「ザ・ロウ(THE ROW)」の自由さが深みを増している。2027年春夏シーズンは、自由の象徴とも言えるボヘミアンなヒッピームードを加え、これまでのミッドセンチュリーな生地感、ノンシャラン(無頓着)なスタイリングと相まって、決して声高に主張はしないものの、自由奔放なムードはこれまで以上に力強くコレクション全体に通底した。ミニマルなブランドと捉えられがちだが、元来「ザ・ロウ」は常に自由だ。ボヘミアンは意外な新機軸のように思えるかもしれないし、実際スタイルは新鮮だったが、自然な前進と言えるだろう。
ノンシャランに見せる巧みさ
既成概念なんて存在しない自由
ファーストルックは、テーラードパンツのスタイル。トップスは、長年愛用しているかのようなムードを醸し出す、洗いをかけた風合いのタンクトップだ。ここからも「ザ・ロウ」の自由なムードは垣間見えるが、今シーズンはさらにチロリアンテープのような細いベルトと、ヒッピーライクな3連のビーズネックレスを合わせた。些細なディテールだが、シンプルな装いだからこそ目を引く。そこに従前からの巧みだがノンシャランに見せる、身の回りにありそうな生地によるアイテムを加えていく。リバーレースのハンカチをDIYしたかのようなムードのコットンキャミソールや、フリンジ付きの長いジャカード織りスカーフを首に巻き付けたホルターネックのチュニックを組み合わせ、既成概念なんて存在しないかのような自由を謳歌する。
異国を旅する女性の
偶然の出会いと即興のスタイル
今シーズンはさらに異国情緒を感じるファブリックをプラスした。トルコや南インド、タイのマーケットで手に入れたかのような花柄やマドラスチェックの生地を2種用い、胸元で2つの生地を交差させたサリー風のブラトップに仕上げた。まるで旅先で、自分の愛用品も活用しながら、即興で、自分だけのスタイルを完成させた雰囲気だ。
スタイルの仕上げは、ヴィンテージとハンドメイドを組み合わせたジュエリー。フランス人デザイナーのリーヌ・ヴォートラン(Line Vautrin)によるミッドセンチュリー期のタロセルガラスやミラーメタル、ブロンズのほか、シルバーで縁取ったアンティークコインを用いている。異国を旅する女性が、現地でヴィンテージのアクセサリーに出合い、また少しスタイルが自分らしくなる。ちょっとずつワードローブが豊かになり、スタイルは自分らしくなるーー。偶然の出会いと、即興の偶発性を楽しみながら生きる女性ーー。そんなストーリーがイメージできる。