ファッション

「エトロ」は住、香り、食へと広がるライフスタイルブランドへ CEOが語る戦略とは

エトロは2025年末に、創業一族が保有する全株式をトルコの不動産開発会社ラムズ・グローバル、イタリアの持株会社ノバラックス・ホールディングス、欧州の投資会社兼アドバイザリーのSRIグローバル・グループに売却。創業一族は経営の資本面から完全に退き、筆頭株主であるLキャタルトンにこの3社が加わる新たな株主体制となった。今年3月には、4年間にわたってクリエイティブ・ディレクターを務めたマルコ・デ・ヴィンチェンツォが退任し、2027年春夏ミラノ・ファッション・ウイークでは、デザインチーム体制として初のコレクションを披露した。

改革の成果で大幅増益

PROFILE: ファブリツィオ・カルディナリ/エトロ最高経営責任者

ファブリツィオ・カルディナリ/エトロ最高経営責任者
PROFILE: イタリア出身。ディーゼルやリーバイ・ストラウスで経験を積んだ後、ドルチェ&ガッバーナでマーケティング・ディレクターなどの要職を務めた。2012年から当時コンパニー フィナンシエール リシュモンの傘下だったランセルの最高経営責任者(CEO)、13年から同グループ傘下のダンヒルのCEOを歴任。その後、17年にドルチェ&ガッバーナに戻り、最高執行責任者(COO)に就任した。21年12月から現職 ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

現在同ブランドの舵を執るファブリツィオ・カルディナリ最高経営責任者(CEO)は米WWDの取材に対し、21年の就任以来実行してきた改革が、着実に成果を上げ始めていると語った。2025年の売上高は2億4220万ユーロ(約426億円)。EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は830万ユーロ(約14億6000万円)で、前年の85万ユーロ(約1億5000万円)から大幅に増加した。26年上半期の売上高は前年同期比3%増。EBITDAは前年同期から620万ユーロ(約10億9100万円)増加したという。

収益性の改善に寄与したのが、直営店や自社ECなどのDTCチャネルへの投資だ。店舗網の効率化や本社組織の簡素化に加え、店舗とECの在庫を一元化するオムニチャネル体制を整備。地域別では中国で13店舗を閉鎖する一方、欧州、日本、米国、中東へ経営資源を集中させた。現在の店舗数は120店舗。今後は出店拡大より既存店の生産性向上に注力する方針だ。メンズも成長領域の一つだ。現在は売上高の3割を占めるが、将来的には5割まで伸ばせるとみる。ブランド最高峰の「エトロ ユニーク」を強化し、メイド・トゥ・メジャーやビスポークをアウターまで拡充する。

クリエイティブ・ディレクターは退任
「エトロ」の中心にあるべきはブランドのコード

ヴィンチェンツォの退任についてはカルディナリCEOは、「何事にもサイクルがある」とコメント。「『エトロ』とは本質的にライフスタイルブランドであり、中心にあるべきはブランドとそのコードだ。創業者ジェローラモ・エトロから受け継いだすばらしいアーカイブを生かしていくことが、今後の成功の鍵であり、長期的なブランドの進化を支える土台になる」と語る。最新コレクションでも、ペイズリーやポジティブなエネルギー、喜び、軽やかさといった「エトロ」らしいコードを軸に据えた。

将来的なクリエイティブ・ディレクター起用については、「急いではいないし、可能性を否定するつもりもない。ふさわしいデザイナーがいれば検討するかもしれないが、それは自然な流れであるべきだ」とコメントした。

レジデンス領域へも参入

ライフスタイル領域も成長の柱に据える。ホームコレクションに加え、新株主のラムズ・グローバルとブランドレジデンス事業も拡大させる方針だ。25年2月には初となるブランドレジデンス「エトロ レジデンス イスタンブール」をイスタンブールに、続いて同年4月には「エトロ レジデンス プーケット」を発表した。 今後はカザフスタン、ウズベキスタン、ジョージア、アルバニアへの展開も計画していることを明かした。ホテル事業についても「可能性はある」とコメントした。

今後はスウィンガーとの新たなビーチウエアのライセンス契約も始まるほか、コティと手掛ける初のフレグランスの発売も控える。また、ミラノのミシュラン星付きレストラン「イル・ルオゴ・アイモ・エ・ナディア」との協業も継続しており、この領域ではさらに新たな展開も予定しているという。

関連タグの最新記事

最新号紹介

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。