PROFILE: 稲冨幹也/社長

エムスタイルホールディングスはツバメの巣で世界中に驚きと幸せを生み出すことを企業理念に掲げている。100%天然アナツバメの巣を活用したインナーケア・コスメブランド「ビース(BI-SU)」とペット向けブランド「ミラネスト(MIRANEST)」を展開し、相乗効果でビジネスを加速させている。科学的な裏付けによって信頼を獲得し、2027年には売上高100億円を目指して、世界へとツバメの巣の魅力を打ち出す。
科学的エビデンスとブランド体験
2軸での市場開拓
WWD:2025年で象徴的な成果は?
稲冨幹也社長(以下、稲冨):私がツバメの巣に興味を持ったのは、マレーシアで治療に使われているのを見たことがきっかけだ。「中華圏で1500年にわたり食べられてきたツバメの巣を医療・治療のために使いたい」「天然原料の効果効能が客観的データで裏付けられることで、品質への信頼を高めたい」。そんな思いで研究を進めてきて、昨年はさまざまな成果が得られ、幾つかの特許を取得することができた。
WWD:具体的にどのような研究成果が得られたか。
稲冨:「ビース」の顧客から寄せられた「アトピー性皮膚炎の症状が改善した」という声を受け、「ツバメの巣はアトピーに効果を発揮するのではないか?」という仮説から国立大学と共同研究を行った結果、天然アナツバメの巣エキスが、免疫の暴走を抑える「制御性T細胞」の増強を促す可能性を突き止めた(特許取得)。その過程で、細胞内のミトコンドリアも増強させることがわかり、筋肉の修復と増強を促す可能性も示唆された。また昨年は、抗がん剤治療による造血幹細胞へのダメージ軽減につながる可能性が見え、国際特許を出願。天然アナツバメの巣エキスががん治療に貢献できるのではないかと考え、医療機関や専門機関との共同プロジェクトを今年からスタートする。ツバメの巣を食べて病気を治すというビジョンに向かって前進している。さらなる投資により、ツバメの巣から抽出されるシアル酸の濃度を高める機械の発明や製造工場の強化に注力する。
WWD:消費者に対してはどのようなアプローチをしているか。
稲冨:戦略は二つある。一つはアカデミックな戦略で、ツバメの巣の効果効能に対して科学的な裏付けをする。もう一つはブランド戦略だ。百貨店でのポップアップや外商との連携を大切にした。美や健康、環境、動物福祉の精神を持つお客さまにブランドを認知してもらいたいし、共感を得られると考えている。「何も傷つけない、お客様を加害者にしない」という当社のポリシーに興味を持ってもらい、全国の百貨店と外商をターゲットに限定のイベントにも取り組むことができた。
WWD:出店も視野に入れている?
稲冨:2月には伊勢丹新宿本店イセタン ビューティ アポセカリーに出店する。加えて、年内には京都と福岡に路面店を開業する。京都にはツバメの巣を使ったメニューを提供するカフェバーを併設する。1000年以上の歴史がある京都は日本でも特別な街の一つだ。世界中からセレブが訪れる土地でもあるので、力を入れてアピールしたい。創業地である福岡には3階建ての商業施設を建設している。「ミラネスト」を軸にカフェやペットホテル、動物病院、スパを展開する予定だ。かっこよく、スタイリッシュに発信することで、街と人、動物(ペット)が共存する新たなカルチャーを創り、これからは病院ではなくミラネストカフェで治す時代を作っていきたい。
WWD:「ミラネスト」の進捗はどうか。
稲冨:「ミラネスト」は国内だけでなく、ドイツ、アメリカで展開を進めている。日本に比べ、海外ではペットや犬に対するリテラシーが高く、サステナブルや動物福祉の価値感と親和性が高いと感じている。また実は動物病院を訪れる動物の6〜7割が犬といわれている。犬は皮膚病にかかりやすく、とくに原因不明で治療が確立されていない難病、アロぺシアXという脱毛病に悩む飼い主が多い。「ミラネスト」を与えたところ、アロぺシアXが改善したという口コミが広がり、25年はとくにアメリカで伸長した。ケミカルに依存した治療が当たり前とされる中で、天然物で予防リテラシーを高めてゲームチェンジャーになりたい。今年は「ミラネスト」を10億円規模のブランドへと成長させる。さらに愛犬が病を克服した感動体験をきっかけにツバメの巣への関心を引き、海外市場での「ビース」の展開を加速させたい。
WWD:相乗効果で国内外での成長を狙う。
稲冨:「ビース」を立ち上げてから15年、地道に成長してきたが、本当の成長期は昨年から始まった。25年の売上高は前年比35%増だった。2年後には100億円を目指す。「ミラネスト」をフックに「ビース」の世界戦略がようやく形になってきた。
WWD:どのような姿勢でビジネスに取り組むか。
稲冨:1500年もの間、心ない密猟者によって卵やヒナが犠牲となる乱獲が繰り返されてきた。それでもなお、人類に恩恵を与え続けてきたアナツバメを、絶滅させるわけにはいかない。アナツバメをはじめ、マレーシアのジャングル全体を守るという精神と活動を忘れず、まい進していく。
個人的に今注目している人
火星への人類移住計画を最終目標に掲げ、人類存続のために戦い続けている姿に感銘を受けている。誰も目をつけていないところに目をつけて、0から1を創り出すチャレンジ精神には脱帽だ。私自身ツバメに着目して、「ツバメ王になる!」と言って、周囲に笑われながら挑戦し続けてきた。一挙手一投足が注目されるマスク氏が、自分が正しいと信じ、人類のために夢や使命に向かって進む姿にいつも胸を打たれている。
2010年設立、本社は福岡県。自然環境に一切負担をかけないサステナブルな理念を掲げ、採取から研究・製造まで生態系全体への影響を考慮した一貫体制のもと、稲冨幹也社長自らマレーシア・ボルネオ島で採取した100%天然アナツバメの巣のみを活用したインナーケアや美容コスメ「ビース」の販売を行う。16年にはペット用栄養補助食品を提供するブランド「ミラネスト」を立ち上げた
エムスタイルホールディングス
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