
ワールドとTSIホールディングス(HD)は10月14日、経営統合すると発表した。2027年3月1日に共同株式移転で持株会社のインフィニティ・ユナイテッド(INFINITY UNITED)を設立し、両社はその完全子会社となる。両社の2026年2月期の売上高を単純合算すると4510億円となる。商社機能などアパレル・小売り以外の事業も含めてになるが、売上規模としてはファーストリテイリング3兆9633億円、しまむら7000億円に次ぐ国内3位になる。
株式移転比率はワールド1に対してTSIHD0.8とし、ワールド株1株にインフィニティ・ユナイテッド株1株を、TSIHD株1株に同0.8株を割り当てる。両社は12月24日にそれぞれ臨時株主総会を開いて株式移転計画の承認を求め、27年2月25日に上場を廃止する。インフィニティ・ユナイテッドは同年3月1日に東証プライム市場に上場する予定だ。
両社は統合の目的に、ファッション産業での「第3極」の確立を掲げる。ワールドが26年3月に始めた中期経営計画「VISION-W」で打ち出した考え方で、「グローバルSPA」(第1極)や「メガリテーラー・メガサプライヤー」(第2極)とは異なる「圧倒的多様性集団」を指し、数多くのファッションブランドやサービスが集うプラットフォームと位置付ける。
両社は、ブランドの顧客層や販路、商材、価格がほとんど重ならず、互いを補完できるとみる。TSIHDのストリートやアメカジに広がるブランドの創造力と、ワールドの外販実績のあるプラットフォームやサーキュラー事業などの基盤を持ち寄ることで、より大きな相乗効果を出せると判断した。協議は6月ごろから続けてきた。
背景には、両社が共有する国内市場の現状認識がある。国内のファッション市場ではオーバーストアとブランドの供給過剰が10年以上続き、店舗やECサイト、物流、システム、在庫の重複が産業全体のコストを押し上げていると指摘する。他の産業で進んだ合従連衡によるスケールメリットの追求がファッション産業では起きておらず、裏を返せばその機会が残っているとみる。
統合効果として、情報システムや物流、コーポレート機能を共通の事業インフラとして統合し、生産・調達から販売までの基盤の共通化や購買・決済の一体化でコストを下げる。顧客情報の統合によるデジタルマーケティングの拡充、OMOを前提にした販路戦略、商品の相互供給、地方や海外での販売チャネルの共同開発で成長の機会も広げる。生み出した原資は、M&Aや海外展開、サーキュラー領域への成長投資と人材投資に振り向ける。
新会社は東京・北青山に本店を置き、監査等委員会設置会社とする。代表取締役会長にTSIHDの下地毅社長CEO、代表取締役社長執行役員にワールドの鈴木信輝社長執行役員が就く。取締役副社長執行役員にはワールドの中林恵一副社長執行役員とTSIHDの内藤満取締役CFOが就任する。取締役13人のうち7人を社外取締役とし、ワールドの社外取締役で取締役会議長を務める青木英彦氏が新会社でも議長に就く。
株式移転の後には組織を再編し、傘下の中間持株会社をTSI、ワールド・ブランズ、ワールド・ソリューションズの3社とする。ワールド・ブランズはワールドへの社名変更を検討している。TSIの社長には、TSIHDの前川正典取締役COOが就く予定だ。
社名の「インフィニティ」は「無限」を意味し、多様な創造力と専門性を結んで可能性が無限に広がる企業体を表す。スローガンには“SHAPE A BETTER WORLD(よりよい世界をつくる。)”を掲げた。
ワールドの26年2月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が2840億円、営業利益が160億円だった。TSIHD(日本基準)は売上高が1670億円、営業利益が43億円だった。TSIHDは2011年に東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合して誕生した。