
2027年春夏ロンドン・ファッション・ウイークのキーワードを挙げるとすれば、「人間らしさ」だ。まるでAIが導き出す正解やロジックに抗うように、あえてシワやゆがみを残し、相いれない色や柄を直感のままにぶつける。あるいは、歴史上の人物への思いや、愛、幻想、高揚感といった感情を服に宿す。均質で整った美しさではなく、デザイナーの意志や衝動が見えるエモーショナルな服に心が動いた。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月5日号からの抜粋です)
「バーバリー(BURBERRY)」
DESIGNER/ダニエル・リー(Daniel Lee)
今季は、テキスタイルアーティスト、セリア・バートウェル(Celia Birtwell)とタッグを組んだ。バートウェルは、1960年代末から70年代初頭にかけて、当時の夫でデザイナーのオジー・クラーク(Ossie Clark)とともにスインギング・ロンドン時代のファッションをけん引した人物だ。バートウェルを象徴する花柄や顔のモチーフを起点に、ハウスチェックをギンガムやストライプへと分解したり、ラベンダーやミモザ、ブルーベリーのモチーフをチェックの上にずらして配したり、立体的な装飾に置き換えたりして、「人間味」を追求したとリーはいう。華やかなドレスにブルゾンを無造作に羽織るなど、スタイリングでも意外な組み合わせを連発した。
「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」
DESIGNER/シモーン・ロシャ(Simone Rocha)
スリップドレスやサテンレースのショートパンツなど、ランジェリーアイテムを基軸にしながら、はかなさや不完全さという側面から女性の美しさを捉えようとした。その上で、「最も美しいものが、最も意外な場所にあるとしたら?」というアイデアをコレクションに反映。コットンギャバジンのワークジャケットの下からオーガンジードレスをのぞかせたり、端正なジャケットから今季のキーモチーフである立体的なバラをあふれさせたりと、ロシャの考える「美しいもの」をあえて意外な場所に配置した。シャツは裾を無造作にたくし上げ、バルーンスカートにはシワ加工を施し、裾を片側だけめくり上げた。こうした意図的な崩れを、ロシャは「人間的な仕草とぬくもり」と表現する。
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