ファッション

もはやアート!な匠の技がジャケットに 新ブランド「ナオキ R」に迫る

 「日本最高峰の職人たちと作り上げた、ファッションとアートを融合させた大人の遊び服」をテーマにしたメンズブランド「ナオキ R(NAOKI-R)」が9月、公式ウェブサイトで2016‐17年秋冬コレクションの販売を開始した。都内のアトリエを拠点に、ハンドメイドにこだわったテーラードスーツを手掛けてきたデザイナーの横川直樹が、3月にファーストコレクションを発表。自ら手掛けるアーティスティックなグラフィックと職人技を掛け合わせることで、大人のための新しいブランドとして、唯一無二の存在感を発揮したい考え。

 ブランドコンセプトに掲げるのは“旅”だ。横川デザイナーは、「旅は、その土地に根付く伝統や文化、思想に触れ、新しい視点や価値観、思考の転換といった影響を人生に与えてくれるもの。また、自身の原点である日本の素晴らしさや、世界の魅力を気付かせてくれるものでもある。地理的なものではなく、哲学的な概念としての旅もある。旅が人に与えるさまざまな影響力をファッションの要素に取り込みウエアとして表現することで、身に着ける方々にとって、旅をした時のような気付きや、特別でかけがえのないものを作っていきたい」と語る。

 9月に西麻布でお披露目した秋冬コレクションは、定番とするシルクやベルベットのブルゾンを、モノトーンと柄ものという相反するデザインで提案する他、「リーバイス」のビンテージジャケットに刺しゅうを施したリメイクアイテムや、ニットカーディガンやオーダーシャツ、スーツなどから構成した。アイテム自体はベーシックなスタイルがメインだが、一つ一つに驚くほどのこだわりを詰め込んでいる。素材は開発から生産まで日本国内に限定。定番のブルゾンに関しては、通常はフォーマルウエアの側章などに使う肉厚のシルクを全体に使ったり、袖ポケットのディテールまで手縫いをするなど、贅を尽くしている。職人が施した手振り刺しゅうは、立体感や迫力が満点。デザインやグラフィックは全て横川デザイナーが手掛け、京都の老舗テキスタイルメーカーで経験を積んだスタッフが生産面をサポートしている。

 冬もののブルゾンが10万円以上、刺しゅう入りは30万円以上と高価格な商品が多いが、「ブランドが立ち上がったばかりの今は特に軸をブラさず、価値を分かっていただける方に着ていただけたら。これまでアトリエで直接見ていただく形で販売してきたが、徐々に販路を広げることも視野に入れている」と横川デザイナー。コンセプトをさらに明確化し、ブランドの精神性を伝える活動を強化しつつ、海外の高感度セレクトショップなどでの販売を模索したい考え。ブランドのサポーターでもある千葉龍平エイベックス・グループ・ホールディングス顧問グローバル事業担当は、「もともと、グローバル展開を視野に入れて立ち上げていると聞いている。実際に商品を見ても、アート的な感覚と職人技の良さがあり、良いものを知っている遊び心のある大人に支持されるものだと思う。ぜひ、世界に挑戦してほしい」とエールを送る。

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