ファッション

「寒い時は暖かく、暑い時は涼しい」メリノウールの特性を引き出すには 新潟県発の匠の技

「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」をビジョンに掲げるマクアケによる、“アタラシイものや体験の応援購入サービス”の「マクアケ」には、伝統技術を現代的なアイテムに活用したプロジェクトが数多い。この連載では、全国各地の匠の技に注目。実行者の思いとともに、匠の技をどう活用し、どう訴求しているのかを考える。目指すは、47都道府県の匠の技の探訪だ。今回は、新潟県を訪れた。


今回の技術は…

メリノウールの超ハイゲージニットT

新潟県五泉市は日本有数のニットの産地。「エル アルト ハイク」のメリノウールニットTシャツは、そんな五泉市で1着ずつ丁ねいに編み上げられました。

「エル アルト ハイク」はカシミヤに特化したブランド「エル アルト」から派生したアウトドアブランドで、9月にデビューを控えています。手掛けるのは、東京を拠点にするビープラン。同社は繊維商社出身で25年以上ニットに携わっている安倍啓輔代表が2015年に設立しました。素材や工場のモノ作りに造詣が深く、標高が高い土地に暮らすヤギのカシミヤなど、天然素材の機能を生かした商品を開発してきました。

「登山中は体感温度が30度近くまで上がりますが、止まると一気に0度まで下がる。寒暖差の激しさに耐えられるのがメリノウールなんです」と安倍代表。メリノウールは冬の防寒着のイメージが強いですが、正確には“寒い時は暖かく、暑い時は涼しい”調温・調湿素材で、地肌に着ると汗を吸ってサラッとした肌触りが続くのが魅力。これらの機能を存分に発揮するには、できるだけ薄く編む必要がありました。

そこで採用したのが、ニット業界で最も目の細かい18ゲージ。約1mm間隔で針が並びます。そのため編むのが難しく、時間もかかるため、ウィメンズの一部商品にしか使われていませんでした。工場での需要は特定の時期のみある状態でした。

安倍代表は、20年以上の付き合いがある五泉の工場と組み、防縮加工を施したスーパーエクストラファインメリノウール100%を18ゲージで編み上げました。この工場の社長は、繊維商社時代に五泉で暮らしたときに知り合った旧知の仲で、2人の関係性もモノ作りを支えています。

「完全無縫製立体編み」で編んだため、ニットTシャツには一切の縫製がありません。とりわけ苦心したのは、リュックやバッグの持ち手で擦れやすい肩部、汚れやすい襟や袖口を補強するポリエステルと編んでつなぐこと。糸の太さもテンションも異なる素材を一体化させる工程では、シワや糸切れを防ぐため、機械の設定を1カ所ずつ調整し直しました。編み地も透け感を確かめながら6種類以上を試作。安倍代表自ら雪山に登り、商品を試しながら改良を重ねました。

「洋服はファッションビジネスからライフスタイルビジネスへ変わってきている」と安倍代表。限られたシーンで着る1着ではなく、生活や趣味の相棒となるモノ作りを目指します。キャップやグローブ、ミッドレイヤーやベースレイヤーの拡充にも意欲をみせます。

一方、地味な色に偏りがちなアウトドアウエアに、彩りを添えたいという思いもあります。「アウトドアでメリノウールといえば『エル アルト ハイク』と言われる存在になりたい」と、安倍代表はカラフルな色使いでこの分野をリードしていく考えです。

メリノウールニットTシャツの
4つのポイント

1.編み目が最も細かい
18ゲージのニット

18ゲージ(約1mm間隔)で編み上げ、長袖のMサイズで160gという圧倒的な軽さを実現しました。18ゲージは最も細かいニット生地と言われており、同社の従来のハイゲージセーターと比べても6割の重さで、素肌にまとえばまるで体毛をまとったような着心地。

2.新潟の職人による
立体完全無縫製

元々肩の頂点に縫い代がないラグラン袖ですが、「完全無縫製立体編み」で編んだため、ニットTシャツには一切の縫製がなく、リュックを背負ったり、トートバッグを肩から掛けたりするときも、違和感を与えません。新潟の職人が、1着に2時間をかけて編んでいます。

3.異素材を編みでつなぐ
特殊技術

バッグで擦れやすい肩部、汚れやすい襟や袖口には、強化素材として国産ポリエステルを当てました。もちろんポリエステルとメリノウールの境目も、編んでつなぎました。ニットTシャツのために生み出した、独自技術です。

4.天然の高性能素材
「メリノウール」

メリノウールはチクチクしないだけでなく、調温性と調湿性に優れています。外気温が高ければ涼しく、低ければ温かい。加えて、抗菌・防臭機能も備わっていると言われています。そのため、長時間シャワーを浴びられない登山家から重宝されています。

新潟発!
応援購入が高額なプロジェクト3選

“アタラシイものや体験の応援購入サービス”の「マクアケ」で大きな反響が寄せられた新潟県発のプロジェクトを3つ紹介する。

PICK UP 1 : 応援購入総額1878万5133円

あの「給食缶ミニ」が角型になって新登場!
直火&IH対応の保存容器 仔犬印 燕三条

新潟県燕三条に本社がある本間製作所が、プロ用の調理器具ブランド「仔犬印」から角型の保存容器を発売した。調理・保存・加熱・持ち運びが1つで完結する。直火でもIHでも調理ができ、シリコンパッキンと4つの留め具で汁物やニオイを漏らさず保存できる。

PICK UP 2 : 応援購入総額1690万9200円

“脱力枕” 自然と胸が開き、
眠っている間中、呼吸がスムーズになる枕

疲労回復専用ジムのゼロジムと創業150年を迎えた寝具メーカーの越後ふとんが共同開発した“脱力まくら”。胸の圧迫を解放し、体を脱力させる独自構造が特徴。「マクアケ」では目標を大きく上回る反響を呼んだ。

PICK UP 3 : 応援購入総額1213万3870円

【中田英寿監修】日本酒を愛するあなたへ。
SUWADA Sake ボトルオープナー

爪切りで知られる燕三条の鍛冶ブランドの諏訪田製作所が、元サッカー日本代表の中田英寿監修のもと開発した日本酒用オープナー。どのような栓でも、ソムリエナイフのように力を入れずに開けられる。職人の手磨きによる凛としたたたずまいも特徴。

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