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「クリエーターズ トウキョウ」メンバーの「クロマ」の活躍と縫製会社フクルのサポートに迫る

 「Tokyo新人デザイナーファッション大賞」は1984年オンワード樫山が創設し、アマチュア部門に加え、2011年にスタートしたプロ部門は世界で活躍できるデザイナーを発掘してビジネス支援を行なっている。プロ部門の審査を通過し、ビジネス支援を受けている若手デザイナーたちのユニットが「クリエーターズ トウキョウ(CREATORS TOKYO)」だ。現在は、繊維ファッション産学協議会の主催により、毎年10人程度が選出され、3年間にわたりさまざまな支援を受け国内外でビジネスを拡大している。

 その中で最近頭角を表しているのが、17年に「クリエーターズ トウキョウ」の所属ブランドとなった「クロマ(CHLOMA)」と「キディル(KIDILL)」だ。両ブランドのモノ作りを支える人々との対話を2回に分けて送る。1回目は鈴木淳哉と佐久間麗子が手掛ける「クロマ(CHLOMA)」と縫製会社フクルの木島広代表。彼らが発する言葉の中には、いくつもの共通したキーワードが見つかり、そこからモノ作りに必要な根本的な情報やヒントを知ることができる。

 「クロマ」は2次元的イメージの強い近未来的デザインを特徴としているが、実物は複雑なパターンからなる造形的なアイテムが多く、形にする上でブランドと共に考え、クオリティーを支えてくれる縫製業者との出会いが重要となる。そういう意味で「クロマ」のブランドアイコンでもあるアノラックパーカなどの縫製を引き受ける、フクルの木島代表との出会いは大きい。元「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」のチーフパタンナーを務めていた木島代表に「この仕事は引き受けたい!」と思わせた「クロマ」のビジョンと、縫製業者とブランドの上手なつきあい方について聞いた。

―「Tokyo新人デザイナーファッション大賞」プロ部門(以下、ファッション大賞)の支援は2年目となり、ブランドも安定してきたのではないか。フクルと取り組むことになったきっかけは?

鈴木淳哉「クロマ」デザイナー(以下、鈴木):縫製が難しいサテン地の服や薄地の機能系ウエアを引き受けてもらえる縫製業者が見つからず、わらにもすがる思いで、ファッション大賞事務局に相談してご紹介いただいたというのが始まりです。まず会社の資料を送ってもらい、それを見た第一印象は、とても現代的なフィーリングを持っているなということでした。ITを使っての最適化による小ロットでの生産システムの提案であったり、3Dトワルの料金表もあって、すごく新鮮で。いまだにファクスでのやりとりが生き残っているこの業界の中で、感覚的に信頼できそうで、僕たちのブランドと合いそうだなと思い、連絡しました。

―「クロマ」の仕事を引き受けたいと思った理由は?

木島広フクル代表(以下、木島):私たちだけでなく、縫製業者であれば恐らく仕事を受ける際に優先順位をつけていると思いますが、その優先順位が何によって左右されるかというと、1つは“人”ですよね。縫製側で全ての問題が解決できることはなく、必ず一緒に折衷案を探りながらやっていきます。“パターン”と“素材”と“人”という不確定要素でやるからには、一緒にコミュニケーションをとりながら作り上げていける人でないと。もう1つは“お金”。ときどき「支払いを待ってもらえませんか?」という人がいますが、私たちが待つということは、次の人にも待ってもらうということです。ビジネスをする上では、資金繰りをしっかりと計画して、支払いができるということを確定させてから依頼することが大切で、その責任を理解すること。その2点が決め手です。そのビジネスの兼ね合いをいかに、いいスパイラルに持っていけるかというのは、やはりそのブランドの持っているパーソナリティーであり、最終的にブランディングになってくるのかなと思います。「クロマ」はその2つの要素を備えていて、責任感がすごく強い。仕事を引き受け、優先順位を高めてあげたいと思ったのは、そういうことなんです。私たちもポジティブになれる関係だったことが大きいです。

―木島さんのお話をうかがって、どう思うか?

鈴木:サテンのアイテムについてやりとりをさせていただく中で、すごく印象的で、さらに信頼感を抱くきっかけになったことがあります。木島さんは、発注者の僕たちのこともすごく考えつつ、それと同じレベルで縫製職人たちのことを考えているんです。ブランドの要望だけを実現しようとするのではなく、職人たちの経済状況や置かれている状況であったりモチベーションといったところまで、現状をよりよくするために逆に僕たちにもっとこうしてくれないか?とリクエストしてくださって。そこが僕には結構、驚くべきことだったんです。今までお付き合いがあったところだとわりと“お客さん”扱いされていたので。ブランドから要望を出して、それができるかできないかの反応しかなかったように思います。だから、その扱われ方がすごく新鮮だったし、とても信頼できると思いました。プライドを持ち、縫製業の未来を真剣に考えていらっしゃるのだなと思っていました。

木島:ハードルが上がりましたね(笑)!

佐久間麗子「クロマ」パタンナー(以下、佐久間):私たちはデザイン性の高い服を作っていて、パターンの枚数も多く、仕様が複雑なので縫うのも大変です。ブランドを始めた当初は工場に依頼するのは難しいと思い、自分たちで縫って量産していたんです。縫う大変さが理解できるので、工場への指示を丁寧にするように心掛けています。木島さんは、「クロマ」が表現したいことをくみ取ってくださった上で、工場側の視点からこういうところが大変とか、パターンの指示をこうしてほしいとか、ここは少し厳しく要求し過ぎなのでは?といったことを直接伝えてくれます。だからこそ、じゃあ次はこうした方がいいと分かり、自分たちも成長できるんです。

問い合わせ先
Tokyo新人デザイナーファッション大賞事務局
03-3299-2492