ファッション

好調の「リーバイス」、名古屋に大型店出店 ノースアジアトップが語る“体験”の重要性

「リーバイス(LEVI'S)」はこのほど、東海地区初の大型店舗リーバイス ストア 名古屋ゼロゲートをオープンした。売り場面積は約364平方メートルで、国内最大級を誇る。「リーバイス」製品のカスタマイズやリペア、アップサイクルができる「リーバイス テーラーショップ」も併設し、従来の小売りにとどまらない、最新のブランド体験を提供する戦略店舗だ。

ビンテージコレクションや
「ブルータブ」まで
東海地方最大の品ぞろえ

ワンフロアの店内には、東海地方最大の商品数を取りそろえる。デニムジャケット、ジーンズ、シャツといった定番から、デニムに似合うトップスやアウター、またはノンデニムの商品までシーズンごとの限定商品まで幅広く展開し、さまざまな年代やスタイルニーズに応える商品をラインアップ。こだわりの日本製を中心としたプレミアムライン「リーバイス ブルータブ(Levi’s Blue Tab)」や1890年代からのビンテージを忠実に再現した「リーバイス ビンテージ クロージング(LEVI'S VINTAGE CLOTHING)」コレクションなど、150年以上の歴史を誇るヘリテージと進化が感じられる空間だ。

パーソナライズを楽しめる
テーラーショップ

店内奥の「リーバイス テーラーショップ」では、「リーバイス」の製品を対象に、簡単な丈直しやボタンの付け替えといった修繕はもちろん、よりクリエイティブなカスタマイズが楽しめる。例えば、手持ちの異なるデニムジャケットを組み合わせたり、ジーンズをエプロンやクッションカバーに仕立て直したりすることも可能だ。刺しゅうやパッチ、リベット、ペイントなどの装飾を施し、自分だけの1着を作ることもできるため、世界に一つのアイテムが完成する。

ディビッド・ハマティ=リーバイ・ストラウスジャパン ノースアジア ジェネラルマネージャーに同店の狙いや今後の戦略について聞いた。

体験を届ける
“エンゲージメント・ストア”

WWD:同店に期待することは?

ディビッド・ハマティ=リーバイ・ストラウスジャパン ノースアジア ジェネラルマネージャー(以下、ハマティ):同店は現在の「リーバイス」を象徴する店舗であり、顧客のエンゲージメントを高める重要な拠点だ。特にコロナ以降、人々はただ商品を買う以上に体験を求めに買い物に出かける傾向が強まっていると感じる。そうした需要に応える“エンゲージメント・ストア”と位置付けたい。そして、名古屋は、東京、大阪に次ぐ市場規模を持つだけでなく、「リーバイス」のクラフトマンシップとヘリテージに精通した非常にロイヤルティーの高い顧客が多い地域でもある。ここを出発点に、日本全国にこうした店舗を広めていきたいと考えている。

WWD:“現在の「リーバイス」”とは?

ハマティ:例えば、同店に並ぶプレミアムラインの“ブルータブ”は、さまざまなオケージョンで着られるアイテムをそろえる。人々のライフスタイルを見ていると、デニムの着用シーンは明らかに広がった。つまり、汎用性が重要なキーワードになっている。“ブルータブ”のラインアップを見れば、私たちもカジュアルなジーンズブランドではなく、上から下までトータルファッションを提案するブランドに進化していることを理解してもらえると思う。それから、私たちが注力している、パーソナライゼーションのサービスも体験いただける。日本には特にビンテージデニムのファンが多く、そうした人たちの間ではカスタマイゼーションが次なる付加価値として重要になってくるとみている。私たちはもうお客さまを“カスタマー”とは呼ばない。代わりに“ファン”という言葉を意識的に選んでいる。これからは商品だけでなく、経験でつながるファンコミュニティーを広げていく方針だ。

日本のカルチャーシーンとつながり、
ファンを増やす

WWD:コロナ禍以降業績は堅調に推移しているが、日本での商況は?

ハマティ:日本も非常に好調だ。グローバルと比較すると、特にプレミアムラインがよく売れる。日本のお客さまは、「リーバイス」の150年以上の歴史をすごくよく理解しているからなのだろう。ウィメンズアイテムもよく売れているが、まだまだ伸び代を感じている。去年から「フジロックフェスティバル」へのスポンサードも復活しているが、日本でもカルチャーシーンとの結びつきを強める取り組みが奏功し、若年層との接点も増えている。ローカルブランドとのパートナーシップや店内イベントも引き続き強化する。

WWD:一方、課題は?

ハマティ:日本の経済状況は順調とは言えない。GDPの伸び悩み、高齢化、インフレといった課題を抱えている。ただ、私たちは自社の強みを最大限に生かすことが重要だと考えている。強みとはつまり、ヘリテージ、カルチャー、ブランドのオーセンティシティー、そして日本のクラフトマンシップとの結び付き。人々が求めているのは、共感できる価値であり、かつ自分らしさを表現できるパーソナライズ性、そして信頼できるブランドだと考えている。すでにこれらが市場でしっかり響いている手応えがあり、ゆえにこれまで好調を維持できている。今後も適切な立地での出店を検討しつつ、アートや音楽、スケート、ダンスといったライフスタイル領域でお客さまとのエンゲージメントを高めていく。そしてヘリテージを生かしながら、カルチャーの中心であり続けることが私たちの目標だ。

■リーバイス ストア 名古屋ゼロゲート店

時間:11:00〜20:00
住所:愛知県名古屋市中区栄3-28-11

PHOTO:TETSUO OGINO(SUISAI)
問い合わせ先
リーバイ・ストラウス ジャパン
0120-099-501