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特集 CEO2024 ビューティ編

【I-ne 大西洋平社長】堅調なヘアケア事業を基盤に、スキンケアを第3の柱に育成

PROFILE: 大西洋平/I-ne社長

大西洋平/I-ne社長
PROFILE: (おおにし・ようへい)1982年生まれ、兵庫県出身。2005年、立命館大学在学中にアパレルモバイル通信事業とインターネット広告代理事業の個人事業主としてY.B.Oを創業。07年3月にI-neを設立し、社長に就任 PHOTO:YUKIE SUGANO

ヘアケア用品や美容家電を中心に企画・製造・販売を手掛けるI-neは、ボタニカルライフスタイルブランド「ボタニスト(BOTANIST)」やミニマル美容家電ブランドの「サロニア(SALONIA)」、ナイトケアビューティブランド「ヨル(YOLU)」など、業界の常識を覆す商品を世に送り出してきた。6期連続で過去最高益を更新する中、新たな領域としてスキンケア事業にも注力する。25年12月期を最終年度とする中期経営計画では、約10の新ブランド投入を掲げてマルチブランド戦略を加速し、25年12月期の売上高550億円、営業利益率13%を目指す。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

“ナイトケア”を訴求する
21年誕生の「ヨル」が急成長

WWDJAPAN(以下、WWD):2023年をどう振り返る?

大西洋平社長(以下、大西):ヘアケアカテゴリーは、国内ドラッグストア市場において当社が展開するブランドの合計販売金額が企業別シェアで国内1位※1を獲得できた。競合ひしめくヘアケア市場で22年からさらにシェアを伸ばすことができたのは、大きな自信になった。

WWD:9月に発売した「ヨル」の“ディープナイトリペアシリーズ”や、10月の「ボタニスト」フルリニューアルは話題になった。

大西:「ヨル」の急成長はヘアケアカテゴリー全体の伸長に大きく寄与した。新シリーズを発売した9月には、ブランド別売り上げシェアで国内1位を獲得。21年のブランド誕生からわずか3年ほどで、売上高100億円が見えてきた。「ボタニスト」は、プレミアム価格帯のシャンプーに求められるのは「ライフスタイル自体のアップデート」であるとのインサイトに基づき8年目でリニューアルを実施。毛髪内部の空洞化リスクに着目しダメージをケアする処方を強化。環境に配慮した原料とパッケージに改良した。まだ伸ばせる余地があると実感している。

WWD:近年はヒット商品を次々に出している。

大西:特にヘアケアカテゴリーにおいては、ブランド開発のアイデア出しからスケールまでの段階ごとにゲートを作り、それぞれにKPIを設定する当社独自のブランドマネジメントシステム「IPTOS(イプトス)」の地道な運用と成功・失敗体験の蓄積が大きい。複数のブランドを展開し、経験値を積み重ねてブランドの垣根を越えて共有することでヒット率が上がっている。例えばAというプロダクトの売れ行きが想定より良くなかったとする。要因はブランドコンセプトが消費者に伝わりにくかったり、ブランドコンセプトとコミュニケーションに一貫性がなかったり、ブランドイメージと価格帯のミスマッチが起きていたりすることが考えられる。「IPTOS」を活用してこれらの改善を一つ一つ繰り返すことでヒットの再現性が高まる。

WWD:ヘアケアに次ぐカテゴリーである美容家電の商況は?

大西:「サロニア」はスタンダードラインのドライヤーとヘアアイロンの値上げを実施し利益率の改善を図った。商品別では「サロニア」の中では2万円台と高価格帯の“EMSリフトブラシ”や“ピュアブライトスチーマー”が非常に好評だ。買いやすい値段で訴求する「サロニア」ブランドも1万円以上の価格帯で勝負できると確信した。商品ラインアップはまだまだ拡充できるので、シンプルで機能性が高い商品によりブランドのさらなる成長を目指したい。高価格帯の美容家電については、新ブランドの立ち上げも視野に入れている。

WWD:23年は新スキンケアブランドの立ち上げも活発だった。

大西:炭酸泡美容の「ドクターシュワン(DR.SYUWAN)」は、当初予定の約2倍の初動売り上げと好結果だった。ECと一部の店舗で展開していたが、今年は実店舗でさらに拡販する予定だ。他にもメンズスキンケアブランド「マーフィー(MURPHY)」は、アマゾンのスキンケアギフトセットカテゴリーでベストセラーを複数回獲得。ECのみの販売ながら、成功体験を積み重ねている。今年2月には肌のバリア機能に着目したスキンアブランド「エンスィ(ENNTHY)」を発売する。社内での試用試験ではこれまでにないほど評価が高く、自分たちの思い入れが強い商品ができてうれしく思っている。スキンケアはノウハウがまだ少ないため、軌道に乗るまで少し時間はかかるだろうが、25年までにはスキンケア10ブランドで売上高50億円の目標が達成できそうだ。

WWD:人材育成への注力を経営戦略に掲げていたが進捗は?

大西:当社の強みであるマーケティングに通じた人材育成が要であることに加え、組織が大きくなるにつれベンチャー企業の良さが薄れてきている問題意識があった。中途人材を含め同じ目標を共有し競争力を高める企業風土の醸成が欠かせなくなっている。ここ数年はマーケッターや営業など職種ごとの当社独自の育成プログラム作成などに力を入れてるほか、各部門内に人事担当を設けるなど育成・評価システムが急激に進化している。今年は人事制度を大きくリニューアルする。意思決定をスピーディーにできる体制を整え、さらなる成長につなげたい。

WWD:24年に向けた戦略は?

大西:ヘアケアカテゴリーは、既存ブランド「ボタニスト」「ヨル」「ドロアス(DROAS)」で新ラインや新商品投入により成長率10%を目指すとともに新ブランドも予定する。美容家電カテゴリーは基幹ブランドの一つ「サロニア」の主力商品であるドライヤーとヘアアイロンの市場シェア拡大を図り中〜高価格帯の商品を拡充する。新たな注力領域であるスキンケアカテゴリーは22年に買収した「リンクフェード(WRINKFADE)」の定期購入客拡大と「ドクターシュワン」「エンスィ」の育成、新規ブランド開発を進める。

※1 ドラッグストア市場におけるヘアケアブランド別売り上げシェア(I-ne調べ)

会社概要

アイエヌイー
I-NE

2007年3月設立。トレンドハンティングチームやアイデア起案コンテストにより数千のアイデアを創出するなど、消費者の潜在的ニーズを商品開発に反映し「ボタニスト」などのヒットブランドを生み出す。アイデア→企画→検証→EC販売→本格展開をたどる独自のブランドマネジメントシステム「IPTOS」を運用し、新規分野や海外にも事業を広げる。20年9月、東証マザースに上場。23年に東証プライムへ市場区分を変更した。22年12月期の連結売上高は352億円。23年12月期の売上高は前期比17.7%増の415億円を見込む

問い合わせ先
I-ne
0120-333-476

TEXT : NATSUMI YONEYAMA

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