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特集 CEO2026

【エイペックスコマース 茂住昌子CEO】大ヒットブラシで認知が拡大、次なる軸はスキンケアと漢方

PROFILE: 茂住昌子/CEO

茂住昌子/CEO
PROFILE: (もずみ・まさこ)1977年、富山県生まれ。富山国立工業専門学校を卒業後、化粧品企業の品質管理課で勤務。その後、プログラマーに転身。26歳でカナダに渡り、映画業界での経験を積みながらサロンを経営。心と体の健康が真の美しさに直結することを実感し、北米各地でセラピストの講義を受講。その後、ニューヨークで大学に編入し、児童心理学を専攻。渡航から15年を経て、出産を機に日本へ帰国。海外生活で得た日本の強みと課題への知見を生かすべく、次女出産後に起業を決意。現在に至る PH0TO : SHUHEI SHINE

化粧品の輸入・製造・販売を手掛けるエイペックスコマースは、オーストラリア発の敏感肌向けスキンケアブランド「スノー フォックス スキンケア(SNOW FOX SKINCARE、以下、スノー フォックス)」の日本総代理店として成長してきた。ブランド上陸5年目となる昨年は、東京・表参道にコンセプト漢方薬店「レメディ ケイブ(REMEDY CAVE)」を開設。スキンケア、漢方、リフレクソロジーを三位一体で提供する美と健康の“トータルケア”拠点として本格始動する。

「スノー フォックス スキンケア」は
次の成長フェーズへ

WWD:2025年をどのような一年と捉えているか。

茂住昌子CEO(以下、茂住):21年に「スノー フォックス」を日本市場に導入し、誰もブランドを知らないところからスタートした。最初の3年間は、“カッサ ブラシ”シリーズなどヒット製品が生まれながらも、資金も人手もなく私が全てを抱えて走っていた。25年は、ブランド創設者であるフィービー・ソング(Phoebe Song)のDNAを持った製品とブランド、組織が自らの足で立ち始め、私は一歩引いて見守れるようになった。

WWD:「スノー フォックス」の商況は。

茂住:全体として堅調に伸びた一年だった。1月に体や頭皮のツボを刺激してマッサージできる独自形状の“ゴーストブラシ”を発売し、ヒットしたのが大きかった。じわじわと需要が高まり、クリスマス商戦では潤沢な在庫を用意したにもかかわらず完売。予約販売に切り替えても注文が止まらなかった。「スノー フォックス」のブラシは、台湾の職人が一つ一つ手作業で繊細な24Kゴールドピンを打ち作り上げている。伝統工芸品の道具としての美しさと、頭皮の巡りを良くする実用性の両方が評価され、ブラシを通じてブランドの認知が定着した。

5月に発売した“スノーメルト モイスチャー マットブライト パウダー”も、とあるインフルエンサーが“鉄壁パウダー”と名付けて紹介してくれたことで一気に火が付いた。ココナッツオイルをパウダーにしたことにより、「乾燥せず化粧崩れしにくい」という声を多くいただいた。パウダー発売前は、ブラシとスキンケアの売り上げ比率が6:4だったが、発売後は4:6に逆転するほどスキンケアの売り上げが一気に拡大した。

WWD:販路も増えている。

茂住:これまでは自社ECを中心に、楽天などのモールを含めたECでの販売が主戦場だった。そこにポップアップイベントによる百貨店や専門店での展開が加わり、製品に直接触れてもらう機会を少しずつ増やしてきた。12月には「スノー フォックス」を直営販売する新コンセプトの漢方薬店「レメディ ケイブ」をオープンし、オンラインとオフラインの両輪でお客さまと接点を持てる体制が整った。

WWD:店舗オープンの経緯や思いは。

茂住:富山にいた頃から、インターネット上のやりとりだけでは、肌の不調に悩む人たちと本当の意味でつながりきれないと感じていた。リアルな拠点がないと、最後まで助けてあげられないのではないかというもどかしさがあった。肌や体調、メンタルまでトータルで寄り添える場所が必要だと思ったことが、会員制サロン「レメディ ケイブ」の出発点となった。

コンセプトは“三調律”。外(肌)・内(体)・習慣(心)の三つを同時に整えることを目指している。扱う漢方は、体質やライフステージに合わせて美肌へ導くラインアップに絞り、毎日の生活の中で無理なく続けられることを重視する。店舗には薬剤師が常駐し、カウンセリングを通じて一人一人に合った漢方の飲み方や組み合わせを提案している。お客さまは店名の通り「ケイブ=洞窟」にいるような、日常から少し離れた場所でリフレクソロジーやヘッド、フェイシャルケアを合わせた内外美容を体験する。お客さまが体験したことを語り合い、新たなストーリーが生まれる。その積み重ねがブランドそのものになっていくような場所にしたい。

WWD:26年の展望は。

茂住:私自身が生活拠点を富山から東京へ移し、ビジネスを次のフェーズへ引き上げる勝負の年になる。まずはECで収益を上げ、特に利益率を高めていくこと。「レメディ ケイブ」は短期的な売り上げを追うのではなく、中長期的にブランドを成長させる拠点として丁寧に育てていきたい。その上で、2号店の構想も少しずつ練り始めている。2号店では、店内で漢方を調合できる設備や体制を整え、薬剤師やスタッフがその場で提案から調合までを一気通貫で行えるようにしたい。さらに、「レメディ ケイブ」は人を育てる場所としても機能させたい思いがある。漢方やリフレクソロジーの知識、ECや物流、カスタマーサポートの経験などを横断的に身に付けられる場にし、育った人材が2号店、3号店へと羽ばたいていく流れをつくれたら。

また、店頭で好評を得ている漢方由来の健康食品のラインアップを拡充し、スキンケアとインナーケアをつなぐ提案を強める。「スノー フォックス」においては、スキンケア製品のパッケージデザインを含めたリニューアルを行うとともに強力な新製品の投入も控えており、スキンケアカテゴリーのさらなる伸長を見込む。悩みを抱える人のそばに常にいられる存在であり続けることが、当社のこれからの使命だと思っている。

個人的に今注目している人

一般社団法人e-kagaku国際科学教育協会
代表理事 北原達正さん

幼少期から宇宙やブラックホールに魅せられ、科学誌「ニュートン(NEWTON)」を読み込んできた私にとって、NASAとJAXAの両方にパイプを持ち、最先端の宇宙・科学教育を子どもに届ける北原先生の活動は興味深く、“人”という国の財産を世界へ輩出する仕事だと深く共感している。経営者、そして母親としても日本の若い才能を育て、世界で戦える人材として送り出したいという私自身のビジョンとも響き合う。厳しくも愛のある指導方針と、日本の未来に賭ける情熱を心から尊敬している。

COMPANY DATA
エイペックスコマース

2019年設立。富山県に本社を構え、化粧品の製造・販売を手掛ける。肌悩みに寄り添い、肌の変化を追求するオーストラリア生まれのビューティブランド「スノー フォックス スキンケア」の総代理店として、子育てをしながら女性が美しく活躍できる企業を目指す。徹底した内製化でコスト削減を図り、輸入、物流、広告運用、ECサイト運営、営業全てを最小限のスタッフで対応する。25年12月、コンセプト漢方薬店「レメディ ケイブ」(東京都渋谷区神宮前5-45-8 North Aoyama 1F-A)をオープン


問い合わせ先
エイペックスコマース
076-413-8302