ファッション

「バーバリー」から「JW」「シモーン ロシャ」まで ロンドンコレ24年春夏の早分かり6トピックス

2024年春夏シーズンの「ロンドン・ファッション・ウイーク(以下、LFW)」が9月15〜19日に開催されました。今季もダニエル・リー(Daniel Lee)による「バーバリー(BURBERRY)」をはじめ、「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」や「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」「アーデム(ERDEM)」などの目玉ブランドが参加したほか、コラボやイベントでも「LFW」は盛り上がりました。ここでは、現地取材で特に印象的だった6つのトピックを振り返ります。

1.「バーバリー」

期間限定の“バーバリー駅”
前代未聞のプロモーション

「バーバリー」は、「LFW」期間中にロンドン交通局との協業で、ボンド・ストリート駅を“バーバリー・ストリート駅”に名称変更するプロモーション企画を実施しました。ファッションブランドが駅名をジャックするのは初の試みだそうです。街を巻き込んだ大規模な施策に驚きつつ、やはり「バーバリー」は英国を代表するブランドなのだなと納得しました。

このバーバリー・ストリート駅(ボンド・ストリート駅)のあるメイフェアエリアは、ラグジュアリーショップが立ち並ぶ、いわばイギリスの銀座のような地域。「LFW」のメイン会場がある、百貨店セルフリッジズの最寄り駅でもあります。

そしてニュー・ボンド・ストリートの「バーバリー」旗艦店は、ダニエル・リーが手掛ける初のコレクションがついに店頭に並んだタイミングでした。最近リニューアルオープンしたため中をチェックしてみると、新たなシンボルカラーであるナイトブルーのタペストリーとラグが印象的な空間でした。

リーのセカンドシーズンのショーレビューは、村上要編集長のリポートをご覧ください。

2.注目コラボ

「シモーン ロシャ」と「クロックス」は
デコレーションがキュートで争奪戦必至

ロマンチックな世界観で支持を集める「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」は、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団の施設で行ったショーで「クロックス(CROCS)」とのコラボレーションを披露しました。

アイテムは「クロックス」定番の“クラシック クロッグ”と、ハイヒール“サイレン クロッグ”、スニーカーの3型で、「シモーン ロシャ」おなじみのパール、クリスタル、ビーズをあしらっています。来年にはロンドンとニューヨーク、台北に構える「シモーン ロシャ」の店舗と、両ブランドそれぞれのオンラインストア、一部セレクトショップなどで販売するそうです。日本での取り扱いがあるかは未確認ですが、争奪戦になりそうですね。フィナーレのあいさつで登場したシモーン本人も、早速素敵に履きこなしていました。

コレクションでは、ケーキから着想を得たシルエットや、デコレーションを施したドレスを披露。アイシングやクリーム風のリボンの装飾、アラザンのようなパール使いがとてもキュートでした。本物のバラをチュールで包んだコートやドレスは、シルクのバラを入れて商品化するそうです。

シモーンといえば、次の「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」のゲストデザイナーに決まったばかり。来年1月に2024年春夏オートクチュール・コレクションで発表するショーで、どのようなクリエイションを見せてくれるのか楽しみです。

3.サステナビリティ

「ステファン クック」と「マルベリー」の協業
ビンテージバッグをアップサイクル

ステファン・クック(Stefan Cooke)とジェイク・バート(Jake Burt)が手掛ける「ステファン クック」からは、「マルベリー(MULBERRY)」とのコラボレーションバッグが登場しました。しかし新しいバッグをデザインしたのではなく、「マルベリー」が一般客から回収した“プリ・ラブド(Pre-Loved)”と呼ばれるビンテージバッグ27点をアップサイクルしたものなのです。

ラインアップは、20周年を迎えた「マルベリー」のアイコンバッグ “ベイズウォーター(Bayswater)”をはじめ、ハンドバッグが中心。「ステファン クック」のシグネチャーである “ダイヤモンド スラッシュ”の切り込みを入れたり、ボタンストラップを付属させたり、ラグビーシャツをアップサイクルしたタッセル飾りを装飾したりと、それぞれ1点モノにアレンジしています。これらはショー直後からロンドンの「マルベリー」リージェント ストリート旗艦店で展示販売し、オンラインストアでも購入できます。

「ステファン クック」は、もともとアップサイクルやクラフトを得意とするブランドです。ファーストルックのブランケットケープは、デッドストックのスエードで覆ったスタッズを、何千も手打ちして装飾。メンズのミニドレスは、ビンテージのラグビーシャツで仕立て、スポンジ製のトップスは太陽による日焼けでチェック柄を表現するなど、技巧を凝らしたユニークなアイテムもありました。

4.英国の歴史をまとう

公爵夫人の私物を使った
「アーデム」と「バブアー」のコラボ

アーデム・モラリオグル(Erdem Moralioglu)による「アーデム」は、世界三大博物館の一つである大英博物館(British Museum)でコレクションを発表しました。今季のミューズは、英国の貴族であったデヴォンシャー公爵夫人の故デボラ・キャヴェンディッシュ(Deborah Vivien Cavendish)。アーデムはなんとキャヴェンディッシュの家族の友人で、彼女が遺した洋服や家具のテキスタイルなどの使用許可を得たのだそう。

ファーストルックに、英国発アウトドア・ライフスタイルブランド「バブアー」とのコラボレーションコートが登場すると、まさにこのコートと花柄のキルティングが、公爵夫人のリアルな私物を使ったアイテムでした。シルエットは優美なAラインのオペラコートで、商品化の際はプリントで再現されるようです。

また公爵夫人は、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)の熱心なファンだったことから、プレスリーのファッションもコレクションに融合。フリンジとスタッズが印象的なライダースジャケットは、1970年代のライブ衣装からヒントを得ています。エレガントな「アーデム」にロックなテイストが加わるのが新鮮でした。

5.現代アートとファッション

アンダーソンがキュレーション
アート展「ON FOOT」の見どころ

「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」のショーの後には、デザイナーのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)がキュレーションを務めた現代アートの展覧会「ON FOOT」のプレビューがありました。メイフェアのギャラリー「オファー・ウォーターマン(Offer Waterman)」で10月28日まで開催しています。

“ON FOOT”は「徒歩で」を意味する言葉で、ロンドンを散歩する際にふらっと立ち寄る感覚で、英国アーティストの作品を楽しめるというのが同展のコンセプト。彫刻家バーバラ・ヘップワース(Barbara Hepworth)や画家ルシアン・フロイド(Lucian Freud)、デヴィッド・ホックニー(David Hockney)ら英国のアーティストをはじめ、イギリスを拠点にする日本人陶芸家の平井明子、ドイツ出身の画家フロリアン・クルーワー(Florian Krewer)らの作品も展示していました。芸術家の作品のほかにも、「ジェイ ダブリュー アンダーソン」と「ロエベ(LOEWE)」のアーカイブピースもありました。

今季の「ジェイ ダブリュー アンダーソン」のショーでは、粘土で制作したフーディーとショートパンツがファーストルックを飾りました。アートやクラフトに造詣が深いアンダーソンのクリエイションは、多くのアーティストに影響を受けていることが分かります。

6.おすすめスポット

「アニヤ・ハインドマーチ」の
ファッショナブルな新観光名所

英国バッグブランド「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」から朝食の招待を受け、2021年に開業した“アニヤ ヴィレッジ”を訪れました。ここには整理整頓に特化したコレクションを集めた“レイベルド ショップ(THE LABELLED SHOP)”をはじめ、イニシャルを入れるパーソナライズを受けられる“ビスポーク ショップ(THE BESPOKE SHOP)”、ホームウエアに特化した“アニヤ ライフ(ANYA LIFE)”などのコンセプト別のショップと、“アニヤ カフェ”、ポップアップイベントの店舗が並びます。「アニヤ・ハインドマーチ」の世界観をたっぷり楽しめるストリートです。

現地に到着するとアニヤ本人が出迎えてくれて、ショップツアーに出発。9月に新たにオープンしたのが、東京・銀座発の文房具、伊東屋(ITOYA)とコラボレーションしたポップアップストアです。私たち日本人にはなじみ深いペンやノート、折り紙などがずらり!日本文具の大ファンだというアニヤのお気に入りは、はにわ型の指サック“はにさっく”だそう。紙めくりを補助する実用性だけでなく、デスクに飾ったり、指人形にしたりと、癒し系の文具です。

“アニヤ カフェ”では、アボカドトーストと、ポーチドエッグとほうれん草をのせたトースト、「アニヤ・ハインドマーチ」らしい目玉の乗ったかわいいスイーツをいただきました。どれもとてもおいしくて、朝8時からお腹がはち切れそうになるくらいパンパン(笑)。「LFW」最終日のご褒美になりました。“アニヤ ヴィレッジ”はとてもファッショナブルな観光スポットなので、ロンドンに行く予定がある方はぜひ訪れてみることをおすすめします。

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