ファッション

日本初!「メゾン スペシャル」からPLA100%のカットソー、有力企業3社がタッグ

 「メゾン スペシャル(MAISON SPECIAL)」を展開するPLAY PRODUCT STUDIOとハイケム、小野莫大小工業(以下、小野メリヤス)の3社は4月1日から、ポリ乳酸繊維(PLA)繊維のフィラメント糸を100%使用したカットソーを販売する。PLA繊維は、原料にとうもろこしなどのデンプンを使用し、二酸化炭素の排出を大幅に抑えられる一方で、耐熱性などが低く染色が難しかった。化学原料商社であるハイケムは独自にポリマーの配合などに工夫を加えた「ハイラクト」を開発、小野メリヤスやタキヒヨーなどの有力企業とテキスタイル開発を行っていた。

 「メゾン スペシャル」は自社ECサイト上で予約受付をすでに開始している。価格は1万1000円(税込み)。オーバーサイズのパターンを使い、男女兼用で3サイズ。鮮やかで明るいブルー、イエロー、ホワイト、ブラック、ラベンダーの5色展開になる。

 ハイケムは、2020年8月に中国の食品添加物大手の豊原(ほうげん)集団との提携を発表。PLA原料の旺盛な需要に応えるため、豊原集団は子会社を通じて急ピッチでPLA増設を行っており、21年に10万トン、25年までに100万トンにまで引き上げる計画を発表していた。ハイケムは日本展開のパートナーとして、独自の改良を加えたPLA繊維ブランド「ハイラクト」を、小野メリヤスなどの有力企業と組んで、テキスタイルや製品開発を進めている。同事業を率いるハイケムの高裕一(たか・ゆういち)取締役は「早急に日本で流通するポリエステル繊維の20%をPLA繊維に置き換えたい」と野心的な計画を掲げている。

 PLA繊維は生育過程で二酸化炭素を吸収するとうもろこしなどの植物を原料としているためカーボンニュートラルな素材であり、生分解性も併せ持つことから、次世代のサステナブル素材として注目を集め、20年以上前からユニチカや東レが事業化し、日本でも展開していたが、耐熱性の低さから染色が難しく、衣料分野では停滞していた。ハイケムは、PLA分野で世界3位の生産能力を持つ豊原集団と提携し、原料の価格を大幅に引き下げるとともに、小野メリヤスやタキヒヨーといった日本で高いテキスタイル開発力を持つ企業と組んで、製品開発を進めている。小野メリヤスは、独自開発した撚糸技術をベースにしたハイゲージカットソー素材「コズモラマ」で、欧米ラグジュアリーブランドを筆頭に国内外の有力ブランドにテキスタイルを供給しているが、同社の小野元延社長は「この数年で欧州の高級ブランドからはサステナビリティに配慮した商品のニーズが急速に高まっていた。PLA繊維『ハイラクト』を使ったテキスタイルは、大きな武器になる」と指摘する。

 ハイケムはPLAがポリエステルに比べて製造時にも二酸化炭素の排出を86%削減できることなどを検証。さらに「ハイラクト」専用のウェブサイトを立ち上げるなど、PLAに関する情報発信も積極的に行っている。

 ハイケムは高い研究開発技術で知られるユニークな化学原料商社で、PLA繊維「ハイラクト」のほかにも、二酸化炭素からポリエステル原料を生産する技術開発を、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の大型助成を受けて、富山大学などと組んで進めており、「5〜10年以内には商業生産に入りたい」(高取締役)という。

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