“アジアNo.1プロフェッショナル&クリーンビューティー企業グループ”へと着実に歩みを進めている。
(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

3つ目のカラー剤ブランドが
6月に登場する予定

WWDJAPAN(以下、WWD):2023年に注力した取り組みは?

福井敏浩社長(以下、福井):22年から引き続き、ブリーチ剤の拡大を目指す“ブリーチ革命”、ゼロカーボン社会の実現を目指す“グリーン革命”、加えて“Z世代へのアプローチ”の3本柱で事業を推進した。1つ目の柱である“ブリーチ革命”については、21年発売の業務用ブランド「ビーブリーチ(B-BLEACH)」を中心に支持を集め、現在はブリーチ市場でシェア4位を獲得。さらに昨年は、髪の状態に応じてダメージを最小限に抑えるブリーチコントロールを可能にしたローブリーチ&脱染剤の2ウェイ機能搭載の“シークレンザー”を発売。サロンからは「コスパが良い」と評価され好調なスタートをきれている。ハイトーンカラーブームを追い風にブリーチのデザインは多様化し、ブリーチ剤を使い分ける重要性がさらに高まるなどブリーチ市場はさらに拡大の余地がある。

WWD:2つ目の柱の“グリーン革命”について新たな取り組みは。

福井:“グリーン革命”は、台湾発のゼロカーボンビューティを掲げる企業であるオーライトと資本業務提携を結び、環境に配慮した取り組みやノウハウを取り入れた商品開発を進めながら事業領域のさらなる拡大を図るというもの。「オーライト(O'RIGHT)」は直営の有楽町マルイ店をはじめ、京都高島屋S.C.T8店、主要都市でのポップアップオープンなど取り扱い店舗を増やしている。昨年2月からはテラサイクルジャパンと協働し、使用済み容器などをリサイクルする取り組み「b-cycleプログラム」を全国の取り扱いサロン及び有楽町マルイ店で開始している。“アジアNo.1のクリーンビューティーカンパニー”を目指す上でもポテンシャルを秘めた取り組みのため、一歩一歩丁寧な啓蒙活動を行っていく。

WWD:“グリーン革命”をはじめ、社内外への浸透を図るためにさまざまなSDGsアクションを実行している。

福井:“グリーン革命”の取り組みの1つとして22年には、サプライチェーンにおける労働実務のリスク管理をする世界最大プラットフォーム・セデックス(Sedex=Supplier Ethical Data Exchange)に参加する化粧品・日用品業界で発足した「化粧品&日用品業界バイヤー会員セデックスワーキングチーム」に参画。人権課題の改善に取り組んでいるほか、同年に「b-exが目指す未来」に向けて大切にしたいことを4つのbe(なりたい理想像・be=美)で表現し、実現への重要課題と成果目標を発表した。「be kind(みんなにやさしく)」「be borderless(もっとボーダーレスに)」「be healthy(心も体もヘルシーに)」「be smart(まいにちをスマートに)」と設定し、テラサイクルジャパンとのパートナーシップもSDGs推進の一環。そのほか、環境負荷低減として商品の倉庫間転送の手段に鉄道輸送を導入。大阪の拠点まで鉄道を利用することで、営業用貨物車に比べてCO₂排出が10分の1に抑制されるだけでなく、ドライバーの人手不足解消や労働時間軽減などにも貢献している。社員が活躍できる職場作りについては、女性の育児休業復職率100%と高く、これは現状維持を保つ。また、社内で要望が高かったLGBTQ相談窓口設置も推進。併せて、誰もが働きやすい職場環境作りを目指し、就業規則アップデートや男性社員の育児休業取得推進など、ダイバーシティについては24年から本格的に取り組んでいく。

WWD:3つ目の柱の“Z世代へのアプローチ”については。

福井:当社の売り上げをけん引するヘアコスメブランド「ロレッタ(LORETTA)」は発売から15年となり、ブランド愛用者も年齢層が高くなった。そこでZ世代をターゲットにした新ライン“ロレッタ エメ”を昨年4月にローンチ。「髪も心も、お気に入りの自分が続く」をコンセプトに、スタイリングを楽しみながら自分らしさを表現できるようにと、潤い・香り・ヘアスタイルの持続に着目して開発。第1弾は“ナイトトリートメント”や“ミストケアオイル”などのケアアイテムと、“グロスキープスプレー”や“オイルジェル”などスタイリングアイテム、第2弾はトレンドに合わせた質感と持続力を実現し、さらに髪へのなじませなど快適な使い心地を追求したスタイリングアイテムを発売。「ロレッタ」でも売り上げの高い“ジェル”が人気を集めている。

WWD:24年の新たな取り組みは?

福井:“Z世代へのアプローチ”は継続していく。今年は「スロウ(THROW)」「ティントバー(TINTBAR)」に次ぐ3つ目のカラー剤ブランドを6月に登場させる予定だ。新ブランドはZ世代をターゲットに設定。“Year of b-ex Color”をテーマに、3ブランドを通して当社のカラー剤ストーリーを語れるようなマーケティングを進めている。25年の創業50周年に向けてブランドをさらに育成し、売り上げ100億円を目指す。また、新たな取り組みとして「b-ex財団」を立ち上げる予定。例えば金銭面を理由に専門学校に通えない人や、学生のダブルスクール支援など、人材育成につながるサポートを行っていく。長年携わっている美容業界への恩返しを込めた活動になる。

会社概要

ビーエックス
B-EX

1975年に初代社長の福井耀氏がサロン向け美容製品メーカーとしてモルトベーネを創業。80年代後半から一般向け市場に進出し、現在は海外市場にも積極的に展開する。2015年の創業40周年を機に社名をビューティーエクスペリエンスに変更。16年に本社を世田谷に移転し、21年には社名を略称であるb-ex(ビーエックス)に変更した

問い合わせ先
b-ex
03-6757-7767

TEXT:WAKANA NAKADE

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