高島屋は7日、消費者から回収したスーツの再生素材で作ったカジュアルウエアの販売を始めた。循環型社会の実現を目指すプロジェクト「デパート デ ループ(DEPART DE LOOP)」の一環で、副資材が多く使われているため難しいとされるスーツの循環ビジネスに挑む。日本橋店、新宿店のポップアップストアを含め全国6店舗で売る。
2025年4月に高島屋の店頭で実施したスーツの回収キャンペーンで、顧客から“休眠スーツ”を約3200kg(約スーツ3200着に相当)集めた。古着卸業の東谷商店(大阪府泉佐野市)が選別しながら1着ずつ手作業で裁断し、反毛機でワタの状態に戻す。それを三田紡績(大阪府岸和田市)がバージンウールなどを組み合わせて紡績し、再生糸にする。最後に御幸毛織(名古屋市)が再生糸を生地へと織り上げた。
再生生地はウール100%で、回収した休眠スーツ由来の原料の割合は約17%となる。担当の奥村歩武バイヤーは「糸の強度や風合いを考慮すると、(現時点では)17%が最適と判断した。今後、混率を高めながら品質を上げていくことが重要な目標になる」と説明する。
再生生地は「バルスター」「ベルウィッチ」「カモ」「ジャブス アルキヴィオ」「ブジガヒル」といったイタリアなどのインポートブランドとの協業によってカジュアルウエアに仕立てた。ブルゾンで10万円台前半、ボトムスで4万円台と比較的高価格帯になる。再生生地という由来だけで訴求するのでなく、デザイン性や機能性に定評のあるブランドと組むことで、ファッション感度の高い消費者にアピールする。
一方、スーツの再資源化でネックになる芯地や肩パットなどの副資材は破砕し、樹脂と混合した繊維入りペレットにした。京都工芸繊維大学と城東テクノの産学連携によって実現した。ペレットは3Dプリンターを用いて、今回のポップアップストアの什器やハンガーにアップサイクルした。
高島屋の「デパート デ ループ」は21年6月にスタート。これまでデニム、カシミヤ、羽毛布団、化粧品容器、玩具などの回収と再製品化を進めてきた。今回、スーツ再生を担当した米島力伊バイヤーは「高島屋は長年たくさんのスーツを販売してきた。だからこそ循環の課題に向き合わなければならない」と話す。