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特集 CEO2026

【ビームス 設楽洋社長】50周年の集大成、 LA出店で花道を飾る

PROFILE: 設楽洋/社長

設楽洋/社長
PROFILE: (したら・よう)1951年4月13日生まれ。東京都新宿区出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、75年に電通入社。76年2月に家業の新光の新規事業として「ビームス(BEAMS)」1号店を原宿に出店。83年電通を退社。87年ビームスクリエイティブ、88年にビームスの代表取締役に就任。2011年に持株会社化し、ビームスホールディングス社長に PHOTO : KAZUO YOSHIDA

1976年2月に原宿店をオープンしたビームスが創業50周年イヤーを迎える。2026年3月から27年2月にかけて、別注品やイベントなどさまざまな仕掛けを行うとともに、次世代への継承に向けて理念の浸透や基盤固めも進めていく。その原動力はBtoC(小売り)、BtoB、グローバルの3本柱と人施策、そして「愛」と「ハッピー」だ。

人施策でスター社員が続々育つ

WWD:2025年に印象的だった出来事は?

設楽洋社長(以下、設楽):やはり高市政権の誕生だ。初の女性総理大臣による新時代への期待が高まる一方で、中国問題や米トランプ政権などの課題はわれわれ業界にとっても大きな荒波と感じている。明るい話題は大谷翔平選手の活躍だ。「日本といえばビームス」を目指しているが、大谷翔平はまさに日本を代表する存在。成績だけでなく人間性や考え方など日本人としてのいい部分を世界に披露してくれた。

WWD:ビームスにとっての25年は?

設楽:50周年を迎えるにあたり、24年に新ビジョン「Happy Life Solution Communities」を発表した。次の50年の道筋をつけ、自分自身が次に引き継ぐため、セレクトショップからカルチャーショップへシフトし、さらにはハッピーなコミュニティーを構築することを目的とした集団になり、その先には「日本にはビームスがある」という状態をつくってほしいと伝えてきた。それが着実に浸透しつつある。

WWD:スター集団をつくる人施策も進化している。

設楽:ダウンのコレクターでビンテージアウトドア好きとして業界内で知られていたスタッフが、著書の出版を機にNYやポートランド、ロンドンやドイツなどで講演会や展覧会をしたり学術研究機関に招かれたりなど大活躍している。ビームスが個人の感性や専門性を生かして「この指とまれ」と共感する人々を集めるコミュニティー集団であることをグローバルに示した好事例だ。テニス好きスタッフによる卸専門ブランド「セットイン」のように、今後もさまざまなスター社員が新しい魅力や事業をつくっていくだろう。

WWD:成長をけん引したレーベルは?

設楽:5つある。筆頭が「ビームス」セクションだ。MDの緻密化や、店舗を巻き込みお客さまやスタッフの声を生かした商品開発体制を強化。海外卸も従来は「ビームス プラス(BEAMS PLUS)」が中心だったが、「ビームス」もイギリス、カナダ、ドイツで取引先を吟味してブランディングを図った。海外展開を前提に24年に始動したハイレベルな工場や職人技を生かしたプレミアムライン「the A(ジ エー)」も非常に好調だ。2つ目は「ビームス プラス」だ。もともと海外でも強かったが、ブランドコラボや卸先との太い関係構築などによりグローバルでの認知が拡大した。新潟などで技術継承や産地活性化の支援を行いながらモノ作りもクオリティーアップできた。大阪の新店にも期待している。3つ目は「ビームス ボーイ(BEAMS BOY)」だ。ハイクオリティーラインの“ネイビータグ”を新設し初速が非常に好調だ。「アークテリクス(ARC'TERYX)」のエクスクルーシブ商品やイベントも国内外のファンやボーイのコミュニティーにウケた。4つ目がウィメンズドレス。「デミルクス ビームス(DEMI-LUXE BEAMS)」と「エッフェ ビームス(EFFE BEAMS)」が合同でYouTubeを開設して8カ月で登録者が1万人を超え、売り上げとスター候補生づくりにつながっている。メンズ色が強い会社だが、ウィメンズ本部を新設して女性ヘッドを立てて施策を強化したことが奏功している。 5つ目が「ビームス ジャパン(BEAMS JAPAN)」だ。BtoBやグローバルといった他事業との掛け合わせで独自性も高まり、アメリカやパリでのポップアップも好調だった。

WWD:26年&50周年スローガン「AIより愛 Ready,Happy,Go!」に込めた思いは?

設楽:AI全盛時代になっても最後は人。人肌や体温が大事になる。正解は教えてくれてもAIはハグしてくれない。人施策を進め、ハッピーコミュニティーを追求し、店は会いに行ける劇場として磨き上げる。50周年で、自分の遺伝子は愛だよ、温もりだよ、と改めて浸透させていきたい。どちらが成功するか、もうかるか、早く行けるかなら過去のデータを積み重ねてAIが判断したほうが正確だ。だけど、回り道をしたからこそ見られる花がある。今後もビームスにとって大切なこと。うちにはビームス愛が強い人間が多い。趣味趣向やベクトルは違っても、共通点は、愛だ。

WWD:50周年は何を仕掛ける?

設楽:250以上の大小の別注リストがある。グローバルでのイベントもあり面白い年になる。アジアは出店、欧米は卸というグローバルの基本方針は変わらないが、米国ロサンゼルスや中東にも出店する。ロスは想定外のことが続き計画が遅れているが、6.5坪のアメリカンライフショップから始めて、50周年で故郷に錦を飾る。来年退任する自分の花道として夢を実現させたい。次の経営陣やスタッフに道を開き、「日本といえばビームス」と言われる存在を目指してもらうための布石を打つ。

個人的に今注目している人

天才AIエンジニア 須藤未瑳樹さん

10代の天才AIエンジニアの須藤未瑳樹君。ZeroDemo代表。YouTuberのヒカル君のReZARDの企画・制作などを行う入江巨之(代表取締役CEO)さん率いるサムライパートナーズでも活躍中。彼が作ったホテル用のAIエージェントを見て「すごい!こういう天才が伸びていく。時代だな」と。当社でも仕事を依頼しており、共にAIの可能性にも挑戦していく。

COMPANY DATA
ビームス

1976年、段ボールを中心に扱う家業のパッケージ会社、新光紙器(現新光)がオイルショック直後に新事業「ビームス」を立ち上げる。82年ビームス設立。87年ビームスクリエイティブを設立。2011年にビームスホールディングス設立。30以上レーベルを展開し、25年2期の売上高は、914億円。期末店舗数は175店舗(うち、海外21店舗)。台湾と英国、米国に現地法人を構える。従業員は2300人

TEXT : KUMI MATSUSHITA

問い合わせ先
ビームス
https://support.beams.co.jp/s/#beamsCONTACT