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特集 CEO2026

【タカラベルモント 吉川秀隆会長兼社長】高機能チェアを中心に 欧州ナンバーワンの存在へ

PROFILE: 吉川秀隆/会長兼社長

吉川秀隆/会長兼社長
PROFILE: (よしかわ・ひでたか)1949年大阪市生まれ。日本大学経済学部卒業後、自動車販売会社勤務。74年に祖父の吉川秀信が創業したタカラベルモントに経理担当で入社した後、デンタル・メディカル機器の営業および製品企画、理美容機器の営業を担当。85年に東京支社長に就任。89年に40歳で社長就任後、99年から会長を兼務している PHOTO : KOJI SHIMAMURA

120を超える国で理美容機器、化粧品、歯科機器、医療機器を展開するタカラベルモントは、100周年を機に「美しい人生を、かなえよう。」をパーパスに制定し、「サステナビリティ」の視点を取り入れたモノ作りと、美と医療を融合した新たな価値・サービス創出を加速している。2025年はその集大成の一つとして大阪・関西万博で「量子飛躍する美の世界」を出展し、未来の“真の美”を問いかけて世界に存在感を示した。

1970年の大阪万博に続き2回目の万博出展

WWD:2025年の話題で外せないのは大阪・関西万博の出展だ。

吉川秀隆会長兼社長(以下、吉川):1970年の大阪万博に続き、2回目の万博出展企業の数少ない中のひとつだ。美容と医療を融合した「ミライのヘルスケア」ゾーンに出展し、連日大盛況となりメディアに多く取り上げられた。今回のパビリオンはサステナブルな考えで、ビス1本まで全て回収し、捨てるモノがなく全て再利用することを目指した。また、万博開催期間中に「サステナビリティ×工芸」をテーマに、石川・金沢の鋳物メーカーの金森合金と読売新聞社との共同で、使用済みのヘアカラー剤アルミチューブと新聞印刷時に使用するアルミ製の板を活用した工芸品「ORIZARA」を実験的に展示・販売した。

WWD:なぜヘアカラー剤アルミチューブを活用した?

吉川:薬剤が付着しているアルミは水平リサイクルすることが難しい。国内でのカラー剤回収率はおよそ6%ほどでほとんど捨てられており、海外ではアルミチューブの9割以上が焼却処分されていると言われている。当社はヘアカラー剤など商材の売れ行きが好調なのは良いことだが、売り上げが伸びることは廃棄物も増えるということ。 美を作る会社が大量の廃棄物を出すことは許されないという発想から、工芸が持つ力で持続可能な社会の実現を目指す、実験的な取り組みを万博から発信した。

WWD:万博を、この先どうつなげていくのか。

吉川:万博のレガシーとして、「伝統、そして未来へのサステナブルと宇宙」について後世に伝えていきたい。“宇宙時代”は遠い世界の話ではなく、身近に来ている。宇宙時代に向けて当社は何ができるのかを考えており、まずは宇宙で使える化粧品を開発したいと思っている。

WWD:グローバルでの状況は?

吉川:当社が注力しているのはイギリス、イタリア、フランス、ドイツで、27年に欧州ナンバーワンの存在になる方針を掲げている。欧州に数ある数十億円規模の企業に比べて、当社のサロン向けスタイリングチェアをはじめとする理美容関連機器の機能性は非常に高い。しかし価格の高さがネックとなっているため、現地で一部の製造を行っている。また、欧州では徐々にヘッドスパ文化が定着しつつある。日本でもヘッドスパが定着するまで約20年かかっている。浸透するには時間が必要だが、ヘッドスパやシステムトリートメントなど長時間のメニューも快適に過ごせるチェアの“YUMEシリーズ”をメインに展開していく。今年早々にはイタリアやフランス、ドイツでヘッドスパアカデミーというスクールを開始し、日本の美の文化を海外に伝える予定だ。

WWD:そのほか25年に注力したことは。

吉川:10月に組織改編を行い、各事業部で行っていた役割を、営業本部・生産本部・管理本部・開発本部の4つの本部制に集約。例えば化粧品やメディカル、グローバルなど全ての営業を営業本部にまとめたり、工場や物流センターなど製造に関するものを全て生産本部にまとめたりしている。これまでばらばらになっていた指示系統が明確化され、スムーズに動くことが可能となった。また組織改編を機に、私は営業本部長を兼任する。現場への権限の委譲を徹底したうえで、経営と営業がより緊密に連携する体制を通じて、グローバル市場で勝ち抜くための営業力を底上げする。また、当社の研究力は年々進化している。11月の日本顔学会では、AI搭載スマートデバイスミラー「エシラ」の顔分析機能を活用した顔学的知見、および相同モデル化技術を用いた笑顔の種類毎の表情筋の使い分けの視覚化と、顔立ちの年代特徴に関する研究がダブル受賞した。12月の日本化粧品学術大会では、毛髪バイオマーカーの可視化と、育毛などへの応用を見据えた毛根部への新たな浸透法を発表し、化粧品技術者から注目を集めた。私も22年度から、全国の現場との交流を図る企画“社長行脚”を実施している。昨年10月には開発本部に出向き、開発チェックや海外市場の情報交換などを行っている。

WWD:26年はどのような1年に?

吉川:欧州でナンバーワンを取るためのスタートの年。そして国内では、メディカル事業での新分野を広げるために動いている。また、化粧品事業はこれまで営業と生産工場が別々に動いていたが、組織改編によりマーケティングと開発が1つの目標に向かって急進的に動くようにする。今回の改編では「自立と自律」を発信しており、26年は社員が一丸となり、自身を律しながら目標に進んでいく。

個人的に今注目している人

内閣総理大臣 高市早苗さん

日本は政治や経済において強い国でないといけない。そして、海外に向けて積極的にさまざまなことを発信しなければいけない立場であると考えている。高市首相は行動力もあり発信力も大いに期待できる。また、お互い奈良にルーツがあり、同じ関西人として意気投合できるだろう。一度接点を設けて会いに行き、お友達になろうかな。

COMPANY DATA
タカラベルモント

1921年に鋳物工場としてスタート。31年に理容椅子の製造を開始し理容・美容業界に進出。56年にニューヨークに現地法人を構え、海外事業をスタート。67年に歯科・医療機器の製造を開始。73年に日本初の機器を使用したエステティックを紹介し、77年に自社化粧品ブランド(現ルベル)を立ち上げる。82年には基礎化粧品の発売をスタート。2021年に創業100周年。25年に大阪・関西万博に出展し、「これからの宇宙時代における“美”」を来場者たちに問う展示を行った

TEXT : WAKANA NAKADE
問い合わせ先
タカラベルモント広報部
06-7636-0856