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特集 CEO2026

【ジェイドジャパン 田村純一社長】香りと美容室の融合が生む可能性を国内外に拡張

PROFILE: 田村純一/社長

田村純一/社長
PROFILE: (たむら・じゅんいち)日本美容専門学校卒業後、美容師免許取得。約5年間のサロン勤務中に、製品やその売り方の工夫によってサロンの売り上げを上げることに興味を持ったことから、サロン専売品を扱うディーラーに転職。美容業界の仕組みを学ぶ。その後、大手美容総合メーカーや外資系美容メーカーに勤務し、美容師としての知見と技術を生かした営業力で好成績を残す。独立し、22年4月にジェイドジャパン設立。香りにフォーカスした製品で、サロン業界に新風を吹き込む PHOTO : KOJI SHIMAMURA

ジェイドジャパンが展開する「ロア ザ オイル(LOA THE OIL)」は、2023年5月の発売以来、約2年半で累計販売本数400万本を突破した。機能性訴求が主流だったサロン専売ヘアオイル市場において「香り」の切り口で支持を拡大し、国内外で導入実績を伸ばしている。26年は百貨店への常設出店にも踏み切るなど新たな販路を開拓し、サロンビジネスの可能性を広げる。

美容師に売り上げと利益を残し
美容業界を活性化

WWD:「ロア ザ オイル」の勢いが止まらない。

田村純一社長(以下、田村):25年は導入実績が昨年の約2倍の2万5000軒、全社売上高は前年の3倍に達した。美容師は技術のプロであって、必ずしも全員が販売を得意としているわけではないが、香りは口頭での説明なしにお客さまに伝えることができる。また、香り特化のヘアオイルは髪質や髪色を問わず、5000~6000円前後の価格帯もギフト需要にマッチしており、美容室だけでなく理容室でも好調に推移している。

WWD:海外でも順調に売り上げを伸ばしている。

田村:25年はアジアに拠点をつくることに注力し、韓国、台湾、フィリピンの3拠点で売り上げをつくることができた。最も手応えを感じたのは台湾。現地でまだ認知を獲得していなかったが、初月に約1万5000本売れた。ローンチパーティーを実施し、台湾のタレントやインフルエンサー、美容師をお呼びし、高感度層にリーチしたことが奏功した。フィリピンは三越で販売しているが、26年には常設店ができる予定だ。タイと中国でもサロン導入を開始する予定で、26年は海外ビジネスを成長させたい。

WWD:日本国内の販路戦略は。

田村:国内でも百貨店で常設店を設ける。百貨店への導入でブランド価値の向上を図り、美容師、ひいては美容業界全体の既成概念を崩して新たな価値創出につなげたい。昨年、百貨店で15回のポップアップを実施した。美容師を招待し、お客さまにヘアオイルの香りを体験してもらったが、同時に百貨店の顧客と美容師がつながり、送客につながればという狙いもあった。喜びの声を多数いただいたため、26年はさらにこういった場を増やしたい。

WWD:26年の新製品発売予定は?

田村:2月に全9種の香水を発売し、5月には「ロア ザ オイル」のプレミアムシリーズを発売する。サロンプロダクトのヘアオイルという市場において、われわれの製品単価は5000~6000円と高単価だが、百貨店で展開すると考えると、低価格な設計だ。今までサロンプロフェッショナルブランドが百貨店に進出していない理由の一つに価格があると考えており、このハードルを1万円超えの香水やプレミアムシリーズで対応していく。

WWD:香水はブランドとの親和性が高い。

田村:実は最初からずっと香水が作りたかった。というのも、美容師はスタイリングなどの“形”の部分、カラーなどの“色”の部分は十二分に提供している中で、空いている要素が香りだった。美容業界の専売品は単価がとても低い。美容師の成り手も少なくなっていき、25年も美容室の倒産軒数が過去最高を更新した。技術に対しての単価ももちろんだが、滞在時間の中で美容師が単価を上げる選択肢を増やしていかないと厳しい。香水は1万5000~6000円ほどで販売する予定だ。美容師に売り上げと利益をしっかりと残し、美容業界の活性化につなげたい。美容師が香水をつけてそこからお客さまに気になるきっかけをつくってもらうのも、ヘアオイルと混ぜて使ってもらうのもよし。カットケープなどにかけてもらうのもよし。サロン自体の価値を香りという膜でさらに高めることができる。

WWD:組織体制については。

田村:26年は新たに5人が加わる。現在、営業は約11人と非常に少数精鋭だ。1人当たりの売り上げは3億円超と業界の中でも高い水準にある。少数体制にこだわる理由は、1人当たりの生産性を高め、結果として給与水準を引き上げるためだ。美容業界は報酬が決して高いとは言えない構造にあるが、われわれは先陣を切ってその状況を打破したい。また、教育コストのかかる商材を増やさず、サンプルとオンライン説明で導入できるプロダクト設計にしているため、営業負担を抑えられる。こうした点も採用面での強みになっている。

WWD:今後の課題は。

田村:ブランドポートフォリオの分散だ。現状は「ロア ザ オイル」への依存度が高い。将来的なリスクを見据え、今年から来年にかけて新ブランドを投入し、事業全体の安定性と成長性を高めていきたい。プロフェッショナル向けの美容業界は大手企業が多く、われわれのような存在は珍しい。サロンにとってもメリットがある取り組みを率先して進め、業界全体をより良くしていきたい。

個人的に今注目している人

ファーストリテイリング
代表取締役会長兼社長 柳井正さん

経営者になるにあたり、柳井さんの書籍は数多く読んできた。なかでも「経営者になるためのノート」は自分にとってのバイブル。自分が中学生の頃から「ユニクロ」は存在していたが、その後の成長を自分の人生と重ねながら見てきたことで、企業としての凄みをよりリアルに感じてきた。ブランドとして目指す姿を一切ブレさせることなく、理念を現場レベルまで具体的に落とし込み、実行し続けている。その姿勢に、強くひかれている。会社がさらに成長した時、柳井さんご本人に直接お話しできる機会があればうれしい。

COMPANY DATA
ジェイドジャパン

2022年4月設立。サロンやショールームに設置するディフューザーの販売からスタートし、サロン製品などを手掛ける。23年5月に髪だけでなく全身に使用できる「ロア ザ オイル」が誕生。こだわったパフュームレベルの香りや香りのレイヤードの提案、スタイリッシュなパッケージなどが話題を集め、大ヒット製品に。「WWDBEAUTY」の25年ヘアサロン版ベストコスメでは2部門入賞した。24年3月に“ロア ザ オイル ケア”、同年12月に“ロア ザ バーム”を発売し、現在は68SKUを展開する


問い合わせ先
ジェイドジャパン
03-6804-2743