2024年春夏ミラノメンズ海外バイヤー評　“静かなラグジュアリー”に熱視線【特集：2024年春夏メンズ速報】

米百貨店ノードストロームのジアン・デレオン＝メンズファッションディレクターは、「注目は引き続きテーラード。『プラダ』がジャケットにシャツのシルエットを組み込んだり、『ゼニア』はパーツごとに分解できそうなジャケットでその未来形を示したり、ドレスアップが今まで以上に楽しくなっている」と語る。エレガントなジャケットを主軸とする、ロゴなどで主張しすぎない「クワイエット・ラグジュアリー」が気分だ。有力小売店で働くバイヤーが挙げたベストブランドや注目トレンド、マストハブアイテムを紹介する。（この記事は「WWDJAPAN」2023年7月10日号からの抜粋です）

バーグドルフ・グッドマン ＆ ニーマン・マーカス

ブルース・パスク＝シニア・メンズ・ファッション・ディレクター

「プラダ」はミッドセンチュリーをほうふつとさせるパワフルなショルダーラインと引き締まったシルエット。華やかなシャツやハイウエストのフレアショーツで、力強くも爽快だった。「ヴァレンティノ」は、クチュールのような仕立て。モノトーンルックに鮮やかな色彩の複雑な花の装飾を施し、詩的でエレガントだ。「ブルネロ クチネリ」は、代名詞であるテーラリングとぜいたくなスポーツウエアに、ペイズリー柄やパステルカラー、ビンテージムードのニットポロをアクセントに加えて、美しく印象的なスタイルを提案した。「ブリオーニ」のソフトテーラリングも、シンプルでありつつエレガントだ。桑田悟史による「セッチュウ（SETCHU）」のジェンダーフリーなスタイルは、サヴィル・ローでの修業と折り紙から着想を得たテクニックが融合し、美しく正確なものだった。

気になったトレンド

クチュールのように複雑な装飾、特に職人技と芸術性にフォーカスした花柄が印象的だ。アイボリーやクリーム、ピンクを中心としたソフトなパステルカラーが季節感を演出。リネンは、耐久性を高めるために混紡しているようだ。ビンテージスタイルのニットポロは、ゆったりとしたテーラリングに合わせると特に映える。スエードのブルゾンや淡いベージュのサファリジャケットは、衣替えの時期のアウターにぴったりだった。ペニーローファーは、カジュアルにもドレスアップにも合う。