
2027年春夏ニューヨーク・ファッション・ウイークで潮流となったのは、ロマンティシズムの再解釈だ。一方で、故郷や祖先のルーツを誇るデザイナーの台頭、NY元来のミニマリズムの深化、互いの“らしさ”を称え合うZ世代の感性も際立った。「トム ブラウン(THOM BROWNE)」「ディオティマ(DIOTIMA)」「カルバン・クライン コレクション(CALVIN KLEIN COLLECTION)」「コリーナ ストラーダ(COLLINA STRADA)」などの提案から、シーズンを4つのキーワードで読み解く。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月5日号からの抜粋です)
1. UPLIFTING ROMANCE
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高揚感で背中を押す、媚びないロマンス
今季のNYで潮流となったのが、ロマンティシズムの再解釈。花柄やラッフル、スパンコールといったロマンティックな要素を、日常のワードローブに持ち込む提案が目立った。そこに、研ぎ澄まされたテーラリングやレザーといった無骨なエッセンスを掛け合わせ、地に足のついた強さを添える。誰かの視線を絡め取るための甘さではない。まとうことによる高揚感が背中を押す、“媚びない”ロマンスだ。
「トリー バーチ(TORY BURCH)」は、クリスタルを散らしたタイダイ柄のトップスやシルクで作った羽根飾り、ボタンを掛け違えたように歪んだビーズ刺しゅうのカーディガンが、不安な世相を軽やかに乗り越える楽観的なユーモアを感じさせた。「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」は、昼間からガウンをまとうNYの女性の自由な装いに着想し、腰元から広がる透かし編みのニットや赤と黒のスパンコールのガウンで、ブランドらしい精緻な構築をやわらかくほどいた。巨大なさなぎから蝶が羽化する物語を描いたのは「トム ブラウン」。肩に蝶や蜂をとまらせたツイードジャケットや、虫の柄をのせた卵形のスカートなど、端正なテーラリングが「堅苦しくならないよう遊び心を効かせた」(トム・ブラウン〈Thom Browne〉=デザイナー)。「アルチュザラ(ALTUZARRA)」のジョセフ・アルチュザラ(Joseph Altuzarra)は、写真集『カーサ・スザンナ』を出発点に、喜びと自由を探求。クリノリンで膨らませたシルクマドラスのサークルスカートに黒いライダースを合わせるなど、甘さと強さを同居させた。
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