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コロナ禍で見直されるドイツの発酵食品、ザワークラウト 海外ビューティ通信ベルリン編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、シンガポールなど、7都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、ドイツでも3月22日から接触制限措置、いわゆるロックダウン状態となった。スーパーや薬局、散歩などの最低限の外出は許可されているものの、ほとんどの時間を家の中で過ごさなければならず、運動不足や不安からメンタルヘルスに変調を来す人も出てきている。健康管理のために自宅でできるワークアウトや食事など、免疫力を上げるためのさまざまな方法がインターネット上では紹介されている。(この記事はWWDビューティ2020年5月7日号からの抜粋です)

 ドイツでは、1600年代から受け継がれる伝統的な家庭料理の一つ、ザワークラウトが免疫力アップに効果的であると再評価を得ている。ザワークラウトとは、「酸っぱいキャペツ」という意味のキャベツの乳酸発酵食品で、ドイツではソーセージや肉料理のサイドディッシュとして定番だ。千切りにしたキャベツを塩に漬けて発酵させるだけのザワークラウトだが、健康上の利点が数え切れないほどあるとされ、“ドイツのスーパーフード”とも呼ばれている。

 ザワークラウトは1カップあたり27キロカロリーという低カロリーでありながら、葉酸、ビタミンB6、リボフラビン、チアミン、ビタミンKが含まれ、ビタミンCの1日の推奨摂取量の3分の1を有し、鉄、カリウム、マグネシウムといったミネラルも豊富だ。キャベツは生で食べるより発酵させた方が栄養価が高まり、消化力を高めて便秘を改善し、腸内のバランスを整えるプロバイオティクス(人間や動物の体にいい働きをする生きた微生物)効果も生まれるという。

 ザワークラウトは自宅でも簡単に作れるが、スーパーではさまざまなメーカーから缶や瓶、パックなどのパッケージで売られており、2ユーロ(約200円)前後と手頃である。中でも有名なのは、ドイツ南西部バーデン・ヴュルテンベルク州エスリンゲンに拠点を置くヘングステンベルグの商品で、置いていないスーパーはないと言えるほど国民的なメーカーだ。
 
 同社は1876年にワインビネガーメーカーとして設立され、その後ピクルスやザワークラウトなどの漬け物事業に乗り出し、1932年に世界で初めて低温殺菌された缶詰のザワークラウトを発売したことで知られる。創業者のリヒャルト・A・ヘングステンベルグ博士は“最高の品質を適正な価格で”を理念に掲げ、130年の伝統に培われたノウハウと厳しい原材料のチェック、最新技術による生産工程の管理を徹底し、国際標準化機構(ISO)による品質マネジメントシステムに関する規格ISO9001の認定も取得している。また、容器もリサイクル可能な材質にこだわり、地球環境にも配慮している点がエコ先進国のドイツならではだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大でベルリンでも外出制限が課される中、保存の利く缶詰や瓶詰、ジャガイモなどが陳列棚から一気になくなる買い占め現象が起きたが現在のスーパーの様子は通常に戻っている。免疫力アップにいいとして伝統食のザワークラウトが見直されているように、自由が制限された生活の中で多くの人がこれまで何気なくとっていた食事や健康のありがたさに意識を向け始めている。さらに進んで、環境や地球のことを考え直すきっかけになることを期待したい。

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宮沢香奈:フリーランスライター兼コラムニスト。プレス、ブランドディレクターなどを経て、フリーランスとしてPR事業をスタート。その後、ライターとして執筆活動を開始。2014年に東京からベルリンへ拠点を移し、ヨーロッパを中心とした現地情報を多数の媒体で執筆中