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東京五輪公式スキンケアブランド「SK-Ⅱ」が「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」に込めた想いは? ダイバーシティーあふれるトップに直撃

 東京2020オリンピックの公式スキンケアブランド「SK-Ⅱ」は、6組の世界的アスリートと新キャンペーン「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」をスタートした。キャンペーンには、体操のシモーン・バイルス(Simone Biles)選手、水泳のリウ・シアン(Liu Xiang)選手、卓球の石川佳純選手、バトミントンの髙橋礼華&松友美佐紀ペア、サーフィンの前田マヒナ選手、そして女子日本代表のバレーボールチーム「火の鳥 NIPPON」の一団が参加。競争の世界に身を置く彼女たちは、それぞれのSNSに望まない競争を乗り越えた実体験を投稿。ここから「SK-Ⅱ」は、女性が身近な人と話し合いながら、自分と他者との比較などの“望まない美の競争”から解放されることを願う。


 「SK-Ⅱ」が「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」に込めた想いとは何か?また競争の舞台、しかも最高峰の舞台であるオリンピックで「#NOCOMPETITION」を謳う「SK-Ⅱ」を、オリンピック側はどう感じるのか?キャンペーンのキックオフを発表したロサンゼルスで、「SK-Ⅱ」のサンディープ・セス(Sandeep Seth)グローバル「SK-Ⅱ」最高経営責任者(CEO)と、日本市場を統括するチャン・ヨージン(Chang Yoegin)「SK-Ⅱ」ブランドディレクター、それにIOC(国際オリンピック委員会)メンバーのアニータ・デフランツ(Anita Defrantz)らに話を聞いた。

アスリートをモデルに、
女性の可能性を広げたい

 サンディープ・セスCEO(以下、セスCEO)は、「日本生まれのグローバルブランドとして、東京で開かれる世界的イベントで“声”を届けたかった」と語り出した。ただ「単に商品を見せるようなことはしたくない」と続ける。「SK-Ⅱ」と言えば、天然酵母に由来する独自の美容成分「ピテラ*」。製品に絶対的な自信を持つブランドとして、「スキンケアについて話を聞こうとすると、女性は、それ以上のライフスタイルや生き方、夢まで語り出す(笑)。」と話す。「それを学んで以降のコミュニケーションについては、学術的なデータを示すのではなく、例えば『運命を変える』という表現を用いるなど、女性が『SK-Ⅱ』のスキンケアを通じて感じてくれたパワーを彼女たちのストーリーとして伝えるよう心がけている。振り返れば、それが『#NOCOMPETITION美は #競争ではない』という、今回のプロジェクトのきっかけだったのかもしれない」。そこで「社会は、夢について語り合うことを欲している」と考え、オリンピックに向けてアスリートの声を集め、それを機に女性が会話を始め、新たな価値観が生まれたり当たり前の考えを臆せず声に出したりできる環境を育んで「皆さんをセレブレートしたかった」という。

 女性を祝福するために選んだのは、ダイバーシティー(多様性)という価値観だ。渡辺直美をアンバサダーに任命するなど、これまでも多様性を重んじてきたブランドは、女性が固定概念や他者、周囲の期待などと比較しながら考える“美しさ”から解放されることを願い、一人ひとりの美しさに自信を持って欲しいと考えた。チャン・ヨージン=ブランドディレクターは、「美しい女性でさえ、いつかの写真と今を比べ、シワなどに悩んでしまう。女性を、そんなプレッシャーから解放したい」。

 そこで、「SK-Ⅱ」は、「競争というプレッシャーを跳ね除けるアスリートをロールモデルに、女性の可能性を押し広げることができたら」(セスCEO)と考え、日本を中心に、年齢も、人種も、競技フィールドもさまざまなアスリートに声をかけた。私たちは何気なく発してしまうが、例えば「金メダル、取ってね」や「モデルみたいな体型ね」などの言葉は、アスリートに周囲の期待との競争を強いる。彼女たちこそ、競争に打ち勝ってきたミューズなのだ。

理想像と競争し、
“お疲れモード”な日本女性は
少なくない

 日本の女性を見つめるヨージン・ブランドディレクターは、「ピースフルな日本の女性でさえ理想像と競争し、“お疲れモード”な人は少なくない」と続ける。例えば彼女の知り合いは、「毎朝4時に起きて、子どものために完璧なお弁当を作っている。手が抜けないのは、“不完全”なお弁当を持っていくと子どもが悲しむし、周りに驚かれると思い込んでいるから。そのあとは、メイク。子どもを幼稚園に送るとき、やっぱり完璧なお母さんを演じなくてはというプレッシャーと戦っている」と分析。そんな女性を理想像との競争から解放するため、石川佳純選手ら日本のアスリートにもキャンペーンへの参画を依頼した。

 そもそもSNS投稿というアクションにさえ慣れていないアスリートも多かったが、「皆さん、すぐに私たちの想いに共鳴してくれた」と振り返る。「例えばサーフィンの前田マヒナ選手は、ご自身がいわゆる日本の“カワイイ”とはちょっと違うことを自覚されているから、周囲の期待との競争というプレッシャーを体験されていて、ご自身の体験を強く発信する意思を示してくださった。でも、その時も周囲の方が『もうちょっとオブラートに包んだほうが良いよ』と助言していること。それもまた彼女たちが、周囲の期待との競争を強いられているエピソードなのかもしれないと思った」そうだ。

アスリートが競争の
プレッシャーを語るのは、
意義深い

 強い意志を抱きながら「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」というキャンペーンをローンチした「SK-Ⅱ」に対して、IOCアニータ・デフランツ委員は、1970〜80年代にボートの選手として活躍した当時と今を比較しながら、「あの頃は2割程度だった女性も、東京2020オリンピックでは半数に上り、オリンピックは本当の意味で人類の大会となった。アスリートは競争するのが大好きな人たちだけれど(笑)、同時にライバルを認め合える人たちでもあって、世界を転戦しているから異なる国、異なる人種、異なる競技の人は、異なる考えを持っていることを体感している。そんな彼女たちが競争のプレッシャーを語りながら、真に自分らしくあることの価値を説くのは意義深い」と話す。東京には、オリンピックだけで約7000人の女性アスリートが来日予定。「『SK-Ⅱ』のプロジェクトは、アスリートの身体能力や技だけでなく、これまでの生き方、苦しみ、未来への抱負さえ語るもの。アスリートの新たな一面を知る契機だし、知れば、オリンピックがもっと楽しく、感動しながら観戦できるかもしれない」と続けた。

 「共感」しなければ、女性はもちろん、消費者は反応しない時代。ブランドが人々の共感をつかむ術は、この複雑な社会を、製品やサービスを通じてどう改善したいのかという大義を主張することだ。人間は千差万別だから、大義のように強い意志は、否定的なリアクションに繋がるかもしれない。けれど、勇気を持って意志を示さなければ、消費者は無関心・無反応なままだ。競争の舞台で、「#NOCOMPETITION美は #競争ではない」という意志を示した「SK-Ⅱ」、それに賛同したアスリートのリアルボイスが女性にどう届くのか、注目したい。

※ ピテラ: ガラクトミセス培養液 (整肌保湿成分)。The Procter & Gamble Company の登録済み商標
PHOTO : Yuri Hasegawa

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