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特集 CEO2026

【シック・ジャパン 後藤秀夫社長】シェービング前の肌ケアを日本の”当たり前”に

PROFILE: 後藤秀夫/社長 兼 北アジア地域社長

後藤秀夫/社長 兼 北アジア地域社長
PROFILE: (ごとう・ひでお)米国サンダーバード国際経営大学院でMBAを取得。1996年ジョンソン・エンド・ジョンソン入社。営業・マーケティングに従事。2005年から日本ロレアルで日本・台湾の事業部長を歴任し、事業再建や成長をけん引。17年にヘンケル ビューティーケア日本兼韓国代表として両事業を統括。22年にシック・ジャパン社長に就任し、25年10月から北アジア地域社長を兼任。昨年、経営ノウハウを詰め込んだ自身初の著書「Schick TURN AROUND シック・ジャパン 企業変革のレシピ」(幻冬舎刊)を上梓。各界のCEOから次世代の経営者を志す学生まで幅広い層から反響を集めている PHOTO : KOJI SHIMAMURA

シック・ジャパン(Schick Japan)はビューティグルーミング分野を軸に、日本市場で唯一無二の地位を築いてきた。昨年は日本上陸65周年を迎え過去最高の売り上げを更新し、堅調な成長を遂げた。次の成長曲線を描くために2026年も事業戦略から組織づくりまで改革の手を緩めず、「日本で最も革新的なビューティグルーミングカンパニー」の実現に向けて歩みを加速する。

シェービング前の肌ケアの啓発を強化

WWD:2025年に日本上陸65周年を迎えた。

後藤秀夫社長(以下、後藤):節目の年に過去最高の売り上げを達成し、日本市場で当社の価値と存在感を改めて確認できた1年となった。従来のシェービングカテゴリーを着実に伸ばしつつ「シックファースト トーキョー(SCHICK FIRST TOKYO)」や「プロジスタ(PROGISTA)」など新ブランドの育成にも注力。女性向けのビューティグルーミングカテゴリー強化の準備もスタートできた。

WWD:好調を支えた要因は?

後藤:「シックファースト トーキョー」や「サロンプラス(SALON +)」など日本で開発したブランドが、日本市場で成果を出せた点が大きい。一方で、「ハイドロ(HYDRO)」や「イントゥイション(INTUITION)」といったグローバルの主力ブランドは、売り上げ規模、シェアともに依然として重要な柱だ。26年にはこの2ブランドを大リニューアルする予定で、パッケージだけでなく独自のイノベーションを搭載し、刷新する。レガシーブランドはモダナイズされ、新ブランドが成長を支える。「守り」と「攻め」が両立できる体制がようやく整ってきたという意味で、26年は非常に重要な1年になる。

WWD:25年の売り上げ成長率の見通しは。

後藤:売り上げ成長率は1ケタ台をキープ。前年度が2ケタ成長とかなり高い伸び率だったため、十分に評価できる数字だ。さらに、グローバル全体のグループ内においても非常に高い利益率を確保した。

WWD:若年層を取り込むための施策と成果は?

後藤:若年層、特に10代に向けた取り組みとしては、「シックファースト トーキョー」の展開が非常に大きな役割を果たしている。人気ボーイズグループの起用やティーン向け恋愛リアリティーショー「今日、好きになりました。」とのコラボなどが奏功し、発売1年でメインターゲットのブランド認知は約45%に達した。これまで当社の製品は機能性に寄ったイメージだったが、デザインや世界観、コミュニケーションも含めて、よりビューティで、感覚的に共感されやすいブランドとして設計した。その結果、30〜50代がボリュームゾーンだった市場に若年層を引き込むことができた。

WWD:「プロジスタ」が目指すポジションは。

後藤:「シェービングからはじまる、スキンケアを。」というコンセプトを掲げ、男性の最大の肌悩みであるカミソリ負けを防ぐことに特化したトータル・グルーミングケアブランドとして育成している。シェービング前後の肌状態を一番理解している会社が提案するメンズスキンケアブランドとして独自のポジショニングを築いていきたい。

WWD:グルーミングケアに注力した理由は。

後藤:男性の約半数がシェービング剤を使っておらず、カミソリ負けなどの原因になっている。シェービング剤は肌を守る手段であるにもかかわらず、その重要性が十分に認知されていない。当社のパーパスは、「“ビューティグルーミング”を通して、一人でも多くのお客様に『ワクワク感』と『幸せ』を感じて頂ける毎日をお届けすること」。男性の美肌づくりは、シェービング前後のケアまで含めて完結するもの。だからこそ、トータルでのアプローチが必要だと考えた。実際、シェービング剤市場は男性・女性ともに2ケタ成長を続けている伸びしろのある大きな市場。メイクをしたらリムーバーで落とし保湿するのと同じように、まずはシェービング前の肌ケアを日本の当たり前にしていきたい。

WWD:組織づくりの面での取り組みは。

後藤:若い世代にどうブランドを理解してもらうかを考え、将来を見据えた人材採用にも力を入れた。価値観に共感する若手の人材の必要性を感じ、当社では初めて新卒の採用を進めた(27年4月入社)。さらに、各部門の役割を整理し体制を整えたことで現場の声を経営に反映しやすくなり、社員一人一人が自分ごととしてパーパスやビジョンを語れるようになった。

WWD:海外事業の現状は。

後藤:25年10月から中国、台湾、香港を含む北アジア地域を統率する役割を担っている。日本発のイノベーションやブランドを各国・地域の生活者ニーズと掛け合わせることで、グローバルに通用するスケールへと育てていきたい。現在は、その実現に向けて、基盤づくりを着実に固めているところだ。

WWD:26年の展望は。

後藤:今年は国内ウェットシェービング市場で30年連続No.1※2の年。引き続き選ばれ続けるブランドとして市場をけん引していきたい。また、シェービング前の肌ケアの啓発を強化し、「日本で最も革新的なビューティグルーミングカンパニー」を実現する。

※1 インテージSRI+カミソリ市場(ホルダー、替刃)(2024年10月~ 2025年9月)メーカー別累計販売金額
※2 インテージSRI+ カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)(1995年11月~ 2025年10月) 各年メーカー別累計販売金額

個人的に今注目している人

エッジウェル・パーソナル・ケアCEO
ロッド・R・リトルさん

社外で特定のロールモデルは設けていないが、社内では私の直属上司であるグローバルCEOのロッド・R・リトル氏をロールモデルとして注目している。人間味あふれるリーダーシップとローカルへの権限移譲は学ぶ点は多い。グローバルCEOと定期的に、直接対話できる環境の中で、その思考や意思決定のプロセスを吸収し、自身の判断に生かしている。

COMPANY DATA
シック・ジャパン

世界50カ国以上でビジネスを展開しているエッジウェル・パーソナル・ケアグループの一員。主要ブランド「シック(SCHICK)」は、日本市場におけるウェットシェービング業界を牽引する存在。また、女性用シェーバーの分野においても高い支持を獲得している。シェービングを起点としたビューティグルーミングケアを通じ、人々の日常にワクワク感と幸せを感じてもらえる毎日を提供することをパーパスとし事業を展開している

TEXT : NAOMI SAKAI
問い合わせ先
シック・ジャパンお客様相談室
03-5487-6801