森美術館は10月31日から2027年3月28日まで、現代美術家・森万里子の個展「森万里子:燦燦」を開催する。国内での大規模個展は、02年に東京都現代美術館で開催した「森万里子 ピュアランド」以来、24年ぶり。ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム財団の協力のもと、写真や映像、立体作品、インスタレーションなど40点を展示し、30年以上にわたる活動を振り返る。
展覧会は、初期から近年までの作品を緩やかな年代順とテーマ別に4セクション「スター誕生」「つながる世界」「太古の記憶」「自然とひとつに」で紹介する。加えて、「クロノロジー」では、1993年以降の展覧会記録や雑誌、書籍、展覧会評などを展示。「スタジオ」ではドローイングや模型、約30年間にわたって書きためた制作ノートなど、初公開の資料も紹介する。
「Wave UFO」の日本初展示やAIを活用した新作も
代表作の一つが、脳波を映像に変換する大型インスタレーション「Wave UFO」(1999〜2002年)だ。グッゲンハイム・アブダビの所蔵作品で、日本では今回初めて展示。鑑賞者が作品内部に入り、自身や他者の脳波を映像として体験できる。
24年にベネチアで公開した「ピース・クリスタル」も展示。人類の起源に着想を得た高さ167.5cmの作品で、自然光を取り込む仕組みを採用した。
本展に合わせて制作した新作映像インスタレーション「すべては輝き」(26年)も発表する。AI企業アンソロピックの技術協力のもと、98年から温めていた構想を生成AIを活用して映像化した。制作では72回にわたる試行を重ねたという。22年に完成した宮古島のアトリエの風景も取り入れている。
「開館当初からの夢がかなった」
森は事前内覧会で、森美術館での個展が03年の開館当初からの夢だったと明かし、「本当に胸がいっぱい。昨日は誰かにほっぺをつねってもらって夢じゃないと教えてもらいたい気持ちだった」と喜びをあらわにした。長年、日本での展示が実現しなかった「Wave UFO」についても「今回特別に貸していただけることになり、私にとっては奇跡」と話した。
本展は、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館・財団のアレクサンドラ・モンローと森美術館の片岡真実館長が共同でキュレーションを担当した。片岡館長によると開館当初から森の個展は候補に挙がっていたが、作品の大型化や屋外への展開など、美術館内での展示方法が課題となっていたという。
今開催する意義について、片岡館長は森が2000年代以降に追求してきたあらゆる生命のつながりを指す「ワンネス(一体性)」という概念に言及。世界の分断が進む中、このテーマを提示することの意味を考えたいと語った。
森万里子とは
森は1967年生まれ、東京都出身。文化服装学院卒業後、モデルとして活動し、90年代半ばから自身のパフォーマンスを基にした写真や映像作品を発表。CGを駆使したSF的な表現から、仏教の宇宙観や古代文化、宇宙物理学へと関心を広げてきた。森美術館の創設者である故・森稔は叔父にあたる。
■「森万里子:燦燦」開催概要
会期:2026年10月31日〜2027年3月28日
時間:10:00〜22:00(火曜日は17:00まで、最終入館は閉館30分前。一部例外日あり)
場所:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
入館料:一般2800円(土・日・休日3000円)、学生1700円(同1800円)、シニア2400円(同2600円)、中学生以下無料。オンライン割引あり
※日時指定制、会期中無休
「森万里子:燦燦」公式サイト