ファッション

東コレとは違う、インディペンデントな「絶命展」に注目

 2013年10月、渋谷のパルコミュージアムで展覧会「絶命展(ファッションの秘境)」が行なわれた。山縣良和「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)」デザイナー、坂部三樹郎「ミキオ サカベ(MIKIO SAKABE)」デザイナーがプロデュースを担当した同展は、ファッションの可能性を探るような実験的な作品が並び、ファッション関係者の注目を集めた。あえて稚拙に制作したようなオブジェやストーリー性に富んだインスタレーション、サブカルチャーに寄り添うウエアなど、多様で自由闊達なクリエイションが提案されている。同展は有料(一般500円、学生400円)にもかかわらず、11日間の開催で約4000人を集客。パルコミュージアムでは「想定以上の来場があった」とコメントしている。

 また、同展の反響を受け、12月3日夜には「絶命展」の特別企画として、国立新美術館を会場にファッションショーが行なわれた。同美術館の1階エントランスホールを舞台に、30組以上のクリエイターが参加。まだ、知名度は低いものの「ヌスミグイ(NUSUMIGUI)」、伊の国際ファッションコンテスト「ITS(イッツ)」で2010年にグランプリを受賞した西山高士による「タカシ ニシヤマ(TAKASHI NISHIYAMA)」、東コレに参加経験のある「ティート(TIIT)」など、多くの若手デザイナーが作品を披露している。また、観光庁が進める日本の文化施設をイベントなどに活用する"ユニークベニュー"のテストケースとして、国立新美術館の協力を得た点も、強かな姿勢が伺える。会場には1000人以上が来場し、エネルギー感あふれるショー形態と相まって、独特の雰囲気だった。

 「絶命展」による大掛かりなファッションショーは、最初で最後の訴求になるが、インディペンデントなショーにおいて、これだけの集客力を見せつけたのは異例。このエネルギーをどうビジネスに結びつけ、若手デザイナーの育成に繋げるのは大きな課題だが、話題を集めたのは事実だ。資金力やネームバリューに頼らないショー運営は今年、増えていくのだろうか。山縣良和はその旗手になりつつあるが、「僕らの世代が挑戦し、既存のファッションビジネスに風穴を開けたい。『絶命展』の試みは、その始まり」とパルコミュージアムでの会見で語っている。山縣、坂部に続くデザイナーやイベントが出現するのか、14年度の東京におけるファッションショーに注目だ。

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