英小売のフレイザーズ・グループ(FRASERS GROUP以下、フレイザーズ)が、「ボス(BOSS)」を手掛けるヒューゴ ボスを傘下に収めた。フレイザーズは10月23日(現地時間)、763万ユーロ(約13億3500万円)を投じてヒューゴ ボスの株式19万8666株を追加取得して、同社の発行済株式総数の50.08%を保有するに至った。これによりヒューゴ ボスはフレイザーズの子会社となった。フレイザーズは保有比率が50%を超えたことについて、「フレイザーズおよび株主全体にとって、最善の利益となる」と述べている。
フレイザーズによると、2026年6月時点でのヒューゴ ボスの総資産は35億ユーロ(約6100億円)で、純資産は16億ユーロ(2800億円)だった。また6月30日までの6カ月間における売上高は18億ユーロ(約3150億円)で、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は2億7200万ユーロ(約476億円)だった。フレイザーズは夏からヒューゴ ボスに対して買収を提案していたが、当初は不成立に。しかしフレイザーズのマイク・アシュリー(Michael Ashley)=オーナーは買収に意欲的で、9月には経営権の掌握を目指してヒューゴ ボスの株式を追加取得する計画を明らかにしていた。夏の段階でフレイザーズのヒューゴ ボス株の保有比率は47.89%まで上昇しており、フレイザーズはヒューゴ ボスのステファン・シュトゥルム(Stephan Sturm)会長の後任として、アシュリー・オーナーの義理の息子でもあるマイケル・マレー(Michael Murray)=フレイザーズCEOを据えていた。
フレイザーズは、8月には経営破たんの状態にあった英高級百貨店ハーヴェイ・ニコルズ(HARVEY NICHOLS)を買収することで合意。10月のパリ・ファッション・ウイークの期間中には「フレイザーズ・グループ・ラグジュアリー」と銘打った、新しいブランドポートフォリオの策定を目指すことを宣言していた。同社はこのポートフォリオについて、「際立ったラグジュアリー事業、デジタル機能、そして長年にわたる戦略的ブランドパートナーとの投資関係を中核に据えたもの」としている。同社は「スポーツ・ダイレクト(SPORTS DIRECT)」や「フラネルズ(FLANNELS)」「フレイザーズ(FRASERS)」などの店舗を手がけているが、取引先企業の株式を大量に取得して経営陣や取締役会に揺さぶりをかけることで有利な取引条件を引き出そうと画策してきた側面がある。近年はバーバリー(BURBERRY)やプーマ(PUMA)、エイソス(ASOS)の株式も保有しているほか、第2位の株主となっているマルベリー(MULBERRY)については買収を試みたが失敗している。「フレイザーズ・グループ・ラグジュアリー」では、ハーヴェイ・ニコルズや「フラネルズ」のほか、昨年10月に買収した米国のセレクトショップ「ザ・ウェブスター(THE WEBSTER)」などが含まれており、今回のヒューゴ ボスの買収は、このポートフォリオ拡充の一環。今後もマルベリーや、ECサイト「マッチズ(MATCHES)」を売却したデジタル・リテール・グループのハルカン(HULCAN)への投資を継続する。フレイザーズは23年後半には、窮状にあったECサイトの「マッチズ」を買い叩いたが、数ヶ月後には「立て直しにかかるコストが過大」として事業を閉鎖していた。ハルカンは今年中に「マッチズ」を再始動するとしている。