PROFILE: 瀬木英俊/社長

2025年、ロート製薬は「オバジ(OBAGI)」の商標権取得やユーヤンサン(余仁生)との協業、さらには採用手法の転換などを通じ、成長戦略を再構築した。「ロート製薬の強みは横のつながりにある」と語る瀬木英俊社長の旗振りの下、その連携力に一層の推進力を与え、次の成長ステージを見据える。
将来へ向けてステージを変える
WWD:社長に就任して半年経つが、25年を振り返ると。
瀬木英俊社長(以下、瀬木):将来に向けてステージを変えていった極めて重要な1年だった。経営陣も大きく刷新し、化粧品業界出身者を含む新たな役員を迎え入れた。人事・組織の両面で次の成長段階に向けた布陣を整えた。さらに、初めての中長期戦略の発表、「オバジ」の商標権取得、対話重視型の新卒採用の開始など、次を見据えてステージを変えていくという姿勢を経営面、事業面、人事面で強く表現できた1年だった。
WWD:ヘアケア事業の拡大やユーヤンサンとの協業、ペット事業の始動など、新領域への展開が相次いだ。
瀬木:ヘアケアはスキンケアとの親和性が高く、製造販売の基盤を生かせる分野だ。競争は激しいが、まだ取り込めるニーズはあると捉えている。たとえば「ギュット(GYUTTO)」の“コルセットヘアマスク”は大人のうねりに特化してヒットした。このように、サイエンスで裏付けした独自性を打ち出し勝負したい。ユーヤンサンは「医食同源」がカルチャーとして根付いている中華圏で146年の歴史を持つ企業だ。その生薬の知見と当社が強みとするケミカル、バイオ、細胞技術を掛け合わせた「フィトサイエンス」で新たな価値を生み出せると考えている。また、アニマル事業はまだ規模は小さいが、犬や猫は家族の一員という視点で重要な領域だ。まずはスキンケアやシャンプーなどから展開し、将来的には幅広い用途の製品へと広げていきたい。
WWD:ポートフォリオは理想に向かいつつあるか。
瀬木:中核のスキンケアと目薬はすでに多くの市場でトップシェアを確立できており、これは今後も維持したい。今後はサプリメントなどの内服系の比率も高めていきたい。外側からのケアに加え、内側からのケアを組み合わせることで、同一顧客に対する提供価値を広げられる可能性がある。内服系は機能性の面でも成長余地があり、重要性を高めていく。また、スキンケア領域では新しい挑戦やリニューアルを重ねながら競争力を維持し、将来を見据えた投資としてメディカル領域の基盤づくりに中長期的に取り組んでいく。
WWD:トップとして改めて感じた強みと課題は。
瀬木:改めて感じた強みは、部署や領域を超えた横の強い連携。その横の力を“前に進める”役割を担うのが新体制だと考えている。鍵になるのはスピード。中国や韓国勢、とりわけファブレス型企業の動きは速く、競争環境は厳しさを増している。弊社は社内製造を軸とした一貫生産にこだわり、品質の高いモノづくりを続けてきた。その強みを守りながら競争に負けないスピードをどう維持・向上させるかが、これからの大きな課題になる。
WWD:スピードはどのようにつくるのか。
瀬木:スピードはディシジョンメイキングの速さだと思っている。管理者一人一人がその場で適切に決められる状況をつくることが大事だ。新製品プロセスの効率化や業務効率向上など余地がまだあるので、AIなどのテクノロジーも活用して進めたい。4月から週3日・4日勤務を導入するが、それは効率化やスピードアップで生まれた時間は、社員のキャリアアップ、社外挑戦、新規事業などに使ってほしいとも思っているからだ。人は会社の所有物ではない。社外経験の成長が一人の人間の中にある多様性になり、それが企業としての多様性につながる。
WWD:約100カ国で事業を展開する海外事業は。
瀬木:総じて堅調だが、何が起こるか分からない世の中で常に危機感は持っている。中国は成長率がスローダウンしている一方、インドネシアやベトナムなどは2ケタ成長だ。他にも、タイはTHANNとの取り組みも含め今後に期待しているし、マレーシア、ブラジルにも可能性を感じている。アジア各国には製造・研究・販売の基盤があり、日本との距離や文化的な親和性も高い。地域特性を踏まえつつさらなる展開を検討していきたい。
WWD:26年に最も注力する領域は。
瀬木:スキンケアやアイケア事業はリーディングポジションを維持・強化することが最優先だ。その上で人の成長への投資とグローバル展開を加速させる。「肌ラボ(HADALABO)」、「Hada Labo Tokyo」は約60カ国、目薬事業も45カ国にまで広がっている。さらに30年頃までに累計約500億円規模のM&Aも視野に入れ、次の成長を確実なものにしていく。
個人的に今注目している人
弊社がオフィシャルパートナー契約を結んでいる「ガンバ大阪」は、常に注目し、応援している存在だが、今年は新しい監督を迎えてさらに一体感を高めたチームがどう成長していくのかに関心がある。2026年にはワールドカップも控え、日本のサッカー界全体が次のステージに向かうタイミング。「ガンバ大阪」にもぜひその中心的存在として、挑戦と飛躍の年にしてほしい。「ガンバ大阪」の活躍に勇気をもらい、われわれも飛躍する1年になったらうれしい。
1899年創業の日本の製薬会社。「美と健康」の実現を通じて、世界中の人々の幸せな未来に貢献し続けることを目指す。目薬や胃腸薬などの医薬品をはじめ、スキンケア、インナーケア、食品まで幅広い製品を展開。創業以来培ってきたサイエンスを進化させ、セルフケアを核にプロフェッショナルケアを含む多様な事業へと価値を拡大。ウェルビーイング社会の実現に挑戦している。2025年3月期は売上高3086億円で、26年3月期は前年比8.4%増の3345億円を見込む
ロート製薬
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