ファッション

「『アンスリード』のデザイナーになりたい」 ブランドファンから夢をかなえた25歳に聞く

PROFILE: 井上凜夏「アンスリード」デザイナー

井上凜夏「アンスリード」デザイナー
PROFILE: 2000年11月17日生まれ、新潟県出身。高校卒業後、文化学園大学現代文化学部国際ファッション文化学科(現・国際文化学部国際ファッション文化学科)に進学。卒業後、マークスタイラーに新卒入社し、販売員を経て「アンスリード」企画課に異動。27年春夏シーズンから「アンスリード」のデザイナーに就く PHOTO : TAMEKI OSHIRO

マークスタイラーは「アンスリード(UN3D.)」を2027年春夏シーズンから新体制の下、リブランディングを図る。新たなデザイナーとして、昨年から企画課に所属する井上凜夏を抜擢した。

学生時代に「アンスリード」に出合い、独特なデザインに惹かれてブランドのファンになった。そのうち顧客になり、服作りを学んでいた彼女はいつしか「『アンスリード』のデザイナーになりたい」という夢を抱いた。そしてブランドが10周年を迎える今年。その夢をかなえ、ブランドをリードする存在になった。そのファーストシーズンとなる27年春夏のテーマは、「反転」を意味する「INVERT」。これまでの「アンスリード」をどう“ひっくり返し”、新しく築いていくのか聞いた。

「アンスリード」との出合いは
“推し活”

WWD:服作りを始めるきっかけは?
井上凜夏「アンスリード」デザイナー(以下、井上):
もともと映画や舞台の衣装に興味を持っていました。それから上京して、文化学園大学の現代文化学部国際ファッション文化学科(当時)に進学して服作りをゼロから学びました。

WWD:「アンスリード」を知ったのはその学生時代だとか。

井上:きっかけは推し活でした(笑)。コンサートに着ていく、推しのメンバーカラーの青い服を探していたときに、「アンスリード」に出合って。特に鮮やかな紺青の色に惹かれました。大学1年生のとき。普段着でも特別な日にも着られるけれど、個性があって他にはないデザイン。私の好きな衣装っぽさも少しあって。その一着からどんどんファンになっていきました。

WWD:そして、いつしか「アンスリード」のデザイナーになりたいと思うようになった。

井上:学生時代は舞台衣装デザイナーの道を考えていました。でも、デザイナーになるなら「アンスリード」のデザイナーになりたいと思うようになって、マークスタイラーに新卒入社することにしました。ただ、当時はデザイナー採用がなかったので、まずは総合職として販売員として、「アンスリード」の伊勢丹新宿店に約一年つきました。入社時から「『アンスリード』のデザイナーになりたい」と伝え続けていたので、その思いと経験が認められてうれしく思っています。

WWD:顧客、販売員の両方を経験していることは、デザイナーとしての強みにもなっていますか?

井上:そこは大きな強みだと思います。顧客として、販売員として、ブランドをずっと見てきました。お客さま視点でブランドのどこに魅力を感じているのか、どんな服を求めているのか、デザインをする上で活かせると思っています。

WWD:販売員時代から、ブランドに対して「もっとこうしたい」と感じていたことはあった?

井上:ありました。私自身はデザインの強いアイテムを組み合わせるのも好きなんですが、「アンスリード」はそれぞれのアイテムに個性が強く出ているところもあった。他にはないデザインも魅力ですが、持ち合わせの服と合わせづらいというお客さまの声もありました。そこはもう少し、コーディネート提案の幅を広げられるラインアップにしたいと、店舗にいたころから思っていました。

何を残し、何を“ひっくり返す”のか

WWD:27年春夏のテーマは「INVERT」。“ひっくり返す”という意味の言葉には、かなり大きな変化を感じます。

井上:「アンスリード」は10年続いてきたブランドです。私もファンとして魅了されたアイコニックな部分は残したいと思っていますし、ブランドのDNAとして継承すべき部分は残していきます。だから、全てをひっくり返すわけではありません。でもそれ以外は一度ひっくり返してみる。10年という区切りで、新しい要素を加えていくという意味です。

ブランドの軸自体を変えるわけではありません。固定観念や流行に流されず、それぞれの人が自分の価値観で楽しめるブランドであるというコンセプト自体は、これからも変わりません。これまでのブランドらしさを保ちながら、新しい見せ方や選択肢を増やしていくという方針です。

WWD:アイテムでいうと、具体的にはどんなところを変えていますか?

井上:ここ数年はゆったりとしたオーバーめのシルエットや少しマニッシュな雰囲気が強かったのですが、女性らしいタイトめのシルエットやアイテムを取り入れました。素材もデザイン活かしたハリ感のあるものも多かったですが、綿素材など少し柔らかく、温かみのあるものも加えています。色味もこれまでとは少し違うトーンに投入しました。

WWD:逆に残していく「アンスリードらしさ」とは?

井上:構築的なカッティングや立体感のあるディテールです。そこはブランドらしさだと思っています。例えばシャツはこれまでも定番アイテムでしたが、同じ形を繰り返すのではなく、その強みを生かしながら新しいシルエットに挑戦しています。

これまでの「アンスリード」を知っている分、作り始めるとどうしても“らしいもの”に寄りがちです。自分が好きだったものを大切にすることは必要ですが、そこだけではなく、新しい提案もしっかり打ち出せるようアイテムの幅を広げて作らなければいけないと思っています。

WWD:商品構成も広げる?

井上:はい。コレクション性の高い商品や、より上の価格帯にも挑戦したいです。一方で、オフィスカジュアルにも取り入れられるようなエントリーの商品も増やしたい。ただ、普通のベーシックなTシャツを増やすということではなく、少し構築的なディテールを入れるなど、「アンスリード」らしさは残したいと思っています。

「新しくなっても、やっぱりアンスリード」へ

WWD:10周年では「アンスリード アザーズ」もスタートしました。

井上:「アンスリード アザーズ(UN3D. OTHERS)」は外部のクリエイターに「アンスリード」を解釈してもらうプロジェクトです。第一弾のメンズも、ブランドとして提案の幅を広げる挑戦の一つ。幅広いジャンルで活躍される方々に、「アンスリード」からインスピレーションを得て作っていただいています。

WWD:今後、「アンスリード」をどんなブランドにしていきたい?

井上:よりコレクション性の高い世界観をしっかり作る一方で、普段の生活の中で着られるものまで幅を広げたいです。「アンスリード」は、それぞれの人が自由に表現できる“キャンバスのようなブランド”でありたいと考えています。だからこそ、毎シーズン同じように見えるのではなく、「今シーズンはこうなんだ」と感じてもらえるブランドにしたいですし、今まで使っていなかった素材や、新しい要素も取り入れていきたいです。ただ、いろいろなものを加えたとしても、最終的に見た時に「新しくなったけど、やっぱり『アンスリード』らしいね」と思ってもらえる。その形を追求していきたいです。

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