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のんが語るこの10年でつかんだ“自由”と“覚悟” ドラマ「幸せカナコの殺し屋生活2」インタビュー

PROFILE: のん/俳優・アーティスト

PROFILE: 1993年7月13日生まれ、兵庫県出身。音楽、映画製作、アートなど幅広いジャンルで活動。16年公開の劇場アニメ「この世界の片隅に」(片渕須直監督)で主人公すずの声を演じ、第38回ヨコハマ映画祭審査員特別賞を受賞する。22年には主演映画「さかなのこ」(沖田修一監督)で、第46回日本アカデミー賞「優秀主演女優賞」を受賞。近年の主な出演作品にドラマ「幸せカナコの殺し屋生活」(25/DMM TV)、「新幹線大爆破」(25/Netflix)、「MISSKING/ミス・キング」(25/ABEMA)、映画「アフター・ザ・クエイク」(25/井上剛監督)、「てっぺんの向こうにあなたがいる」(25/阪本順治監督)、「平行と垂直」(26/小林聖太郎監督)などがある。俳優・音楽・映画・アートといった枠にとらわれず、自由な表現に挑み続けてきた創作活動が評価され、24年に第16回伊丹十三賞を受賞した。

DMM TVオリジナルドラマ「幸せカナコの殺し屋生活」のシーズン2の配信が開始された。元ブラック企業のOLが殺し屋に転職し、天性の才能を開花させていく痛快アクションコメディで、主人公の西野カナコを演じるのはのん。前作以上のスケールと切れ味鋭いアクションで魅せる今作の舞台裏から、劇中衣装へのこだわり、そして改名・独立から10周年という節目を迎えた彼女が掴み取った「自由」とこれからの表現者としての道について、たっぷりと伺った。

覚醒したカナコと
アクションの進化

——前作「幸せカナコの殺し屋生活」も大反響でしたが、シーズン2が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?

のん:すごく嬉しかったです。連続ドラマの「シーズン2」のような続編をやらせていただくこと自体が初めてだったので、前作の反響があったからこそ実現したんだという喜びがありました。カナコの物語は私自身とても大好きで面白かったので、また演じられることが純粋に楽しみでしたね。

——ご自身が反響の大きさを実感する場面も多かったのではないでしょうか。

のん:本当に多くの方が見てくださっていて、お仕事で中国に行った際にも現地の方から「カナコ見てるよ!」と声をかけていただいたんです。国内外を問わず、いろいろな場所に届いているんだなと実感しました。

——久しぶりに戻った現場の空気感はいかがでしたか?

のん:スタッフのみなさんも前作から引き続きお世話になっている方ばかりで、とても安心感がありました。殺し屋会社「スマイルエージェンシー」の藤ヶ谷(太輔)先輩や渡部(篤郎)さん、母親役の木村(多江)さん、ゆっか(菅井友香)ちゃんといったおなじみのキャストのみなさんと再会した時は、ホームに帰ってきたような感覚で。このチームで再び息が合っていく感じがすごく心地よかったです。

——シーズン2のカナコにはどんな変化や成長を感じましたか?

のん:シーズン2のカナコはもうすでに“覚醒”しているので、より倫理観がおかしくなっています(笑)。その意味では、ぶっ飛び加減がシーズン1よりもさらに突き抜けているんじゃないかなと思います。

——殺し屋の仕事を完全に乗りこなしているように見えました。劇中の仕事着も印象的ですが、カナコの殺し屋スタイルの衣装を着るとスイッチが入りますか?

のん:殺し屋の衣装はすごく気に入っています。全身黒ずくめで動きやすいスタイルは、本当に闇に潜んでいるようなかっこよさがあって気合が入りますし、テンションも上がります。今回はさらにきらびやかで華やかな衣装も登場するんです。お洋服自体も可愛いですし、アクションで動いた時に格好良く映えるシルエットだったので、「どうポーズを決めたら一番映えるかな」と考えるのもワクワクしました。

——本作はバイオレンスとコミカルさ、そしてポップな映像表現が同居しているのが大きな魅力です。現場ではどのようにバランスを取っていたのでしょうか。

のん:そこはシーズン1の時からすごく悩んだ部分でした。カナコは深く考えずにターゲットを仕留めていきますが、人が倒れるという事実は映像としてリアルに映る。それをどうコメディーとして成立させるか。だからこそ「カナコは倫理観がぶっ飛んでいる」という部分を思い切り際立たせつつ、ターゲットが徹底的な悪党であることで、観ている方がスカッと爽快になれるトーンを目指しました。

それに、劇中で登場するイマジナリーフレンドである動物たち(声:齋藤飛鳥)をはじめとするポップな演出は完成版を観るまでのお楽しみなので、現場では監督の演出意図に照準を合わせながら、頭の中でイメージをすり合わせて演じていました。

——アクションの難易度も前作より上がっていたそうですね。

のん:今回はワイヤーアクションなど、“一見簡単そうに見えるけれど実は技術的にものすごく難しい”というシーンが多くて、筋力や身体能力の面でかなり鍛えられました。森川(葵)さんとの手合わせでは、彼女の体の柔らかさを活かしたしなやかなアクションとの対比がよく出ているシーンになって面白かったですし、藤ヶ谷さんは銃やナイフの構え方から振り返る仕草一つまで圧倒的に格好いい。稽古をつけてもらうシーンは藤ヶ谷さんが培ってきた洗練された身のこなしを目の当たりにして、「絶対に負けたくない!」と歯ぎしりするような思いで食らいついていました。

“自分を殺さない”という決断

——本作は一人の女性のサバイブストーリーでもあり、理不尽な環境を飛び出して自分の才能が活きる居場所を見つけたカナコの姿は、現代を生きる多くの人の共感を呼んでいます。のんさん自身、彼女の生き方に共鳴する部分はありますか?

のん:すごく共感します。働く環境や身を置く場所を変えることで人は輝き出すんだ、というカナコのあり方は、生きる上でとても勇気をもらえる存在だなと思います。私自身、環境を変えて「のん」としてリスタートし、全責任を自分で背負ってやっていくと決めた時に、「こっちの生き方のほうが自分には合っている」と実感したんです。全責任が自分にかかってくる分、大変さは何倍にもなりましたが、精神的にはずっと息がしやすい。自分の才能が活かされる場所を求めて自ら動くというマインドは、カナコと通じ合っている気がします。

——自分の才能を信じて一歩を踏み出すのは、並大抵の覚悟ではできないことだと思います。

のん:「楽しい」と思える地点に辿り着くまでは、かなり時間がかかりました。自分のアイデアを形にして受け入れてもらえる瞬間は最高に楽しいですが、そこに至るまでの過程は本当にしんどいことの連続で。「自分の才能が死なないように、自分を殺さずに生きていくぞ」と決意した当初は、不安や葛藤のほうが大きかったかもしれません。ただ、私はもともと根拠のない自信だけはずっと持っているタイプだったので、自分の信じる道そのものを疑うことはありませんでした。

10年で掴んだ「自由」の正体

——デビューから20年、そして「のん」としてのリスタートから10周年の節目を迎えられました。表現者として、熱量や向き合い方に変化はありましたか?

のん:表現の幅も広がって、いろいろなことに挑戦できた10年間でした。でも、表現に対する根本的な向き合い方や熱量は、実はあまり変わっていないかもしれません。ただ、体力の変化はやっぱり感じるので(笑)、やりたい表現に気持ちと体がちゃんと追いつくよう、体をいたわるようにはなりましたね。

——この10年間で掴み取ってきた「自由」とは、のんさんにとってどういうものなのでしょうか?

のん:自分が自由に表現できる場所を手に入れるって、才能を伸ばしたり良いところを活かすこと以上に、「自分はここが本当にダメだな」という部分を直視しなきゃいけない作業でもありました。自由になればなるほど、自分のダメなところがどんどん浮き彫りになっていくんですよね。

最初の頃はその扱いにずっと手こずっていて、本当にしんどかったです。でも最近、やっとそれを受け入れたり、時にはあえて突き放したりしながら付き合っていく方法がわかってきました。「自由になるには、自分の格好悪いところも面白がらなきゃいけないんだ」と気づけたことが、私にとってすごく大きかった気がします。

——表現において、世間が求める「のん」のイメージを裏切らない納得感と、常に新しい刺激を与えるサプライズが両立しているのも見事です。

のん:そこはものすごく大切にしています。単にこれまでのイメージを壊したり裏切ったりするだけでは、本当のインパクトって生まれないと思っているんです。「これからの自分に未来が見えるインパクト」を残すためには、自分が今まで培ってきたものやみなさんに見せてきたものを全部持っていかないとダメなんじゃないかなって。納得感があるからこそ、仕掛けたサプライズに強烈な驚きが宿るんだと信じています。

——「のん自由(10)ツアー2026」の岩手・久慈公演では、橋本愛さんや大友良英さんとの共演も発表され大きな話題を呼びました。

のん:私が今こうして演技や音楽、アートをのびのびとやれているのは、やはり朝ドラ(「あまちゃん」)でたくさんの方に知っていただけたことが原点としてあって、そこは絶対に一生大事にしなきゃいけないと思いながら走ってきました。久慈は本当に第二の故郷と思える場所で、愛ちゃんや大友さんは私の人生においてものすごく特別な存在です。本当にリラックスできる大好きな街だからこそ、この周年を機に特別なステージを作りたいという気持ちで、こういう企画を組んでみました。それが実現したことが私も嬉しくて、これから久慈でどんなステージになるのか、ワクワクしてしょうがないです。

——2013年の紅白歌合戦以来の「潮騒のメモリーズ」復活とも思える共演は本当に楽しみです。

のん:(橋本)愛ちゃんに関しては、ふと「元気かな」と思って。でも、私たちって普段連絡を取り合ったりするような関係ではないんです。最近どうしているかも全然わからなかったので、それならこっちから「オファーしちゃえ!」って。

——それでも、「一緒にやろう」と言ったら乗ってくれるような、信頼関係がちゃんとベースにあるということですね。

のん:そうだといいなと思います。ずっと「戦友」という気持ちがあります。久しぶりに会ったら、まずは「ちゃんと準備してるから安心してね。美味しいお弁当も用意するから!」って言いたいです。自分のプロジェクトですし、座長としてしっかり迎え入れたいですね。

——どんなに過酷な状況でも、これだけは絶対に手放さなかった信念や覚悟はありますか?

のん:10代の頃から「子供心みたいなものを一生持ってやっていくんだ」「私は大人になんかならないぞ」と強く思っていました。でも今は「意外と大丈夫じゃん」と思えているんですよね。大人になったからって何かを捨てなきゃいけないとか、大人の階段を登るために軽やかにならなくてはいけないとか、そういうふうには思えなくて。大事なものを手放すことなく、自分が経験してきた悔しさも喜びも、10代の頃に感じたきらめきも、「この人は本当にすごい」と憧れた感情も、全部抱え持ったまま年齢を重ねていきたいと思っています。

——最後に、これからの活動に向けた野望を教えてください。

のん:野望というか……正直、自分がどこへ行き着くのかは私自身にも全く見当がついていません。ただ、自分で自分の限界を決めつけることだけはしたくないんです。“限界知らず”のままどこまでも登り続けたいし、「自分なんてこんなものだろう」と満足してしまわずに、永遠に未知の自分を発掘し続けていきたいと思っています。

PHOTOS:TAKUYA MAEDA(TRON)
STYLING:IZUMI MACHINO
HAIR & MAKEUP:SHIE KANNO

ニット 3万3000円、スカート2万7500円、パンツ 3万3000円/すべてコトハヨコザワ(ON TOKYO SHOWROOM 03-6427-1640)シューズ/スタイリスト私物

作品概要

◾️「幸せカナコの殺し屋生活2」
DMM TVで独占配信中
毎週木曜日最新話追加(全5話)
第1〜4話配信中
第5話は10月8日配信

出演:のん 藤ヶ谷太輔
矢本悠馬
山崎紘菜 菅井友香/髙橋ひかる 鈴川紗由 菅田俊
塩野瑛久 齋藤飛鳥(声)
木村多江/森川葵
渡部篤郎
監督:英勉
脚本:英勉、松島瑠璃子、高徳宥介
原作:「幸せカナコの殺し屋生活」若林稔弥・著(星海社COMICS)
©DMM TV ©若林稔弥/星海社
https://info.tv.dmm.com/original/kanako/season2/

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