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特集 CEO2024 ビューティ編

【コージー本舗 小林義典社長】目元に特化したニッチ商品を開発し、全世代の悩みに応える

PROFILE: 小林義典/コージー本舗社長

小林義典/コージー本舗社長
PROFILE: (こばやし・よしのり)1996年入社、副社長に就任。2009年より現職 PHOTO : YUKIE SUGANO

1927年創業のコージー本舗は、47年に日本初のつけまつ毛を商品化して以来、目元に特化した数々のニッチアイテムを世に出し成長を続けてきた。また国内外に自社工場を保有するため、OEM事業、ブランド事業、キャラクター事業の三本柱でビジネスを展開する。他メーカーには真似できない技術開発力を武器に2024年も飛躍を狙う。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

得意の目元アイテムをベースに
指原プロデュース「リリミュウ」も大きく伸長

WWDJAPAN(以下、WWD):23年の商況はどうだったか。

小林義典社長(以下、小林):コロナ禍で流通とのパイプ作りをさらに強化し、23年は各流通に合わせて先行販売や期間限定商品などを展開した。コロナが落ち着いた後の消費者ニーズの変化に対応した商品作りも行い、つけまつ毛や化粧雑貨、ネイルアイテムなどがバランス良く売れて24年3月期は前期比5%増で着地予定だ。中でもブランド誕生3年目を迎えた指原莉乃さんプロデュースのコスメブランド「リリミュウ(RIRIMEW)」が売り上げをけん引する。アイシャドウは幅広い年代に人気で、リップはブランドのアイコンといえるまで成長した。クリスマスコフレは毎年即完売し、「リリミュウ」単体では22年は前年比70%増、23年は同40%増と好調を維持している。

WWD:「リリミュウ」が支持される要因は?

小林:販売店にブランドやわれわれの思いに共感していただいたことが大きい。「プラザ(PLAZA)」と「ロフト(LOFT)」をはじめ、東京と大阪の「アットコスメストア(@COSME STORE)」のフラッグシップショップ、そして直近でスタートした「アインズ&トルペ」数店舗を含めた約300店舗での展開だ。これまでの当社は「誰もが目に届く場所で売る」ことを信条にした商材が多く、多店舗展開が主だった。しかし一方で、ブランド意図を伝えづらいというデメリットもあった。意図しない棚割りや売り場になることもあり、そのため「リリミュウ」は自分たちでしっかりとブランドの世界観を表現できる範囲での展開にした。

WWD:強みである目元商材の商況はどうか。

小林:目はマスクに隠れない部位のため、コロナ禍でもつけまつ毛の売り上げは落ちていない。中でも、理想的な二重まぶたを作ることができるブランド「アイトーク(EYE TALK)」から6月に登場した夜用目元美容液“アイトークセラム”は、保湿美容液成分を配合し、ステンレス製トリプルローラーで心地良くケアができると消費者から好評だ。1980年からのロングセラーを誇り認知度も高い「アイトーク」から登場した初の目元美容液ということで注目も大きかった。

WWD:消費者の目元悩みは変化している?

小林:ある調査によると、日本人は遺伝による二重まぶたや奥二重まぶたが多く、一重まぶたの人は3割ほどといわれている。そのため、当社商品で「一重まぶたを二重まぶたにする」というより、「なりたいまぶたの形に整える」という方向にモノ作りをシフトしている。そして目元の悩みは年代によって異なるため、それぞれの悩みに対応できる商品を展開する。例えば、若年層向けには二重の幅をはっきりさせられて、汗や涙などに強いウォータープルーフ処方など接着力に優れたアイテムを販売している。また年齢が上がるにつれて気になるまぶたの重みやたるみ、くぼみをリフトアップしてエイジングケアもかなうアイテムもそろえる。2月には大人世代に向けた新商品“大人のリフトアップアイテープ”を発売予定で、パッケージには目元の写真を大きく採用するなどまぶた全体をリフトアップする訴求をし、これまで「アイトーク」で獲得できていなかった層を狙う。

WWD:今のアイメイクのトレンドをどう見るか。

小林:ここ数年は韓流アイドルの影響が大きく、つけまつ毛に関しては束感のある商品が支持されている。これにより、当社の主戦場であるバラエティーショップでも韓国ブランドが棚を占める割合が増加した。日本ブランドが店舗奥に配置されていたりと今後の日本メーカーの生き残りにも関わっていると感じる。そんな海外ブランドの露出が高まっている状況で老舗メーカーがアピールするには、タッチポイントを増やすことが大切である。当社は実際に使わないと良さが伝わりにくいニッチ商品が多いため、SNSだけではなくリアルでのタッチポイント増加が重要。そのため、小売店とタッグを組み、店内の目立つ場所でのプロモーションや美容部員を配置して説明するなど協力が大事になる。

WWD:2024年の抱負やコージー本舗を物語る数字は?

小林:24年は、益若つばささんが手掛けるアイメイクブランド「ドーリーウインク(DOLLY WINK)」が15周年を迎えるほか、25年に「アイトーク」45周年、26年にオサムグッズ50周年、そして27年は当社100周年と周年記念が目白押し。これらを盛り上げていくことに加え、商品面では引き続き目元、そしてネイル周りも注力していく。また、トレンド感を取り入れた目元以外のアイテムを展開するブランド「スキューズミー(SQUSE ME)」のサブネームとして23年3月に「シェアロユー(SHARELOU)」を立ち上げ、ヘッドスクラブを販売してヘアケア市場に参入した。当社としても未開拓のカテゴリーであるため、ヘアケア商材にも力を入れていく。海外の売り上げは、現在は全体の1割ほど。海外は質の良い化粧雑貨の取り扱いが少ないため、当社の強みが活かせて伸び代があると考えている。来期の売り上げ目標は2ケタ増だが、まずはアイテムの質を高める点や販売機会損失を防ぐことを重視していく。

会社概要

コージー本舗
KOJI HONPO

1927年に小林幸司氏が頭飾品製造業として創業。47年に日本初のつけまつ毛を商品化したほか、49年に日本初のペンシル型眉墨を発売。54年にコージー本舗に社名を変更。72年に世界初となる人工毛を先細加工したアイラッシュを開発した。化粧品やアイラッシュ、アイメイク用品、ネイルケア用品、ファッション用品の製造販売・輸出入に加え、イラストレーターの原田治氏と共同制作で誕生したキャラクター商品・オサムグッズの版権事業を行う

問い合わせ先
コージー本舗
03-3842-0226

TEXT:WAKANA NAKADE

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