ファッション

今年のベストセラー「フロス」“アイシーライツ”の魅力

 2016年、インテリア業界では「フロス(FLOS)」の“アイシーライツ(IC LIGHTS)”がヒットした。この照明は、ロンドンを拠点に活躍するデザイナーのマイケル・アナスタシアデス(MICHAEL ANASTASSIADES)がデザイン。真鍮の棒に丸い電球が絶妙なバランスで付いた“ICライツ”は、究極のミニマル・デザインでありながら、一度見たら忘れない最大限のインパクトも兼ね備えている。発売前から問い合わせが殺到し、「アルフレックス(ARFLEX)」「B&Bイタリア(B&B ITALIA)」「カッシーナ・イクスシー(CASSINA IXC.)」などの店舗をはじめ、アクタス(ACTUS)やコンランショップ(THE CONRAN SHOP)、リヴィング・モティーフ(LIVING MOTIF)など、東京では、ほぼ全ての取引先で展示販売。1月~11月までで約900台が売れた。「フロス」の大ヒットは、1998年発表のジャスパー・モリソン(JASPER MORRISON)による“グロ-ボール(GRO-BALL)”シリーズ以来。ここ数年の新作はLEDを使用するが、“アイシーライツ”はハロゲン球を採用。どのような空間にもマッチする普遍性を持ちつつ、人々の感性に働きかけるデザインで業界関係者および消費者に受けたようだ。

 この照明は、背後のストーリーも興味深い。“アイシーライツ”のインスピレーション源に関してアナスタシアデスは、「ジャグリングの名手であるトニー・ダンカンのショートフィルムが出発点。彼が球を掌や腕で自在に転がしている時、彼の指の先に球が静止しているように見える瞬間があった」とコメントしている。シュールな照明はその瞬間を切り取り、球と棒をモチーフに危うい均衡を創造している。“アイシー=IC”という名前は英国入国管理局がイギリスに入国する移民を分類するために用いる認識コードのこと。キプロス出身であるアナスタシアデスは、このランプの転がらない球を、自身に例え、外国人特有のバランスとアイデンティティーの不安定な平衡として表現している。

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