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バーニーズには恩がある エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

バーニーズには恩がある

 少しセンチメンタルなコラムになりますが20年前、「WWDジャパン」編集部に入った私が最初に連載を担当させていただいたのが、伊勢丹を退社したばかりの故・藤巻幸大氏でした。右も左も分からぬ小娘が6年間、毎月原稿を“取り立て”させていただいた過去にただただ恐縮するばかりですが、元祖カリスマバイヤーたる藤巻氏がカリスマバイヤーとして活躍できた所以は、伊勢丹からバーニーズ ジャパンに出向していたとき、本国のバーニーズチームと協業する中でファッションビジネスの真髄を体得した経験があるからに間違いありません。

 その藤巻氏と同じタイミング、バーニーズ ジャパン立ち上げ時に伊勢丹から出向して社長を務めたのが、元グッチ ジャパン社長でマイケル・コース ジャパンの社長も務めた田代俊明氏ですし、有賀昌男エルメスジャポン社長や小田切賢太郎バーバリー・ジャパン社長も当時のメンバーです。このほかにも現在ファーストリテイリングでデザイナーとの協業を取り仕切る勝田幸宏グループ執行役員もバーニーズ ジャパン出身者です。1号店である新宿店のストアデザインはピーター・マリノ(Peter Marino)でした!

 本国バーニーズのメンバーは本気で日本のメンバーを“教育”していたと思いますし、日本のメンバーもそれを受け止め、自らの糧にするだけの若く柔軟な強者ぞろいでした。 上に挙げたのは私が知る限りでもごく一部であり、まだまだ直接的/間接的にバーニーズの恩恵を受けたと感じている人はこの業界内に多数といるはずです。

 藤巻氏が伊勢丹に戻って立ち上げた自主編集売り場「リ・スタイル」をはじめ、今はなくなっていますが、新人デザイナーのインキュベーション企画「解放区」やオリジナルブランド「BPQC」も“ファッションの伊勢丹”をイメージ付けるのに一役買っただけでなく、優秀な人材が輩出するのに大いに貢献しました。また、「(日本またはアメリカの)バーニーズが最初に買い付けてくれた」ことで世に出ることができたブランドも世界中に多々あることでしょう。それだけ影響力が大きかったのです、バーニーズ ニューヨーク。

 かく言う私も藤巻氏とその後田代氏の連載を担当し、さまざまなエピソードをうかがったことでファッションビジネスの奥深さを知ることができたと思っています。

 その源泉たる米バーニーズ ニューヨークが存続の危機というのは、たとえジャパン社に直接影響がないにしてもやはりなんとも言えず残念です。本当に。

 時代を超えて輝き続けるのは至難の業。しかもすでに1度破たんしているし。それでもやはりバーニーズの再起を願わずにはいられません。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

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