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ジャクソン・ワンが語る「Number_iの魅力」と「新作アルバムに込めた想い」

SNSの総フォロワー数は1億人を超え、2ndアルバム「MAGIC MAN」は全米アルバムチャート15位を獲得するなど、世界的アーティスのジャクソン・ワン(Jackson Wang)。世界最大規模の音楽フェス「コーチェラ」には2022年から3年連続で出場。昨年のNumber_iとのコラボも大きな話題となった。

7月にリリース予定のニューアルバム「MAGIC MAN 2」に先駆けて発表された「GBAD」のミュージックビデオは3100万再生を超え、4月16日に全世界で配信開始となったNumber_iとのコラボ曲「GBAD (Number_i Remix)」は、SNSでも大きなトレンドに。5月9日にはインド出身のアーティスト、ディルジット・ドサンジ(Diljit Dosanjh)と共作した新曲「BUCK (feat. Diljit Dosanjh)」もリリースするなど、新作アルバムへの期待が高まる中、来日したジャクソンにインタビューを実施。Number_iとのコラボや、「MAGIC MAN 2」について、そして大事にしている信念など、時折日本語を交えながらユーモアたっぷりに語ってくれた。

Number_iの印象

——先日、Number_iとのコラボ曲「GBAD (Number_i Remix)」のリリースが発表されると、かなりの話題を集めましたが……。

ジャクソン・ワン(以下、ジャクソン):本当ですか!? 僕はまだ、あまり実感がないんですよ(笑)。

——本当にとても注目されていますよ!(笑)。Number_iとジャクソンさんは昨年の「コーチェラ」でコラボステージを披露しましたが、今回の「GBAD」でのタッグはどのように実現したのでしょうか?

ジャクソン:「コーチェラ」を機に関係性ができてから、ずっと連絡を取ってはいて。僕はもともと日本でも活発に活動していきたいという思いがあって、Number_iとコラボ楽曲をリリースしたいと考えていたのですが、新曲を作ろうとすると時間がかかってしまうので、まずはリミックスから始めることにしたんです。レコーディングは、Number_iは日本、僕は上海から参加して、リモートで行いました。いろいろと尽力してくれた88risingにも感謝しています。

——3人が書いたリリックを初めて見たときはどう感じましたか。

ジャクソン:僕はもちろん日本語を完全に理解できないので、最初は「え? これって僕について歌ってる?」と思い込んでしまいました(笑)。彼らのリリックはとても興味深かったし、声のトーンがそれぞれ違うのも魅力だなと。(平野)紫耀は重低音が効いていて厚みがあり、岸(優太)は軽やかでリズミカル。そしてジン(神宮寺勇太)はメロディアスで、3人の声が混ざり合うことで、さらにレベルアップしていると感じます。

——3人それぞれに対して、パーソナルな面での印象も教えてもらえますか?

ジャクソン:「コーチェラ」のときは初対面で一度リハーサルをして、次の日にすぐ本番だったので、まだ距離感があったんです。今は一緒にパーティもする仲になり、本当に仲良くなりました。岸は、本当に怒らない人。もし明日が世界の終わりだと伝えても、理解してくれそうな人だと思います(笑)。ジンは自己表現がとても上手で、友達になってからは、僕とエネルギーがすごく似ている人だと感じていますね。そして紫耀と一緒にいるときは、常に笑いが絶えない。何について話していたのか思い出せないくらい、ささいなことでもずっと2人で笑っています。

——Number_iの音楽性の魅力については、どう感じていますか?

ジャクソン:それぞれの個性やキャラクターがはっきりしていて、とてもエッジの効いた音楽だと思います。実験的で、どんどん追求していく姿勢も感じますね。他と違うことに挑戦しているし、個人的には彼らの音楽が大好きです。

——ちなみに3人とのパーティーではどんなことをしたんですか?

ジャクソン:ハイボールをかなりたくさん飲んだし、テキーラや、Awichちゃんからいただいたハブ酒も……。“スーパーハードナイト”でした。

——とても盛り上がったんですね(笑)。

ジャクソン:3時間だけ寝て、翌朝はまた仕事に戻りました(笑)。Number_iだけではなく僕のダンスチームなども一緒だったので、親戚一同で集まったような、とても和やかなムードでしたね。たくさんお酒を飲みつつも、踊って汗をかくことですぐ発散して。バランスの取れたパーティでした(笑)。

愛と信頼、そして信念

——今年先行リリースされた新曲「High Alone」「GBAD」に続いて、ニューアルバム「MAGIC MAN 2」が7月にリリースされる予定です。どのような作品か教えてください。

ジャクソン:昨年1年間、オフを取ったんです。僕はまだ社会に踏み込む準備が十分にできていないまま若いころにデビューして、タイトなスケジュールの中でループのような毎日を繰り返しました。その結果、20代はいろんなものを失った感覚があって。昨年のオフは、自分自身と向き合う時間になりましたね。日記を書くようになり、自分がこれまで経験してきたこと、人生について考えていること、業界や社会に対して思うことを綴っているんです。今まではある意味自分と向き合うことを避けてきて、自分自身を表現するような曲を書いてこなかったけど、今回はそうして日記に書いたことを楽曲に昇華していきました。

——1人の人間として言いたいことを詰め込んだアルバムなんですね。「High Alone」「GBAD」も、ご自身をさらけ出したような作品だと感じました。

ジャクソン:はい。自分の人生観を込めています。「High Alone」では自分にとっての現実とは何かを比喩的に打ち出していて、ミュージックビデオではビデオの中の自分を見ているような世界観を描いたのですが、「GBAD」でも比喩を用いています。ビジュアル的には「High Alone」の方がダークで、「GBAD」は明るく軽やかでエンタテインメント性があるけど、ステートメント的には似ていると思いますね。

——ジャクソンさんが、1人の人間として大事にしている価値観とはなんでしょうか。

ジャクソン:そうですね……愛と信頼、そして自分の中にある信念でしょうか。愛を与えて、愛を受け取れるくらい自分の心を開くこと。そしてお互いに信頼すること。自分自身をなくさないための信念を持ちつつ、他人の領域も侵さないこと。それらを大切にしています。僕はアーティストになる前も若くしてプロのアスリートとして活動していたので、ずっとシャボン玉の中で生きてきたような部分があるけど、そうしたことは変わらずに大事にしていますね。

——世界を飛び回って活動する中では、気持ちのバランスを保つことが大変になることもあると思います。どういうふうにご自身を鼓舞していますか。

ジャクソン:僕はいつも“ハングリー”なんです。……あ、お腹が空いているということではないですよ?

——(笑)。ハングリー精神があるということですよね。

ジャクソン:はい(笑)。情熱を持っているから、自分の心を突き動かすものが自然に生まれてくる。僕は本当に幸運だと思うし、常に感謝しているんです。こうして自分が愛することを仕事にできていることが、本当にうれしくて。とても大変なときもあるけれど、好きなことをやっているから、大変だと感じない。それだけ情熱と愛を持って取り組めているのだと思います。

日本は自分がクリエイティブでいられる空間

——すてきです。ファッションにまつわるお話も聞かせてください。ご自身が手掛けるファッションブランド「TEAM WANG design」には、どんな思いを込めていますか?

ジャクソン:「TEAM WANG design」は4年前に始めましたが、当初は一般向けに販売する想定ではなく、自分のチームのみんなが着用するものをデザインしたいという思いからスタートしました。「COOKIES」と「SPARCLES」という2つのラインがあって、それぞれコンセプトが異なります。「COOKIES」で表現しているのは、ジャクソン自身の人生。ローンチのたびに、人生の学びのようなものを込めています。昨年12月に発表した前回のコレクションのテーマは、“CHOICES”。さまざまなことを選択する上でリスクを負いたくない人も多いと思うけど、「あまり考えすぎずに決めていい。それはただ単純なチョイスなときもあるよ」という思いを伝えたかったです。

——そうしたジャクソンさんの思いを、コレクションのたびに表現しているんですね。

ジャクソン:はい。今後ブランドのディレクターとして僕も成長していくと思いますが、年齢とともに感じ方も変わっていくので、その時々で抱いたことを、「COOKIES」では自分の哲学として打ち出したいと思っています。これは「MAGIC MAN 2」につながる感覚でもありますね。そして「SPARCLES」のコンセプトは、ジャクソンと友人たち。例えば、今この瞬間であれば、その対象が平野紫耀になるのかもしれませんが、着てくれる人がその2人と一緒に、参加できるような気持ちになるアイテムをコンセプトとしています。

——ジャクソンさんのプライベートなファッションにおける定番アイテムや、こだわりはありますか。

ジャクソン:僕は、もし法律違反にならないならば、常に素っ裸でいたい人間なんです(笑)。強いて言えば、歳をとっていくうちに、シンプルで着心地のいいスタイルを重視するようになってきました。MVでもあまりハイファッションは着ないんですよ。MVにはストーリーがあり、その登場人物を表現しているので、ハイファッションを着てしまうと世界観を壊してしまう気がするんです。

——なるほど。冒頭で「日本でも活発に活動していきたい」とお話ししていましたが、今後日本でやってみたいことがあれば、最後に教えてください。

ジャクソン:もっと長く、日本に滞在してみたいですね。日本語も学びたいし、時間をかけて日本の皆さんと一緒に過ごしたい。実は「MAGIC MAN 2」の中にも、日本で作った楽曲がいくつかあるんです。両親について描いた楽曲もそうですね。日本は自分がクリエイティブでいられる空間であると感じるんです。日本の友人や、音楽やファッションを通じて知り合った人たちの中にいると、とても安心する。それがまた僕にインスピレーションを与えてくれます。僕は予定調和より、予想外のことで衝撃を受けたいという思いが常にあるのですが、東京はそれがかなう環境だと思いますね。

PHOTOS:MAYUMI HOSOKURA

■ジャクソン・ワン ニューアルバム「MAGICMAN 2」
1. High Alone
2. Not For Me
3. Access
4. BUCK (feat. Diljit Dosanjh)
5. GBAD
6. Hate to Love
7. One Time
8. Everything
9. Dear:
10. Sophie Ricky
11. Made Me a Man
https://teamwang.lnk.to/MAGICMAN2

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