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三越銀座店の免税フロアで「よーじや」が躍進 3カ月間の予定が2度の期間延長

 京都発の化粧品ブランド「よーじや」が、三越銀座店8階の免税フロア(Japan Duty Free GINZA)内のポップアップエリアに期間限定でショップをオープンしている。当初は昨年10月から今年1月までの出店予定だったが、好評につき3月まで延長。長期的な売り上げが期待できることから、さらに6月までの出店継続が決まった。関東圏の取り扱いは、羽田空港店と三越銀座店免税フロアのみのため、商品を実際に試すことができる貴重な場所。なぜ2度も期間を延長したのか?コロナ禍においてどのように集客しているのか?緊急事態宣言で休業を余儀なくされことを含めJapan Duty Free Fa-So-La三越伊勢丹 執行役員 林秀樹・業務部長商品担当と、よーじやグループ國枝商店 営業企画部 入江裕司・部長に話を聞いた。

WWD:免税フロアに「よーじや」期間限定ショップをオープンした背景は?

Japan Duty Free Fa-So-La三越伊勢丹 執行役員 林秀樹・業務部長商品担当(以下、林):新型コロナウイルス感染拡大により羽田空港や成田空港の国際線利用客は激減し、訪日外国人をターゲットとしていた免税フロアの売り上げや客数は2019年に比べ9割減に。いま免税フロアの化粧品カウンターはタッチアップ自粛のため美容部員は常駐しておらず、お客さまの要望があれば対応する形になっている。売り上げ確保のために銀座を訪れる日本人客にターゲットを切り替え、「日本人のお客さまがここで買い物をする面白さ」を感じられるフロアにしたいと考えた。「よーじや」は、以前から羽田空港と成田空港に出店しており、実績もあった。「よーじや」が出店しているポップアップエリアは、コロナ前は中国人を中心とする訪日外国人が喜ぶような商品を集積していた。
よーじやグループ國枝商店 営業企画部 入江裕司・部長(以下、入江):メーカーにとって、免税フロアのポップアップエリアは取り合いのエリア。出店依頼があったときは驚いたが、コロナで京都はもちろん羽田空港と成田空港の店舗も状況が悪化していた時期。とてもじゃないが免税フロアに出店する自信はなかった。百貨店の催事も1〜2週間程度しか行ったことがなく、ここまでのロングランは初めて。自信がないので正直、一度はお断りした。しかし、店舗の装飾や期間(当初は1カ月間だったが3カ月間でスタートした)を協力していただき、出店した。

WWD:オープン後の反響は?

林:免税フロアは、休日になると2000〜3000人のお客さまが出入りする。フリーのお客さまが「見たことあるブランドだ」と気付いて、さらなる新客を呼び込んでいる。これまで免税フロアは、「このブランドの、この商品を買いたい」という目的買いで訪れるお客さまがほとんどだったため、これは新しい動き。都内に「よーじや」は2店舗しかないため、わざわざ足を運んでくれるリピーターのお客さまが多い。そのほとんどは百貨店開店後すぐに来店する熱心な人だ。
入江:フリーのお客さまが訪れるとは思っていなかったため、閉店したホテルオークラ東京店と渋谷ヒカリエシンクス店の顧客、そして過去に行った伊勢丹新宿本店の催事で出合ったお客さまなどを呼び込まないと、免税フロアの店舗売上は成り立たないと考えていた。もともと都内の店舗をクローズするとき、何かしらのフォローは積極的にしなければと思った。また、コロナ禍で京都に旅行できない関東圏の“よーじや難民”の人にもアピールしたいと、昨年10月のオープン時は東北から静岡までのエリア5000人の顧客にDMを送った。通常だと戻り率は5〜6%だが8%の目標を立て、結果8%以上のお客さまに来店いただいた。そのほか、インフルエンサーに向けた発表会や、創業116周年企画のスキンケアセット付きムック本などの施策も。結果、オープン後10〜12月の3カ月合計の売り上げは、目標950万円に対し138%を達成した。

WWD:なぜ2回も延長を決定したのか?

林:コロナの影響が続いていること、そして「よーじや」は売り上げを作ってくれるという理由が大きい。免税フロアに来る人は旅行好きが多く、日本人のお客さまが旅行気分を味わえる企画を継続していくためでもある。京都以外に、北海道フェアなども行い集客をしている。
入江:免税フロアで購入するお客さまは圧倒的に自家用。まとめ買いも多く客単価も高い。そして、不要不急で遠くには行けないけれど商品をオンラインではなく実際に触りたいという人も多い。ブランドにとってECはあくまでフォロー的な位置付けで、各店舗は「スタッフ自身が行きたくなるような店」にこだわった世界観にしている。お客さまにとってもブランドと出合う場が多いのは喜ばしいこと。

4月に突然の緊急事態宣言 約3週間ぶりに営業再開

WWD:期間中は2度も緊急事態宣言で休業を余儀なくされた。

林:コロナの猛威が一向に衰えを見せず、また変異型ウイルスの感染が拡大している現状では、今回の緊急常事態宣言の発令及びそれに伴う休業要請等は仕方のないことと考えている。営業再開後も引き続き感染防止策を徹底するとともに、お客様や従業員の安全確保に努めていく。とにかく一日も早くコロナが収束し、以前のように国内外や海外旅行に自由に行き来ができる環境になってもらいたいと思う。
入江:緊急事態宣言による休業は仕方ないが、地下の化粧品売り場やその他の売り場が営業しているため、「よーじや」を目的に来店されるお客さまには本当に申し訳ない気持ちで一杯。前回の緊急事態宣言後は、多くのお客さまから「待っていましたよ」と言われ、予想以上の人数に来店いただいた。

WWD:この三越銀座店8階の免税フロアは5月19日に営業再開。改めて意気込みを。

入江:年始から期間限定ショップが少しずつ認識されており、「よーじや」を待っているお客さまに早く応えていきたい。再開後は、GWの繁忙期に計画していた限定セットを販売するほか、約100年前の誕生当初のあぶらとり紙も並ぶ、「歴代のあぶらとり紙展示コーナー」も設置する。さらに日程は未定だが、メイクアップアーティストによる“withコロナ”に特化した「アイメイクタッチアップサービス」「マスク対応スキンケア裏技アドバイスイベント」を計画。また、SNS世代へのアプローチとして、インスタグラム投稿プレゼントキャンペーンも実施する。サービスの満足度をさらに高め、3カ月で最高売り上げを計画している。当店を必要とするお客さまの期待に応えられるよう、十分な安全対策をしながら営業していきたい。

WWD:三越銀座店の免税フロア、「よーじや」の今後の展開については。

林:コロナの影響がいつまで続くかは不明だが、少なくともあと 3〜4年は続くと想定されている。その間は免税フロアも影響を受けるため、引き続き日本人客に対して“ここにしかない”商材を提供していく。この1年は国内のものを集めてきたが、もし国内旅行が自由にできるようになれば、そのときは海外のものも集める予定だ。また、コロナが明けたらハネムーンに行きたいという人に向けてブライダルフェアも行ってきた。そういった、旅と結びつく取り組みを精力的に行う。
入江:コロナ禍で、「よーじや」のニーズがはっきりした。お土産ニーズはもちろんだが、これまで観光に依存しすぎていたという結果も出ていた。脱観光依存としてリスクヘッジは常に意識しながらお客さまと向き合っていく。リピートしていただけなければ客足は尽きていくため、1人でも多くのお客さまのライフスタイルにブランドのスキンケアやメイク、バス、ボディーアイテムなどが入り込めるように、しっかりと商品を育成する。

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