「ディオール オム(DIOR HOMME)」や「ベルルッティ(BERLUTI)」のアーティスティック・ディレクターを歴任したベルギー人デザイナーのクリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)が、自身のシグネチャーブランドを再始動する。2015年の休止から約11年ぶりに復活する「クリス ヴァン アッシュ(KRIS VAN ASSCHE)」では、メンズとウィメンズを展開。高品質なデッドストック生地を用い、生産量を抑えることで希少性を持たせた厳選アイテムを、9月中旬ごろから刷新された公式サイトで披露。同サイトのみで直販する。
過去の復刻デザインから新スタイルまで40型を用意
コレクションをごく少人数のチームを手掛けるというクリスは、大規模なコレクションではなくアイテムを絞り込む方針だが、ジャケットやシャツ、パンツ、スカート、ドレス、ニットなど約40型を用意。過去の代表的なデザインの復刻やシグネチャーアイテムに加え、新たなスタイルも打ち出す。価格帯はデザイナーズブランドの中では比較的抑え、シャツが400〜500ユーロ(約6万3600〜7万9500円)、ジャケットが1000ユーロ(約15万9000円)〜となる予定だ。
「今取り組んでいることは以前よりずっと小規模で、決められたスケジュールに縛られることなく、自分たちで取り組んでいる」と説明するクリスは、ラグジュアリーファッションの第一線から離れていた時間によって、新たな視点や創作への衝動も得たという。そして再始動の背景には、05年に自身のブランドを立ち上げた当時と同じ思いもある。「市場に自分が着たいものを見つけられなかった。だから、自分自身が必要とするものからデザインした。今回はそこにウィメンズも加わる。今という時代に合った提案だと思っている」と話した。
ミックス感のある若々しいテーラリングをいち早く提案
クリスは1998年、アントワープ王立芸術アカデミーを卒業。在学中はウィメンズを専攻していたが、キャリアの大半をメンズウエアに捧げてきた。エディ・スリマン(Hedi Slimane)率いる「イヴ サンローラン リヴ ゴーシュ オム(YVES SAINT LAURENT RIVE GAUCHE HOMME)」と「ディオール オム」で経験を積んだ後、2005年に自身の名を冠したメンズブランドを設立。若々しいテーラリングにスポーツやワークウエアの要素を融合したスタイルを軸に、スーツにスポーツシューズを合わせたり、ウエストをゴム仕様にしたスエットパンツのようなウールパンツを取り入れたりするスタイルをいち早く提案し、08〜10年にはウィメンズも手掛けていた。15年に自身のブランドは休止したが、当時は日本や香港などのアジア市場を中心に世界32カ国約130店舗で取り扱われており、パリにはブティックも構えていた。
また、スリマンの後任として2007年から11年間、「ディオール オム」のアーティスティック・ディレクターを務め、18年4月にハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)の後任として「ベルルッティ」のアーティスティック・ディレクターに就任。3年間務めた後、コレクション発表の方針変更に伴い、退任した。21年にはイタリア・フィレンツェにあるファッションスクールのポリモーダ(POLIMODA)でクリエイティブ・ディレクション修士課程のメンターも務め、近年はベルギーのホームウエアブランド「セラックス(SERAX)」との陶器やパリのダウンタウン・ギャラリー(DOWNTOWN GALLERY)とのブロンズ彫刻の制作に加え、「フレッドペリー(FRED PERRY)」や中国のスポーツブランド「アンタ(ANTA)」との協業などに取り組んできた。なお、現在も複数のコラボレーションが進行中だという。