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特集 CEO2024 ビューティ編

【High Link 南木将宏CEO】トライアルから実購買へ、香りのカルチャー創造に挑戦

PROFILE: 南木将宏/High Link 最高経営責任者(CEO)

南木将宏/High Link 最高経営責任者(CEO)
PROFILE: (なんき・まさひろ)2019年に早稲田大学創造理工学部経営システム工学科を卒業。大学在学中にビジネスに興味を持ち、ベンチャー企業2社のインターンを経験。17年にHigh Linkを創業し、19年1月からカラリアを運営する。購買行動データの解析を強みに、香り領域における新たな価値創造と新事業開拓を進める

フレグランスのサブスクリプションサービス「カラリア(COLORIA)」を運営するHigh Link(ハイリンク)は、2019年にサービス開始以来、気軽に香水を試せる場を提供している。会員は累計60万人を超え、フレグランスブランドと消費者をつなぐ“香りのプラットフォーム”として存在感を増している。23年には、“理想の香りと出合う場所”にコンセプトをリニューアルし、より幅広い層にアピールし、市場の活性化を図っている。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

取引先と手を取りながら
香りのプラットフォームへと進化

WWDJAPAN(以下、WWD):23年度は、ブランドへ価値を提供する年だった。

南木将宏High Link最高経営責任者(以下、南木):以前の取引先は商社や卸業者が多かったが、ブランドと直接の取り引きを増やし、取扱いブランド数が22年の3倍になった。ブランドの認知度アップや、香りを知ってもらうきっかけづくりを目的とする国内のニッチや新興ブランドが増えた。

WWD:23年にリニューアルした理由と目的は?

南木:顧客基盤の拡大が目的だ。20~30代の女性がターゲットだったが、より幅広い層の消費者に楽しんでもらえるようにした。女性的なイメージから中性的なイメージに変更し、顧客ターゲットの拡大を狙った。また、取り扱いブランドの世界観が伝わるように品のあるデザインにし、コンセプトを“理想の香りと出合う場所”と定義し直した。

WWD:目に見えない香りをどのようにウェブメディアやSNSで発信し、サービス利用に結びつけているか?

南木:香りをインターネットで伝えるのは難しい。社内にフレグランススペシャリストがいるので、勉強会を開催して香りを伝える精度を上げている。スペシャリスト監修の元、自分の言葉で香りを表現している点がユーザーに刺さっている。SNSは、消費者が求めているものに高確率でヒットするように、データを元に運用している。

WWD:現在の会員数は?会員数を増やすために行っていることは?

南木:昨年3月に累計50万人を超えて、12月に60万人以上になった。強みであるSNS、メディアでの発信とプラットフォーム上での香りとの出合いを最適化させている。独自のレビューや香りのデータと掛け合わせて、ChatGPTを活用したAI香り選びコンシェルジュの機能開発などが代表例だ。データを活用した香りの体験が「カラリア」の強みなので引き続き注力するつもりだ。長く使い続けてもらえるようにホームフレグランスなどのラインアップも増やしている。取引先との共同販促などの新たな施策も会員数の増加に貢献している。

WWD:コロナ前後における売上高の推移は?

南木:創業時から継続的に成長している。会員数も伸び、継続率、客単価も伸長しているので、順調に推移している。

WWD:現在の課題と戦略は?

南木:香水との接点をつくるトライアルのポジショニングは確立できた。トライアルからフルボトル商品の購入をどのように実現するかに挑戦している。また、香水のサブスクから香りのプラットフォームとしての進化をどう実現するかも課題だ。もっと香りが身近なものになるように、香りを楽しむことで日常が彩られるような香りのカルチャーを作っていきたい。香水=「カラリア」から、香り=「カラリア」に進化していくことに注力していく。これらを実現するためには、ブランドと手を取り合っていくことが重要で、引き続きその取り組みを強化していきたい。

WWD:香りのDXをどのように実現するか?

南木:データとAIの活用をしながら、オンラインで香りの最適化を図る。顧客のデータを多く集め、どう活用するか、香りをどう表現するかが肝。香りのデータに関しては、最も多く、質の高いデータを保持していると思う。データとAIを掛け合わせて、さまざまなサービスを提供する。一方で、香りはリアルの体験も大事で、「カラリア」がリアルの香り体験に貢献できているかも重要だ。人流データを活用したOMOの実現に向けたプロジェクトを構想しており、それにより「カラリア」のフレグランス市場への貢献が見えやすくなるのではないかと考える。

WWD:日本のフレグランス市場をどのように分析するか?

南木:20代の女性のユーザーが以前と比べて増加しており、新たな消費者市場に流れてきている。こだわりのある消費者が増えてニッチフレグランスが盛り上がっている。ただ、このトレンドはコロナの影響などもあり一時的である可能性もあるので、根本的にフレグランスを楽しむというカルチャーを作っていく必要がある。

WWD:日本のフレグランス市場が成長するために必要なことは?

南木:香り文化が根付いていないので、消費者が香りを楽しむハードルを下げて、習慣として根付かせる必要がある。

WWD:今後の展望は?

南木:香水のサブスクから、香りのプラットフォームへと進化する。トライアルからフルボトルの購入まで楽しんでもらえるサービスに成長し、市場を盛り上げたい。データの提供や認知獲得など、取引先への価値提供も強化していく。

会社概要

ハイリンク
HIGH LINK

2017年設立。「わくわくで、あらゆる枠を超えていく」をフィロソフィーに掲げ、フレグランスのサブスクリプションサービス「カラリア」を19年にスタート。事業の中核である「香りの定期便」は約130ブランド1000アイテムを取り扱う。現在の会員数は60万人以上と、ユーザーを多く抱えるプラットフォームに成長している

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High Link
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