サステナビリティ

エコミット、シリーズBで15億円調達 売上高は30億見込む アパレル業界トップ20の8社が導入

エコミット(ECOMMIT)は4月20日、東京・渋谷のSHIBUYA QWSで開催したビジョン発表会において、シリーズBラウンドで約15億円の資金を調達したと発表した。同時に、2026年3月期の売上高が前期比2倍の約30億円を見込むことも明かした。売り上げ倍増を牽引したのは、アパレルブランド向けに展開する循環支援サービスの拡大だ。

引受先はメルカリなど9社

シリーズBラウンドの引受先は、メルカリ、シンプレクス・キャピタル・インベストメント、ゆうちょアセットマネジメント、NTTドコモ・ベンチャーズ、オリックス・キャピタル、TOPPANホールディングス、NCBベンチャーキャピタル、パーソルベンチャーパートナーズ、インターリレイトの計9社。エコミットにとって外部からの調達は、伊藤忠商事と提携したシリーズAに続き2回目となる。

引受先を代表して発表会に登壇した山本真人メルカリ執行役SVP of Japan Business(エコミット社外取締役)は、「サーキュラーエコノミーの実現には、回収・選別など上流のインフラと、再流通の仕組みを一気通貫でつなぐことが重要」と述べ、メルカリのプラットフォームの再流通機能とエコミットの回収・選別インフラを接続することで「モノが適切に循環するエコシステムのさらなる拡大を推進する」とコメントした。

調達資金は、主にエコミット東京サーキュラーセンター(東京CC)のDX・自動化投資、生活者向け資源循環サービス「パスト(PASSTO)」の拠点拡大、アパレルブランド向けソリューションの強化の3領域に投じられる。

アパレル向けサービスが急成長

アパレルブランド向けソリューションサービスは開始から1年で約40社のアパレルブランドが導入し、業界売上高トップ20社のうち8社との取引が始まっているという。アパレルブランドと共に展開する回収拠点は2500を超えている。好調要因について川野輝之エコミットCEOは3つのポイントをあげた。第1に、回収・選別・データ化・再流通を一気通貫で提供できること。第2に、認定中古品として市場に戻すレベルの「アパレル目線の高クオリティ選別」に対応できること。第3に、手放された後の製品データの可視化である。ブランド各社は販売データは保有しているが、「手放した後の製品がどうなっているか」のデータはほとんど持っていない。何がどれだけリユース・リサイクルに回ったかをレポートできる仕組みが、競争優位の源泉となっていると説明する。

風向きの変化もプラス要因となっている。川野CEOは「この3年で企業様の反応が明らかに変わった。特にアパレルブランドは欧米を含めプレッシャーが強くなり、『やらねばならぬ』という空気になってきた」と語る。EUで進む廃棄規制、欧米ブランド本社からのサステナビリティ要請、投資家からのESG評価――これらが連動し、アパレル企業にとって回収・選別インフラの外部調達は、選択肢から必須要件へと性質を変えつつあるようだ。

年間回収量1.1万トン 焼却衣料の約2%に相当

エコミットは「捨てない社会をかなえる」をビジョンに掲げ、循環に特化した選別・物流を担うサーキュラーセンターや物流拠点を全国7拠点に展開。25年4月〜26年3月の年間回収量は約1万4000トンに上り、そのうち約1万1000トン(約8割)を衣類が占める。これは日本で焼却処理されている衣料の約2%に相当するという。

同社が展開する「パスト(PASSTO)」は、郵便局や商業施設、レジデンスといった生活動線上に不要品の受け渡し拠点を設け、消費者が「捨てる」代わりに次の使い手へつなぐ「パストする」という選択肢を提供するサービス。累計約6000拠点に広がっており、将来的には10万拠点まで拡大する構想を描く。自宅から送料無料で不要品を手放せる「宅配PASSTO」も、サービス開始から半年で約4000人が登録、毎月数千人が利用するまでに成長している。

東京サーキュラーセンターを刷新 2027年から段階的稼働

投資の中核に据えているのが、24年に竣工した東京サーキュラーセンターのDX・自動化だ。「人とテクノロジーが高度に融合した世界初の衣類・雑貨循環インフラ」と位置付け、3年後に年間回収量を4万5000トンまで引き上げる目標を掲げており、物量拡大への対応が急務となっている。このため、現在約60人が常時勤務し、1人1日あたり1.5トンを循環させる国内最大級の衣類循環拠点を、ソフトウェアとロボティクスで刷新する。

川野CEOとともにDX刷新を牽引するのは、26年1月に就任した加藤朋之執行役員CTOだ。ファーストリテイリングでAIを活用したグローバル需要予測刷新を統括した経歴を持つ加藤CTOは、囲み取材で「人がやっている業務をそのままシステム化するのはDXの失敗例。最初から機械に仕事をさせる前提で、AIが判断しやすい容器の標準化、データの持ち方の標準化などから設計する」と語る。これにより、目利きを担う「プロピッカー」が商品価値の見極めに集中できる環境を整えつつ、モノの運搬やデータ登録といった間接業務は徹底的に機械化する方針だ。

新経営体制始動 日本初「チーフ・サーキュラリティ・オフィサー」職も新設

大型調達と東京サーキュラーセンター構想を支えるべく、同社は今年に入り執行役員体制の強化を相次いで進めている。加藤CTOに加えて、26年1月には元READYFOR代表取締役COOの樋浦直樹氏が執行役員循環オペレーション本部本部長兼経営企画室室長に就任。さらに4月には、執行役員回収プラットフォーム開発本部長として石野悟史氏が加わった。石野氏は新卒でP&Gジャパンに入社後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、エクサウィザーズで執行役員としてIPOを牽引した人物で、「パスト」拠点の1万・10万拠点化を牽引する役割を担う。

また、日本初となる「チーフ・サーキュラリティ・オフィサー(CCO)」職を新設。就任した坂野晶上席執行役員は、徳島県上勝町のゼロ・ウェイスト宣言に携わった後、19年にダボス会議共同議長を務めた環境領域のキーパーソン。4月には新たに「循環連携室」を立ち上げ、業界横断の連携推進を担っている。

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