こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向千鶴です。パリコレは粛々と進んでいます。新型コロナウイルスを理由とした差別を受けることはショー会場でも街中でもなく、ウーバーの乗車拒否も経験していません。パリは至って通常運行です。万が一フランス国内で感染が広がったら状況は一変するのかも知れませんが、それを心配しても仕方なし。体調管理を万全にしつつ、今日も張り切って取材したいと思います。
2月25日(火)10:30
「マリーン セル」の警笛が響く
ショーを観たい人が多くてプラチナチケットになりつつある「マリーン セル(MARINE SERRE)」。悪化する地球環境から身を守るような表現を、マリーンはこれまで繰り返し見せてきました。大気汚染から守るように顔覆うマスクやフードはむしろ定番。だけど、特に最初の数ルックを前に会場の空気は凍りつきました。彼女が描いてきた世界が空想ではなく現実となりつつあるから。ショーの最後にはいつものように柔らかくて優しいデザインを投入することで“救い”も添えています。フィナーレは拍手喝さい。恐るべし20代です。
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ぎょっ
ぎょぎょぎょっ
会場は長らく葬儀場として使われ、今はモダンアートのスペースとなっている場所
リリースを配っていたスタッフ。メンズの着こなしもカワイイですよね
巨大なスクリーンを使った演出を支えた音響ブースに興味津々
誰もかれもが赤く染まる照明
11:30
「コペルニ」の会場に村上隆像
若いデュオによる「コペルニ(COPERNI)」はスタートアップ企業が集まるスペースでショーを行いました。館内の人が自由に見れちゃう開放的な感じが◎。会場を出ようとしたら人だかりがあり、のぞいたら村上隆像!リアル!お元気ですか?村上さん、と心でつぶやきつつ移動開始。
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14:30
「ディオール」のテントの中には
ニュースがいっぱい
いったいこのテントの中にいくつのニュースがあることか!「ディオール(DIOR)」はショーの場を目いっぱい生かして新しい服だけではなく、企業として“どう社会に貢献するか”についてクリアにメッセージを放ちます。つまりショー会場がメディアなのです。第一に、場所に必ず意味があります。今回テントを建てたのはパリ中心部にあるチュイルリー公園内です。なぜなら最近、チュイルリー公園の修復に参加することを発表したから。プレタポルテはしばらくこの場所でショーを行うそうです。そのほかのポイントは動画と写真でどうぞ。コレクションのレポートはこちらから。
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ずらりと並んで迎えてくれる「ディオール」ボーイズ
ショー会場の空間はアーティスト集団クレール・フォンテーヌとのコラボ。「家父長制=気候非常事態」と痛烈メッセージ
床に敷き詰めた新聞は「フィガロ」。これもアートからのインスパイア
15:30
「テベ・マググ」を通じて
南アフリカを見る
2019年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」のグランプリを勝ち取った「テベ・マググ(THEBE MAGUGU)」のプレゼンに20分滞在したら行ったことがない南アフリカのことのことが1ミリだけ分かった気になりました。ファッションを通じて山ほどある知らない国を旅できるのって楽しい。
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テベの故郷がシューティングの舞台
カラフルな色が特徴ですが、民族衣装的ではなくモダンです
服についているQRコードをスキャンするとデザイン背景を読むことができます
南アフリカの景色はどんなスタジオよりもこの服を引き立てると思う
会場に貼ってあるビジュアルの横にもQRコードが。便利です
テベとUA栗野さんが再会。栗野さんは日本とアフリカのファッション文化を交流するプロジェクトを進めており、アフリカファッションの最新事情にめっぽう詳しいです
テベをサポートする人たち
16:30
「アンリアレイジ」の会場の
空気が変わった
人の集団が作り出す空気ってあります。「アンリアレイジ(ANREALAGE)」がLVMHプライズのファイナリストという称号を手に入れた後から、ショー会場の空気が変わりました。なんというか、場の熱度が高く真剣度が違う。これだからリアルなショーは面白いです。
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パーツをスナップで組み替えることでいくつもの着こなしができる服
近くで見るとスナップでつながっていることがわかりますね。袖がパンツになるなど組み合わせは自由です
リリースは積み木の取説風。シンプルでよいです
世界の双子をスナップ中。ピンクの髪はもちろんAMIAYA
お土産は梅干し。嬉しい!!
17:30
「コーシェ」に間に合わないという失態
「アンリアレイジ」から「コーシェ(KOCHE)」へ。セーヌ川沿いを爆走するも途中大渋滞で間に合わず。あと5分で到着というところでショーが始まってしまいました。ごめんなさい。すかさずライブ配信でチェック。助かる~。
20:00
「サンローラン」でパリを堪能
今一番、パリらしいブランドは?と聞かれたら「サンローラン(SAINT LAURENT)」と答えます。それはエッフェル塔の近くでショーを開くからという理由だけではなく、官能やフェティッシュ、スノッブといったパリを形容する言葉が一番似合うのが「サンローラン」だから。今季はラテックスのピタピタのパンツにダブルのジャケットという新しいシルエットが登場したのですがこの3つの形容詞がぴったりでした。
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