ファッション
連載 Makuakeが寄り添った応援されるブランドへの挑戦

日本古来の知恵を生かした「ワクラ」サステナブルファッションへの挑戦 Makuakeが寄り添った応援されるブランドVOL.14

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 「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」をビジョンに掲げるマクアケは、ブランドが持つべきパーパスの可視化や、その伝え方、ユーザーとのコミュニケーション作りなどでメーカーに寄り添い、モノづくり企業がモノづくりに集中できる環境整備に一役買っている。ブランドの伴走者、キュレーターが過去の事例を踏まえながら、応援されるブランドの共通点を探る。

 今回お話を伺ったのは、「ワクラ」です。「ワクラ」は、2019年8月に立ち上がったアパレルブランド。「全ては地球から生まれ、全ては地球に還る」というコンセプトのもと、生地、織ネーム、ボタンなどの全てにエシカル素材を利用し、天然繊維が持つ機能性や肌触り、着心地を生かした洋服づくりに取り組んでいます。

 赤松親代表は、文化服装学院を卒業後、約30年にわたりアパレル業界の道を歩んできました。大手アパレル企業で卸の業務やブランド責任者などを経験した後は、社長業を経験したり、OEMなどの製造を行う工場のコンサル業務などにも数多く携わったりと、日本のアパレル・縫製業界を軸にさまざまな経験を積んできました。そうした中で19年初頭、コンサルティング先の1つだった国内の紡績工場の社長から「20年の歳月をかけて消臭性のある紡績糸を開発したけれど、なかなか国内シェアが拡大しない」という相談を受けます。それがきっかけとなり、赤松代表は「こんなに機能性が高いのに知られていないのはもったいない。日本の繊維産業も衰退する中、優れた技術を何か形にして、世界に発信できないか」と思い立ち、同年8月に和(WA)と匠の技(CRAFT)を掛け合わせ、「ワクラ」を創業しました。

 「ワクラ」は、日本の優れた技術や素材の良さと匠の技を継承し、「土に還る服」を開発することで、ごみゼロファッションを目指しています。「ワクラ」を立ち上げる原動力になるほど赤松代表をとりこにした「和紙綿」は、焼却しても有害物質が発生せずに生分解され、最後は土に還るという特徴を持つほか、「抗菌」「消臭」「吸水速乾」など自然由来の機能性にも優れています。今回この「和紙綿」を使い、日本の法被(はっぴ)を現代風にアレンジした「和紙綿羽織」のプロジェクトを「マクアケ」で実施したところ、立ち上げから3年ほどの個人規模のブランドでありながら、合計559万円の応援購入を集めるなど、成功をおさめました。「ワクラ」の「和紙綿羽織」が、多くの人から共感を集めたポイントは大きく3つあります。

 1つめは「“サステナブル”だけではないモノづくり」にあります。昨今、カーボンニュートラルの実現に向けて「サステナブル」や「SDGs」の重要性が高まり、あらゆる企業が地球環境を意識した商品づくりに取り組んでいます。アパレル業界でも、サステナブルを意識した洋服づくりは大切ですが、当然、素材がサステナブルというだけで生活者は「この商品が欲しい」とは思いません。大事なのは「これを着てみたい」と思ってもらえるような格好よさ・デザイン性です。

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