PROFILE: NIGO®/「ヒューマンメイド」クリエイティブ・ディレクター

「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」というブランドが始まって15年余り。2011年に「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE®)」を手掛けるノーウェアを2億3000万円で売却したNIGO®が再輝を図ったブランドは、加速度的成長を遂げて今に至っている。直近の年商142億円(2026年1月期)という数字は、すでにノーウェアのピーク(06〜07年頃)の約75億円の倍近く。昨年には念願の上場を果たし、今年オープンしたタイ・バンコクの旗艦店には数千人が並び、間もなく原宿にも世界最大級のストアをオープンする予定など、加速度は増すばかりだ。HUMAN MADEの前身となる企業を創業して「ヒューマンメイド」のクリエイティブ・ディレクターを務めるNIGO®は今、何を思っているのだろうか?上場の先に見据える世界について話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2026年9月7日号からの抜粋です)
WWD:HUMAN MADEという企業、「ヒューマンメイド」というブランドの現状をどう捉えている?「WWDJAPAN」は、「成功」と捉えている。
NIGO®「ヒューマンメイド」創業者兼クリエイティブ・ディレクター(以下、NIGO®):「成功か?」と言われると、難しい。上場も通過点だと思っていて、やっぱり“その先”に行きたい。上場してまだ1年も経っていないけれど、今はみんな少し保守的というか、固くなっている気がする。もちろん昔とは違う環境だが、やっぱり攻めの姿勢というか、みんなをいい意味で裏切り続けることが「ヒューマンメイド」の面白さだと思うが、それをより大きなレベル感でやっていくには課題もある。
WWD:どんな課題がある?
NIGO®:例えば僕への依存。「僕がいなくなったら、どうするのか?」は時間をかけて解決しなければいけないけれど、僕が作った世界観だから、ディレクションをしていきながらイズムの継承も行わないとならない。僕が手掛けていた頃の「ア ベイシング エイプ®」とは、今は全く違うモノ。ただブランドとして順調に成長しているのであれば、それも一つの形なのかもしれない。
WWD:課題を感じるようになったのは、上場が理由?
NIGO®:チームプレイなので、そもそも僕が「これは面白い」と思っても、実現できないことはある。自分が全部正しいとは思っていない。失敗もしてきているが、その学びが今につながっていると思う。ある程度ワンマンでやっていた昔から、モノ作りのアイデアは出るけれど、ビジネスでのアイデアは(それに比べると)出てこなかったから。今はもう、経営は基本的にノータッチ。僕はモノ作りを見たり、出店する店舗の内装を決めたりとクリエイティブなことに特化している。
経験が長いから、
ここまでは大変じゃなかった
WWD:改めて「ヒューマンメイド」でのモノ作りとは?いろんなことに造詣の深いNIGO®さんが、膨大な知識をエディットしながら活用してモノ作りをしているから、「本流を感じつつも今っぽい」とか、「歴史を感じるのにストリート」というクリエイションに結実している印象を持っている。
NIGO®:そう言えば、そう。「今はこれかな?」とか「80年代を持ってこようか?50年代にしようか?」みたいなセレクトの感覚は、もちろん簡単じゃないし早すぎることもあるけれど、もう経験が長いから。だからある意味「ヒューマンメイド」も、ここまで来るのはそんなに大変じゃなかった。最初から上場しようと決めていたので、ある程度の規模感になったら(ビジネスとクリエイションは)分けるべきだと思っていた。
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