「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)クリエイティブ・ディレクターの就任10周年と、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)が生み出した“スモーキング”、つまりタキシードスタイルの60周年を祝う2027年春夏コレクションを開催した。ヴァカレロ=クリエイティブ・ディレクターについては退任のウワサが飛び交っているが、現段階では何の発表もない。今回のコレクションに際しては、意味深にも思えるコメント、演出が続いた。
トレンチコートやサファリジャケットが
オーガンジーやギュピールレースも黄金色
米「WWD」によると、アンソニーは今回、通常限られたメディアを対象に行うショー前のプレビューをスキップ。代わりに「このコレクションの構想は長い間温めてきたが、ついに今こそ発表すべき時と感じた。私にとって非常に個人的で、感情がこもったもの。だから今回は多くを語らず、そのあらゆるニュアンスを皆さんに直接感じていただきたい」とのメッセージを残したという。長い間温めてきたというコレクションは、眩いくらい黄金色だ。
トレンチコートやペンシルスカート、サファリジャケット、ランチスーツ、カクテルドレスなどはすべてゴールド。ラメだけでなく、オーガンジーやギュピールレース、シフォン、ブロケード、ジャカード、コットン、ラテックスなど、多種多様な素材を用いた。モデルたちは、黒いキャットウォークの上空に浮かぶ3つの巨大なゴールドのシャンデリアの下を歩いた。背景では、エッフェル塔が煌めいている。いつもは定時にしか輝かないエッフェル塔が、「サンローラン」のショーの間は冒頭、そしてフィナーレに最新コレクション同様に黄金色に輝いた。金色の素材が茶色や赤みを帯びた色調や金属箔のような質感を呈し、シワやプリーツ、ラッフルといった多彩な表情を浮かび上がらせる。ショーの締めくくりは、黒を基調とした12ルックを披露した。
“スモーキング”の誕生から60周年ではあるものの、タキシードスタイルは登場しない。代わりに、自身の現職就任も含む2つのアニバーサリーを、ゴールドを多用して盛大に祝った印象だ。
5歳の息子にお守りを渡し、
「光は手中に収められないから輝く」
フィナーレでは背後でモデルたちが拍手を送る中、ヴァカレロは笑顔を浮かべながらケリング(KERING)幹部たちが並ぶ列を通り過ぎ、ポケットから「お守り」を取り出し、5歳の息子ルカに手渡し、頬にキスをした。モデルの整列、息子へのキス、いつにない演出だ。ヴァカレロは、「光は、決して手中に収めることができないからこそ、いっそう鮮烈に輝く。過ぎ去るものが、その場に留まるものよりも多くの光を残すことがある」とのコメントを残している。
会場には、ゾーイ・クラヴィッツ(Zow Kravitz)、ラミ・マレック(Rami Malek)、ケイト・モス(Kate Moss)、カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)、ヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)、BLACKPINKのロゼ(Rose)といった著名な友人たちに加え、同業のドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)やピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)の姿もあった。シャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)はランウエイに上がり、ヴァカレロと「サンローラン」に向けて歌を捧げた。観客が総立ちで拍手を送る中、ヴァカレロは彼女を優しく抱きしめた。