デムナ・ヴァザリア (Demna Gvasalia)が、自身のブランド「ヴェトモン(VETEMENTS)」を去る。ヴァザリアは当面パリで「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のクリエイティブ・ディレクターに専念するようだ。
ヴァザリアは「ヴェトモン」の2015-16年秋冬ショーをパリのゲイクラブの薄暗い地下部屋で開催したり、オーバーサイズのトレンチコートや、カニエ・ウェスト(Kanye West)やジャレッド・レト(Jared Leto)も愛用したパーカなど、常に新しく刺激的なファッションを生み出して人々を魅了してきた。
ヴァザリアの、肩が大きく袖が長いビッグシルエットは瞬く間にトレンド全体に影響を与え、800ドル(約8万6500円)のロゴ入りパーカは熱狂的なスニーカーコレクターやファッショニスタの間で大人気アイテムとなった。
DHLのTシャツからライターヒールブーツまで、「ヴェトモン」の歴史を10のシーンに分けて振り返る。
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1.パリ・ファッション・ウイークでの初のファッションショー
ヴァザリアとタッグを組んだロシア人スタイリスト、ロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)が、2015年春夏のパリ・ファッション・ウイークで「ヴェトモン」初となるファッションショーのファーストルックをまとった。ヴォルコヴァはキャスティングやスタイリングを手掛けただけでなく、「ヴェトモン」のクリエイティブな方向性をけん引する人物でもあった。
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2.DHLのTシャツ
2016年春夏コレクションでゴーシャ・ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)が着用して登場。ヴァザリアは米「WWD」のインタビューで、「このTシャツは物流会社DHLのロゴの盗用ではない」と主張し、「実際はただのジョークだった。でも私は普段服を作る時にふざけたりはしない。本当に真剣に作っている」と語った。
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3.ニューカットジーンズ
2種類のビンテージデニムを使って制作されたストレートハイライズジーンズは、「ヴェトモン」のデビューとなった2014-15年秋冬コレクションで発表された。このジーンズの人気は、2015-16年秋冬コレクションがパリの有名ゲイクラブで開催された後に急上昇した。
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4.クチュール、メンズ、そして再びクチュールへ
2016年、「ヴェトモン」はパリのクチュール・ウイークで新たなゲストメンバーに選出された。しかしその翌年は、ショーの開催が多すぎるとしてパリでのショーを拒否した。2018-19年秋冬には、再びパリのメンズ・ファッション・ウイークに参加。そして2019年春夏のクチュール・ウイークにおいてようやく過去2シーズンのメンズ・ウィメンズ・コレクションを発表した。
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5.「マノロ ブラニク」とのコラボ
パリ・クチュール・ウイークの「ヴェトモン」の2017年春夏ショーで、「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」の“ハンギシ”シューズが一気に注目を浴びた。「マノロ ブラニク」は同シーズンで「ヴェトモン」と提携していた18ブランドのうちの一つで、ほかにも「リーバイス(LEVI’S)」「ブリオーニ(BRIONI)」「ジューシー クチュール(JUICY COUTURE)」などのブランドが名を連ねた。
ヴァザリアは「マノロ ブラニク」のクラシックシューズ “ハンギシ”の特徴的なバックルを外し、サイハイやアンクルブーツに変化させた。
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6.ライターヒールブーツ
「ヴェトモン」の象徴的アイテムともいえるライターヒールブーツの及ぼした影響は絶大だった。ストリートスタイルのスターたちがいたるところでこのシューズを履き続けている。
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7.チューリヒ
2017年、デムナと弟のグラム・ヴァザリア (Guram Gvasalia)=ヴェトモン最高経営責任者は、会社をパリからスイスのチューリヒに移した。この移転は、多くのデザイナーたちが装飾的でグラマラスであったり、テーマに沿ったアプローチをしていく中で、理論にとらわれない実用的なスタイルを目指していくというブランドとしての新たな方向性を示すためのものであった。
駐車場で開催された「ノーショー(No-Show)」のイベントで、ヴァザリアは2018年春夏コレクションのスタイルを披露し、チューリヒの地元の人々に衝撃を与えた。
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8.セレブたちもお気に入り
「ヴェトモン」の人気はカルト的な地位を獲得しており、その人気は同ブランドのアイテムを身に着けてショーにやって来るセレブたちの影響によるところも大きい。
「ヴェトモン」を愛用するセレブリティーには、パリで開催された同ブランド2度目のファッションショーに訪れたカニエ・ウェスト(Kanye West)やトラヴィス・スコット(Travis Scott)、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)やセリーヌ・ディオン(Celine Dion)までもが名を連ねる。
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9.パリの洗練されていない側面
ドライクリーニング店から「マクドナルド」に至るまで、「ヴェトモン」のショーやイベントのセットは常にブランドイメージのカギを握っていた。ヴァザリアは地下の薄暗く怪しげなゲイクラブや雑然とした中華料理店などでショーを開催し、“パリの洗練されていない側面”を表現した。
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10.再びDHL
2018年、ヴァザリアはDHLと正式なコラボレーションを行った。「ヴェトモン」とDHLのカプセルコレクションは、DHLの空輸ハブがあるドイツのライプツィヒで発表された。