ファッション

茅野しのぶが考える「衣装デザイナーに必要な資質」 代々木アニメーション学院が衣装デザイン科を設立

代々木アニメーション学院は8月25日、衣装デザイン科を2027年4月に新設することを発表した。同学科の指揮を取るのは、AKB48グループや=LOVE、≠ME、≒JOYなど、数々のアイドルの衣装を手掛ける衣装デザイナー・茅野しのぶ氏だ。今回は、設立にかける茅野氏の思いや、茅野氏が衣装デザインをする上で大切にしていることなどをインタビュー。記者発表時のコメントと合わせて紹介する。

衣装デザイン科にかける茅野氏の想い

今回の学科は、アイドル、ライブ、VTuber、2.5次元といった、エンターテインメント業界で求められる衣装の「企画、デザイン、制作」を学ぶ新学科。服を作る技術だけではなく「着る人をいかに魅力的に見せるのか」までを考え抜ける、即戦力となる人材を育成する。

設立の経緯について、伊藤太郎代々木アニメーション学院社長は「=LOVE、≠ME、≒JOYの3つのアイドルグループを運営する中で、2つの事業に相乗効果のあるような融合ができないかということを考えてきた。そのことを茅野さんと話した際に、アパレル業界で今不足していることを聞かせてもらい、『これはうまくいくかもしれない』と思い協議を重ね、設立に至った」とコメント。

このコメントを受けて、アパレル業界において「デザイン画をデジタルで描ける学生があまり多くないと感じている」と茅野氏。今回新設される学科での授業を通して「絵が描けない子でも、一からデザイン画を描けるようにサポートしたい」「即戦力を作る上で、実践で学ぶ場があるかどうかが重要だ」と続けた。「私自身、AKB48の衣装として現場で経験を積む中で、実践で学ばせてもらったことがとても大きいと思っている。今後を担う子たちにとって、それらを学ぶ場として提供できれば」。

ファッションデザイナーと衣装デザイナーの違い

また一般的な服飾学科との違いについて、茅野氏は次のように語る。「私自身、服飾専門学校を卒業しているが、服飾専門学校はファッションデザイナーやスタイリスト、ファッション業界において活躍する方を育てる場だと思っている。ファッションデザイナーは、ブランドにファンを作って購入してもらうことに対し、衣装デザイナーは着る人がいて、その人たちが輝くように作るもの。自分を出すというより、アーティストや楽曲の世界観を、どんなふうに表現していくかが授業のポイントになる」。

今回の新設学科では「例えば、実際に開催されるライブの前に、演出例を出してデザインに落とし込んでもらい、現場で答え合わせをする。『生徒が考えた衣装と、私が考えたものの間にどんな乖離があったか』を、ライブの後でフィードバックできれば」と意気込む。

衣装で大切にしていることは?

記者会見には、=LOVEのメンバー、大谷映美里氏も登壇。この日、大谷氏が着用していた21stシングル「恋、はじめました。」の衣装を例に挙げ、フリルやリボンをふんだんに使い、今年の秋冬のトレンドであるドットを採用したこと、透け感を意識することで、ドールっぽいイメージを大切にしたことなどを茅野氏が生解説した。

茅野氏が手がける衣装の魅力について大谷氏は「かわいいと動きやすいの比率が本当に完璧」と絶賛。これを聞き、茅野氏は「どうやって世の中に出していきたいのかを、ちゃんと汲み取る必要があるなと思っているのと同じくらい、着用者がステージに立つ上でストレスや不安がなく、100%の実力を発揮できるというのは重要なこと」と話す。

茅野しのぶが考える
衣装デザイナーになるための資質とは?

最後に、茅野氏と大谷氏にインタビュー。グループのらしさだけでなく、メンバー1人ひとりの個性をキャッチアップするデザインを手掛ける茅野氏が、衣装デザイナーに大切だと感じている資質を聞いた。

ーこれからの衣装デザイナーに大切な資質とは?

茅野しのぶ(以下、茅野):探究心と好奇心、それに基づいた行動力が大切。例えば、街中で流行っているものや、ウケているコンテンツについて「なんでウケているのか?」を考えることが大切だと思う。

ー衣装やファッション以外のことにも興味を持つということなのか?

茅野:はい。よくファッションデザイナーを目指し、「インスタグラムで勉強している」と言う人がいるが、他のファッションから得たインスピレーションでは何かのモノマネになってしまう。もちろんSNSからトレンドを知ることは良いと思うが、色々なことに興味を持ち「こういうのがあったらいいのに!」と考えることが大切では。作りづらさや使いづらさなど、まずは色々な事情を無視することで、新たな価値を生み出せるはず。今まさに=LOVEのメンバーの間で流行っている、スクイーズもその1つ。最初は「なぜ流行っているのか?」が理解できなかったが、実際に買ってみたら私もまんまとハマって。そういう意外なことがデザインソースになる可能性もあるから、頭の中のアイデアの引き出しにさまざまな情報を入れておくことが必要だと思う。

ー流行っているものを、実際に自分自身で手にとってみることも大切だ

茅野:はい。実際に理由をひも解くというのが重要だ。「アイドルの魅力を届ける」ということを考えるとき、人に分かりやすく伝えることの練習になるはず。

ー大谷さんの立場から見て、アイドルの衣装を手掛けたいと考えている人に大切にしてもらいたいことは?

大谷映美里:グループの色やメンバーそれぞれの個性、似合った衣装はもちろんだが、一番は「着てテンションが上がるか」「自分に自信が持てるか」というところが大事だと思う。いつもそんな衣装を作ってくれるしのぶさんには感謝している。

関連タグの最新記事

ファッションの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

投資会社特集 PEファンドという“劇薬”を良薬として活用するために 定期購読者にはビジネスリポート【付録:2027年春夏東コレ開幕号】

8月31日号の「WWDJAPAN」は投資会社、中でも投資家から集めた資金で未上場企業の株式や成熟企業の経営権を取得し、経営に深く関与して企業価値を高めた上で売却して利益を得るプライベート・エクイティ・ファンド(以下、PEファンド)を特集します。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。