ファッション

「G-SHOCK」のカーボン使用時計は驚きの1万5000~1万6000円

 約2年間に及ぶ開発期間を経て1983年に誕生した「G-SHOCK」は、“落としても壊れない腕時計”としてその時代ごとの若者の人気を集め、2018年に35周年を迎えた。素材、構造、機能のそれぞれにおいて、ブランドのアイデンティティーともいえる耐衝撃性を追求する同ブランドはこのほど、ウレタン、メタルに続く“第3の素材”としてカーボンを選択した。19年は“カーボンコアガード構造”を採用したモデルを複数発表し、「G-SHOCK」におけるカーボン元年と位置付ける。ここでは1万5000~1万6000円と値段も手頃で、カーボンを使った時計のエントリーモデルとして最適な“GA-2000”シリーズにスポットを当てる。

「G-SHOCK」クオリティーで
カーボンを製品化

 「G-SHOCK」は2019年にウレタン、メタルに続く“第3の素材”としてカーボンを用いた新作を発売した。これまでも同ブランドはベルトインサートやベゼルにカーボンを使用したことはあったが、1万円台の「G-SHOCK」のケースに使うのは今回が初めて。一体構造の“カーボンモノコックケース”で強度を高め、同時に72gという驚きの軽さも実現した上位機種の“グラビティマスターGWR-B1000”シリーズが9万円であるのに対して、ここで紹介する“GA-2000”シリーズは、カーボンをセンターケースのみの使用にとどめ、さらにブルートゥースなどの付加機能も削ぎ落とすことで1万5000~1万6000円という戦略的な価格を実現した。
 カーボンの弾性率(変形しにくさ)は鉄の約7倍で、引っ張り強度は約10倍。それでいて軽さは鉄の4分の1だ。高級時計の世界でもここ数年カーボンケースを採用したモデルが増加しており、素材の信頼性を裏付ける。
 カシオ計算機 開発本部時計企画統轄部の泉潤一氏は、「カーボンを使用する主な目的は、ケースの剛性を高め、落下衝撃や20気圧防水の加圧時の変形を極力軽減し、内部のムーブメントを守ることにある。剛性を高めると変形しにくくなるが、脆くもなるため、絶妙なバランスで製品化するために衝撃試験を繰り返した」と開発時の苦労を語る。カーボンケースの恩恵はデザインにも及び、「ケース自体に堅牢性があるため、従来のモデルに備えていたボタンガードをなくすことができた。これにより見た目がすっきりしただけでなく、ボタンが押しやすくなるというメリットも生まれた」と続けた。

気分やシチュエーションに合わせ
手軽にベルトを付け替え

 “GA-2000”シリーズは、「G-SHOCK」としては初めてスライドレバー式の替えベルトシステムを導入した。ベルトの付け根の裏側にあるスライドレバーを引くことで、手軽にベルトを交換できる。替えベルトは4種類あり、3000~4000円と手頃だ。時計を“着替える”ことはいまや大きなムーブメントの一つになっているが、「G-SHOCK」もこの楽しみを提供する。

素材の特性を生かした
独自の“カーボンコアガード構造”

 「G-SHOCK」品質に適合させるべく、カーボンファイバー強化樹脂をインジェクション成型できるよう配合してセンターケースを製作。トライ&エラーを繰り返し、モジュールを保護するための新たな耐衝撃構造を開発した。ボタンガードをなくすことで、すっきりしたデザインに仕上げることにも成功した。

「G- SHOCK」の今を伝える
スペシャルムービー

 中学や高校時代に興奮したきり20年以上も「G- SHOCK」に縁がない、そんな読者もいるかもしれない。しかし、その間も同ブランドは歩みを止めることなく、タフネスを磨き続けてきた。35周年を経て、新たな1年を共に歩み出した素材がカーボンだった。“より強く、より軽く”、「G- SHOCK」の挑戦はまだ続く。

TEXT : MASASHI TAKAMURA

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カシオ計算機
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