ファッション

「スタジオ ニコルソン」が初のショーをパリで開催 一貫した美学を映すタイムレスなワードローブ

2010年にニック・ウェイクマン(Nick Wakeman)=クリエイティブ・ディレクターが立ち上げた「スタジオ ニコルソン(STUDIO NICHOLSON)」は6月26日、パリでブランド初のプレゼンテーションを開いた。ランウエイ形式で披露したのは、「これが私たち(This Is Who We Are)」と題した2027年春夏コレクション。そこには設立以来、「デザインを足し過ぎないこと、どこで止めるかを知ることが大切」という考えのもと、一貫して追求してきた美学が凝縮されていた。

ショーの舞台は、パリらしい壮麗な装飾を備えたオテル・デヴルー。華やかな空間の中で際立ったのは、余分な要素を徹底して削ぎ落としたタイムレスな男女のワードローブだ。「目指したのは、シーズンテーマを誇張して見せることよりも、私たちのアイデンティティーを示すこと。初めてだからといって、自分たちらしくないことはしたくなかった。毎シーズン、映画を観て、本を読み、図書館で資料を集め、人を観察しながらイメージをふくらませるのですが、最後は必ず自分たちのデザイン言語やブランドらしさへ立ち返ります。今回は16年前にデザインし、今も売れ続けているパンツも改めて見直しました。いわばブランドの“ベストヒット集”でもあるのです」。

そうウェイクマンが説明するように、映画や音楽、建築家・安藤忠雄の作品から着想を得て、ブランドを象徴するアイコンの進化形と新作を織り交ぜた。例えば、ファーストルックを飾ったリラックスシルエットのトラウザーは、ブランドが初めて手掛け、以来定番となっているモデルをボンデッド・ギャバジンでアップデート。さらに、日本製デニムを用いたストレートジーンズや、スコットランドの伝統的なウールで仕立てた深い股上のテーラードパンツなど、自らを「パンツブランド」と称する主要カテゴリーにも新たな表情を加えた。そこに合わせたのは、ハリ感のあるサファリシャツや、シワ加工を施したボタンダウンシャツ。豊かな質感がミニマルな装いに繊細なニュアンスを与える。英国ブランドらしいワークウエア由来のアウターはユニセックスで提案し、「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」との新作2型も披露した。

さらに、ブランドの成長とともにアクセサリーのラインアップも充実している。ウィメンズではキトゥンヒールのパンプスをはじめ、フォーマルからデイリーまでを網羅。メンズではエスパドリーユを投入した。バッグには豊かなシボ革を用いたバックパックを加え、ウエアにとどまらないトータルブランドとしての発展を印象付けた。

今季は、厳選された素材と研ぎ澄まされたライン、ベーシックカラーにレッドを差し込んだカラーパレットで、心地よいリズムを生み出した。装飾や一過性のムードに頼るのではなく、日常に長く寄り添う服の完成度を突き詰める姿勢こそ、「スタジオ ニコルソン」の本質だ。モデルがまとい歩くことでシルエットと素材の表情がより鮮明に浮かび上がり、長年をかけて築いた美学を世界へ力強く示すランウエイデビューとなった。

「16年間ブランドを続けてきた今だから、ショーを開催する意味があると確信しました。まず何よりも、写真では伝わらない服を見てほしかった。生地の質感や仕立て、これまで費やしてきた時間や努力を、実際に目の前で感じてもらいたかったのです。もちろん、ブランドとしてショーを行えるだけの体力がついたことも大きいですね。自己資金で始めたビジネスなので、必要のないことにはお金を使いません。ブランドが急速に成長し、世界的な舞台に立つ準備が整ったと感じました。次は、来年1月。その後もショーを継続していくつもりです。そして、今後は中国や日本を中心に店舗を増やし、ヨーロッパやアメリカでも展開を広げていきます。16年という時間をかけてブランドを育ててきたからこそ、次のステージへ進む準備が整ったと感じています」。

INTERVIEW & TEXT:ELIE INOUE
EDIT:JUN YABUNO
問い合わせ先
スタジオ ニコルソン 青山
03-6450-5773