「グッチ(GUCCI)」の停滞に向き合っているケリング(KERING)のルカ・デ・メオ(Luca de Meo)最高経営責任者(CEO)は16日(現地時間)、フィレンツェで事業再建計画を発表した。これによると、同社は「中期的に」経常利益率を現在の2倍以上の22%程度の水準まで引き上げることを目指す模様。収益性の向上は「より強力なブランド構成、集中的な事業遂行、そしてグループ全体における厳格な事業運営」で達成するとしているが、達成の時期については言及を避けた。
デ・メオCEOは、「リコンケリング(ReconKering. ケリングの再構築)」と題した戦略を発表した。これによると計画は3つのフェーズに分かれている。最初は2026年末までに構造改革を完了し、28年末までには持続可能な成長を目指す再建フェーズに移行、最後は30年末までに「次世代ラグジュアリーにおけるリーディングカンパニーとしての地位」を取り戻すことを目指している。「リコンケリングは、ラグジュアリーの未来像を受け入れつつ、ケリング独自の強みを再認識するための取り組み。真のラグジュアリーこそが私たちの使命であり、次世代ラグジュアリーこそが私たちの目指す未来だ」とした。
具体的には、まず抜本的なリストラの一環として、年内に少なくとも100店舗を閉鎖する。このリストラでは、「マックイーン(McQUEEN)」を除く全ブランドの成長回復と利益率改善を目指す。さらには最高デジタル・AI・IT責任者の任命、ハイジュエリー専門部署の創設などに取り組む。
プレタポルテからジュエリー、
アイウエアまで各ブランドの計画は?
こうした計画に加えて、各ブランドについては、次のような進化を図るとしている。
「グッチ(GUCCI)」:「グッチ」らしさを象徴する要素に焦点を絞り、明確なクリエイティブ・ディレクション、規律あるコード、そして文化的影響力を持つ活性化されたヘリテージを基盤に魅力を再燃させる。レザーグッズの強化に始まり、より一貫性のあるプレタポルテ、シューズ、ジュエリーに至るまで、あらゆるカテゴリーで製品構成を再構築し、より高い品質基準で支えている。
「サンローラン(SAINT LAURENT)」:確固たるファッションの権威、明確なコードそして非常に魅力的なシルエットをさらに際立たせる。ブランドの表現を多様化させ、デイウエアを拡充してメンズラインを強化、レザーグッズをより洗練されたものにするとともに、特にアジアに重点を置く。
「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA):控えめさ、抑制、そして自信に根ざした個性的なラグジュアリーのビジョンを拡大しつつ、妥協のない本質を維持。グループにおける真のラグジュアリーの象徴としての役割を強化し、時代を超越したクラフトマンシップ、耐久性、文化的深み、そして長期的な価値創造に根ざした哲学を表現。レザーグッズにとどまらず、ウィメンズとメンズのトータルワードローブへとブランドの表現を広げ、象徴的なイントレチャートの魅力を高め、主要市場における文化的認知度を深める。
「バレンシアガ(BALENCIAGA)」:クチュールの卓越した技術と文化的意義を融合させた独自の強みを活かし、イノベーションの原動力としての役割、次世代のラグジュアリー消費者に向けた重要な架け橋としての役割を強化する。ウィメンズラインの規模拡大とレザーグッズの強化によってバランスを取り戻すことに重点を置き、メンズビジネスの強固な基盤をさらに発展させ、アジア以外にも地理的なプレゼンスを拡大する。
「マックイーン」:メゾンのシャープな英国仕立てのアイデンティティに再び焦点を当て、ウィメンズのプレタポルテ、テーラリング、イブニングウエアを核とし、一貫性のあるレザーグッズやシューズ、アクセサリーでそれを支える。ブランドは、よりスリムで規律のあるモデルへと再構築し、コレクションの絞り込み。適切な規模の小売ネットワークと組織へと移行する。
「ブリオーニ(BRIONI)」:イタリアのサルトリアにおけるリーディングブランドとしての地位を再確認し、比類なき職人技、マエストリアテーラリング、そしてますます洗練されるライフスタイルワードローブを通して、超高級ブランドとしての地位を強化。厳選された特別な体験を通してエクスクルーシブ性を維持するとともに、カスタマイズとフィット感における卓越した技術で、地位を確固たるものにする。
ケリング・ジュエリー:「ブシュロン(BOUCHERON)」「ポメラート(POMELLATO)」「ドド(DODO)「キーリン(QEELIN)」を統一したジュエリー事業のもとに統合することで、各メゾンのクリエイティブなアイデンティティを強化すると同時に、規模と一貫性の向上を実現。ジュエリーメゾンの成長を加速させるだけでなく、ファッションハウスにとっても大きな可能性を切り開く。
ケリング・アイウエア:15ブランドのポートフォリオと強力な産業力およびデザイン力を基盤とした統合型ラグジュアリーアイウエアプラットフォームを推進し、ラグジュアリースマートアイウエアのリーダーを目指す。グーグルとのパートナーシップのもと、コネクテッドアイウエアを真のラグジュアリー体験へと高め、各メゾンにおけるクラフツマンシップ、デザインにおけるリーダーシップ、そして有意義な機能性を融合させる。
ケリング・ネクスト:新たな価値創造領域にアプローチすることでラグジュアリーの境界を拡大。「ジノリ1735 (GINORI 1735)」を文化的なデザインメゾンとして強化することから、ロレアルとの戦略的パートナーシップを通じてブランドのビューティにおける潜在能力を最大限に引き出すこと、そしてロンジェビティ&ウェルネス分野における長期的な機会を創出することまで、多岐にわたる。
アナリストからは
厳しい評価も
ケリングの2026年1〜3月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比6.4%減の35億6800万ユーロ(約6636億円)だった。なお、現地通貨および既存店ベースでは横ばい。地域別での売上高は、北米が同9%増だったものの、西欧は同7%減、日本を除くアジア太平洋地域は同4%減、日本は同3%減だった。苦戦する「グッチ」の売上高は同14.3%減の13億4700万ユーロ(約2505億円)と市場予想を下回っている。
これを受けてアナリストからは、「(デムナによる)新たなクリエイティブ・ディレクションによる効果は、投資家が当初期待していたよりも現れにくい状況だ」「事業再編は以前に比べて複雑化し、時間も費用もかさみ、株式市場への適合性も著しく低下している」などの意見が相次いでいる。