サステナビリティ

エコミットが相次ぎ提携発表 LINEヤフー、中部電力ミライズ、日本通運と「不要品を無料で手放せる仕組み」

エコミット(ECOMMIT)は3日、同社が運営する資源循環サービス「パスト(PASSTO)」について、LINEヤフー、中部電力ミライズ、日本通運などとの取り組みを相次いで発表した。いずれの提携も、利用者が条件付きで不要品を無料で手放せる仕組みとなっており、「より気軽にアクションできる仕組みを作ることで、自宅に眠る不要品を都市資源として生かし、循環につなげる」ことを目指す。

「サストモ」LINE公式アカウントのネットワークを生かして回収

LINEヤフーとは3日、会見を開き、LINEヤフーが運営するサステナビリティに関するメディア「サストモ」との本格稼働を発表した。「サストモ」LINE公式アカウントは500万人以上の友だちを持ち、そのネットワークを生かし、自宅の不要品の回収・選別・再流通を「宅配PASSTO」が行う。対象エリアは、北海道・沖縄・離島を除く国内全域で、年間のべ5万人の利用を目指す。

利用者は回収の「必須アイテム」を入れることで、その他のアイテムも併せて送料無料で不要品を送ることができる。回収した不要品は、エコミットが国内外でリユース品として再流通させるほか、リユースが難しいものはリサイクルパートナーを通じて再資源化する。将来的には「メーカーが集めたい資源を自宅から回収することで、ものづくりを変革する取り組みへとつなげたい」方針だ。

両社は昨年9月に「宅配パスト(PASSTO)」の実証実験を関東・中部・関西エリアで1ヶ月半限定で実施。その結果、3558人が「宅配PASSTO」を利用して約44トンの不要品を回収し、循環率(リユース・リサイクル率)は97%となった。エコミットは、これらの不要品を「都市資源」と呼び「より気軽に循環のアクションを行える仕組みを作ることで、自宅に眠る都市資源を手放し、循環につなげることができると明らかになった」と分析している。

“必須アイテム”が1点入っていれば他も無料で回収

この取り組みでユニークなのは、“必須アイテム”を設けた点だ。“必須アイテム”には、アクセサリーや小型家電、玩具、ホビー用品、調理器具などがあり、それらが1点入っていれば、他のアイテムも同梱できる仕組みとした。同梱アイテムには、衣類やタオル、ファッション雑貨、生活雑貨、アウトドア・スポーツ用品、食器類などが含まれる。その理由について川野輝之エコミット社長は「実装前に持続可能な仕組みを構築できるのか、つまり経済性を確保しながら環境と経済の両立が可能なのか、実証実験を進めてきた。宅配の費用をお客様からいただかずに回収するには、他でコストをまかなわなければならない。そのためすでに取得しているデータから一定の価値があり、経済性を確保できると分かっているアイテムを“必須アイテム”とした。“必須アイテム”が1点入っていれば、その他は何を入れても構わないので、それほど使い勝手は悪くないはずだ」と説明する。

また「回収の進展は目覚ましいが、それだけでは根本的な問題解決にはいたらない。現状、廃棄される資源の約70%が適切にリサイクルされておらず、これを食い止めることが重要だ。流通過程での製造・消費のあり方を見直す必要がある。製造業者や販売業者と連携し、資源の回収と再利用を推進するプラットフォームを構築していきたい」と中期目標を語った。

“パストしたら新しい物をいくらでも買ってもいい”は違う

会見では、両社によるトークセッションも行われた。坂野晶エコミット取締役CSO ESG推進室長は「ひとつ懸念していることがあり、“パストしたら何とかしてもらえる、新しい物を買ってもいいよね”となりすぎることは違う。天然資源を大切にしながら、いかにしてビジネスも継続できるかを企業と考え実践してゆきたい」と問題提起すれば、長谷川琢也LINEヤフーサステナビリティ推進統括本部CSR本部課題解決メディアチームサストモ統括編集長が「多くの人が“消費しかわからない”のが現実だが、関わることで親近感、誇らしさを感じるもの。知ることで意識が変わるから、資源循環をより多くの人にとって身近なものにすることが大切だ」と返すなど、議論を深めた。

引っ越し時の不要品を無料で手放せる

中部電力ミライズとは、中部・関西の一部エリア(愛知県・三重県・岐阜県・長野県・静岡県・京都府・滋賀県・奈良県・大阪府・兵庫県・和歌山県)を対象に、「宅配パスト」の提供を3月3日から12月31日まで行う。中部電力ミライズが提供する家庭向けWEB会員サービス「カテエネ」のウェブサイトなどを通じて受け付ける。回収した不要品は、2025年春にオープン予定のエコミットの新拠点「中部サーキュラーセンター」で、国内外向けのリユース品として再流通されるほか、リユースが難しいものについてはリサイクルパートナーを通じて再資源化を行う。「中部エリアで回収したものを地域で循環させることができ、地域の廃棄物量の削減と、資源循環型の地域づくりに貢献する」と同社は述べている。

日本通運とも「宅配パスト」を3月3日から5月31日まで実施。日本通運の引越サービスの申し込み者を対象に、不要になった衣類・雑貨を宅配で送料ゼロで送ることができる。「引っ越し時に出る不要なものの中から、次の人につなげたいものを自宅から気軽に手放し、次の人につなげることができる」仕組みだ。

中部電力ミライズ、日本通運との取り組みも、LINEヤフー「サストモ」と同じく“必須アイテム”を入れることが条件となる。

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