ファッション

「ティファニー」と日本の新章 アジア最大の旗艦店「ティファニー 銀座」誕生

ブランドと日本の豊かな絆を象徴する新たな文化的拠点として誕生した「ティファニー 銀座」。地下1階、地上4階の全5層で、“In Love with Japan”をテーマに、アメリカンラグジュアリーと日本の伝統美を融合した空間が広がる。
Floor Concepts

ブランドの芸術性とヘリテージを
伝える新たな文化拠点

1階の “WORLD OF TIFFANY”では、ダイヤモンドをモチーフにしたアートが天井で輝き、来店者を迎える。地下1階は、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」のシグニチャーであるダイヤモンドジュエリーと静かに向き合える、落ち着いた空間だ。2階には、“ティファニー ロック”“ティファニー ハードウェア”などのアイコンコレクションが集結。奥にはウオッチ ギャラリーとエルサ・ペレッティのセクションも併設する。3階はブライダルとハイジュエリーのフロア。多様な愛に応えるリングをはじめ、壮麗な一点物のハイジュエリーも多数常設している。4階には、テーブルウエアや洗練されたホームコレクションに加え、日本初上陸となる「ブルー ボックス カフェ(Blue Box Café)」を併設。「エテ(ETE)」の庄司夏子シェフが監修したメニューで、ブランドの世界観を“食”でも体感できる。

さらに、館内には65点以上のアーカイブピースも展示。そのうち40点以上は日本初公開で、1912年のタイタニック号沈没時に救助へ携わった船長へ贈られた懐中時計といった貴重なピースも含まれる。歴史と革新が交差する空間は、訪れるたびに新たな発見をもたらしてくれる。

Exclusive Items

名作を再解釈した
限定ジュエリー&ウオッチが登場

オープンを記念し、名作コレクションから限定アイテムが登場した。1883年に誕生したパドロック(南京錠)のブローチを再解釈した“ティファニー ロック(Tiffany Lock)”からは、ローズゴールドに1粒のダイヤモンドを配したペンダントと、アクアマリンをあしらったバングルを展開。ジャン・シュランバージェ(Jean Schlumberger )の名作“16 ストーン バイ ティファニー(Sixteen Stone by Tiffany)”には、イエローダイヤモンドが輝くリング、ピアス、ネックレス、ブレスレットがそろう。さらに、“バード オン ア ロック(Bird on a Rock)”のブローチに着想を得た“バード オン ア フライング トゥールビヨン(Bird on a Flying Tourbillon)”や、伝説の“ザ ティファニー ダイヤモンド”を讃えた“カラット128(Carat 128)” アクアマリン ウオッチなど、詩的な世界観をまとったハイジュエリーウオッチも並ぶ。
Architecture

波打つ幻想的なファサードに込めた
日本と自然へのまなざし

ティファニー ブルーに彩られた高さ66メートルの外観は、建築家・青木淳が設計を手掛けた。波のように流れる造形と、彫刻的な力強さを併せ持つガラスのファサードは、ルイス・コンフォート・ティファニー(Louis Comfort Tiffany)の名作“ウィステリア(藤) テーブル ランプ”に着想を得たもの。ブランドが大切にしてきたヘリテージと自然への深いまなざしを映し出している。内装は、ニューヨーク五番街の本店「ザ ランドマーク(The Landmark)」のコンセプトを踏襲し、同店と同様、ピーター・マリノ(Peter Marino)が担当した。二の丸庭園の自然を再現したデジタル パネルや、和紙を採用した天井、ティファニーが支援する金沢縁付金箔製造による装飾など、日本の伝統文化と工芸を尊重したディテールが随所に光る。

左:ファサードのインスピレーション源となった、ルイス・コンフォート・ティファニー監修による“ウィステリア テーブル ランプ”。創業者チャールズ・ルイス・ティファニーの息子であり、アール ヌーヴォーを代表するデザイナーとして知られる彼が、日本の藤をモチーフに、流麗なフォルムと豊かな色彩のガラスで表現した作品だ
右:建築家・青木淳によるファサードのスケッチ。波が流れるようなデザインが印象的

上:建築家・青木淳によるファサードのスケッチ。波が流れるようなデザインが印象的
下:ファサードのインスピレーション源となった、ルイス・コンフォート・ティファニー監修による“ウィステリア テーブル ランプ”。創業者チャールズ・ルイス・ティファニーの息子であり、アール ヌーヴォーを代表するデザイナーとして知られる彼が、日本の藤をモチーフに、流麗なフォルムと豊かな色彩のガラスで表現した作品だ
Art

現代アートをちりばめた
美術館のような空間体験

左上:サラ・ジー「Swoon」/油彩やアクリル、紙、木材など、異素材と技法を組み合わせた、ダイナミックで質感豊かなミクストメディア作品
右上:ジュリアン・シュナーベル「The View from the Villa Flor」/皿やボンド、木材を用いて描かれた三角形のペインティングが、断片化された風景を想起させる
左下:ジェニー・ホルツァー「Unavailable」/油彩にレッドゴールドの箔を重ねたキャンバスに、暗号のようなメッセージを刻んだ
右下:ダミアン・ハースト「Tiffany Superb」/ティファニーブルーを背景に、蝶が飛び立つ様子を軽やかに描いた作品
「ティファニー 銀座」では、館内のいたるところに現代アートが展示され、美術館さながらの文化的体験を提供している。ススム・カミジョウ、阿部幸子、佐々木玄といった日本人アーティストをはじめ、ジュリアン・シュナーベル(Julian Schnabel)、ダミアン・ハースト(Damien Hirst)、ミケランジェロ・ピストレット(Michelangelo Pistoletto)、ヴィック・ムニーズ(Vik Muniz)、ドナルド・ジャッド(Donald Judd)、ジェニー・ホルツァー(Jenny Holzer)ら世界的な作家の作品、50点以上を設置。オープンを記念して、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の「Double Elvis」も、期間限定で展示している。また1階には、自然をコンテンポラリーに表現するアーティスト、藤村喜美子とのコラボレーションによるショーウィンドーを展開。アートとジュエリーの境界を曖昧にする没入型の演出が、来店者の感性を刺激する。他にも、浮世絵師・広重にオマージュを捧げた扇のディスプレーや、アンドレ・デュブレイユ(Andre Dubreuil)によるテーブルランプなど、アートと自然、クラフトマンシップが響き合う多層的な演出も見どころのひとつだ。こうした空間は、単なるコラボレーションにとどまらず、「ティファニー」が掲げてきた芸術への深い理解と支援、そしてアーティストとの継続的なパートナーシップによって実現している。

「ブルー ボックス カフェ」日本初上陸
銀座で出合う、特別な食体験

「ティファニー 銀座」の4階に、日本初となる「ブルー ボックス カフェ」が登場した。ブランドの歴史と美意識を背景に、ここでしか体験できない“食”を通して、「ティファニー」の新たな文化的価値を発信する拠点となる。

「ブルー ボックス カフェ」はホームコレクションのフロアとシームレスにつながり、メインダイニングからバー、オープンエアのテラスへと続く開放的な空間が広がる。ティファニー ブルーに彩られたインテリアに囲まれながら、優雅で豊かな時間を過ごすことができる。

メニューは、東京・代々木上原のフレンチレストラン「エテ」のオーナーシェフ、庄司夏子が監修。日本の四季からなる美しく繊細な食材と、和の感性を随所に織り交ぜた料理を提供する。朝食には、キングサーモンとニジマスを交配した、山梨県産“富士の介”のサーモン料理をはじめ、国産フルーツ、ヴィエノワズリー、フレッシュジュースなどをそろえたスペシャリティセットを用意。昼間は、和牛のティーサンドイッチなどのセイボリーと、「ティファニー」の世界観を反映した華やかなスイーツが並ぶアフタヌーンティーを展開する。また、オールデイダイニングでは、季節の食材とニューヨークの感性を重ねたメニューが楽しめる。デザートやペイストリーは、まるでジュエリーのように美しく仕立てられ、視覚の驚きと味覚の余韻を残す。

カクテルメニューには、日本のスピリッツや風味を掛け合わせた独創的なドリンクがそろい、グラスに注がれたその味わいが、食事と会話に彩りを添える。

店内にはプライベートダイニングルームも併設されている。無数のブルー ボックスで構成されたインスタレーションや、空間にアクセントを添える名作アートが、訪れる人をさらなる特別な体験へといざなう。

“ジュエリーと食に通ずる
職人技を伝える空間に“

何より大切にしたのは、“beyond a café”という発想。カフェという枠を超え、訪れる人々に圧倒的な体験を届けたいという想いだ。ニューヨークのティファニー本社の工房を訪れたとき、一つのジュエリーが完成するまでの緻密な工程に深く感動した。それは“食”の世界にも重なるもの。ここでは、ジュエリーと料理、それぞれの分野で継承されてきた職人技の奥深さ、日本が世界に誇る美しい食材と、それを支える生産者の存在と価値も伝えたい。メニューは、ニューヨークらしい朝食を軸に、日本の旬の食材や伝統料理の要素を随所に取り入れた。

私はこれまで10年以上にわたり、“食”をアートやファッション、クラフトマンシップと重ね合わせて表現してきた。その過程で、“食”の本質的な力を改めて感じ、業界の未来のために自分ができることを模索し続けてきた。日本の食文化の素晴らしさを世界に広めると同時に、料理人の待遇を見直し、マイスター制度のような仕組みを導入すれば、持続可能な形で次世代へと受け継がれていくはず。今回のカフェ監修は、単なるプロデュースにとどまらず、そうした想いを形にする大きなプロジェクトだと捉えている。

「ティファニー」と日本の絆物語

1837年の創業以来、「ティファニー」は日本と長きにわたり豊かな関係を築いてきた。19世紀後半に日本の伝統工芸品を紹介したことをきっかけに、交流はデザインや文化、思想の領域にまで発展していく。その深い絆は、新たに誕生した旗艦店「ティファニー 銀座」にも随所に息づいている。ここでは、ブランドと日本が共に紡いできた軌跡を振り返る。

19世紀から始まった
日本との文化的交流

「ティファニー」と日本との関係は、19世紀後半にまでさかのぼる。1837年、チャールズ・ルイス・ティファニーが米国でブランドを創業したのち、メール オーダー カタログ“ブルー ブック”で日本製品を紹介。早くから日本のモノ作りに着目していた。その精神は、1878年以降、創業者の息子でありアール ヌーヴォーを代表するアーティスト、ルイス・コンフォート・ティファニーにも受け継がれる。彼は日本の自然から着想を得た作品を数多く制作。藤や竹、トンボをモチーフにしたジュエリーやステンドグラスには、日本の美意識と自然への敬意が色濃く映し出されている。

日本との関係において大きな転機となったのは、1972年。東京・日本橋三越本店に日本初の店舗「ティファニー サロン」がオープンする。内装はニューヨーク本店をモデルに設計され、これを機に本格的な絆が築かれていった。さらに74年には、エルサ・ペレッティが「ティファニー」のデザイナーに就任し、その後日本文化との深いつながりを育む。彼女は旅を通じて日本の伝統や職人技に魅了され、漆や絹を用いたジュエリーを制作。代表作である“ビーン”や“オープン ハート”に、漆を何層にも塗り重ねるといった、日本独自の技法を取り入れたデザインを発表した。

日本初の旗艦店が誕生
伝統文化継承の支援で絆を強める

2025:「六月大歌舞伎」にて、八代目尾上菊五郎・六代目尾上菊之助の襲名披露を祝し、貸切公演日には、歌舞伎座の外観がティファニー ブルーにライトアップされた
96年には、日本初の旗艦店となる銀座本店を開業。アールデコ様式のファサードと“アトラス クロック”を模した正面の時計が印象的な建物は、日本市場における「ティファニー」の存在感をより一層高めていった。99年には、東京で初の大規模エキシビション「ティファニー展:その輝きの栄光と未来(1837–1999年)」を開催。ブランドのアーカイブを通じて、卓越したクラフトマンシップと歴史に触れる貴重な機会として、多くの来場者を魅了した。2024年には虎ノ門で「ティファニー ワンダー 技と創造の187年」を開催し、再び日本との文化的な結びつきをたたえた。

また、「ティファニー」は日本の伝統文化の保全にも力を注いでいる。06年からはワールド・モニュメント財団とのパートナーシップのもと、尼門跡寺院の修復プロジェクトに寄付を行った。08年には「ティファニー財団賞―日本の伝統文化の保護と現代社会―」を創設し、地域社会に根ざした活動を継続的に支援してきた。22年、日本上陸50周年を迎えた節目には、ユネスコ無形文化遺産に登録された“金沢縁付金箔製造”の技術を未来へ継承するための職人育成プログラムを始動。日本文化とクラフトマンシップへの深いリスペクトを形にした取り組みとして注目を集めた。

そして25年、銀座6丁目に新たな旗艦店「ティファニー 銀座」が誕生。日本市場における53年の軌跡を象徴すると同時に、ブランドの次なる時代の幕開けを告げる場所となった。開業に先立ち、江戸歌舞伎の名門・音羽屋の襲名披露公演でティファニー ブルーの祝幕を提供したことも、文化的な絆の深さを物語っている。クラフトマンシップ、革新性、そして喜びの提供というフィロソフィーを礎に、「ティファニー」と日本はこれからも時代を超えて共鳴し続けていく。

2025:祝幕には、菊の花と、日本を象徴する太陽をモチーフに採用。ティファニー ブルーから深いブルーへと移ろうグラデーションを背景に、伝統と革新の精神を表現した

“ゼロから新体験を提供できる機会は
滅多にない”

「ティファニー」にとって日本は、クリエイションの源としても重要な存在であり、日本の美意識を体現した作品で長年時代を彩ってきた。1972年の日本上陸以前からの「ティファニー」と日本の絆をどのように体現するのか?“In Love with Japan”をテーマに、アーカイブ ピースやアート作品、「ブルー ボックス カフェ」を盛り込んだアジア最大の旗艦店への思いについて、アンソニー・ルドリュ(Anthony Ledru)=ティファニー社長兼最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

WWD:銀座に新たなランドマークが完成した。なぜ、アジア最大の旗艦店を銀座に構えようと考えたのか?

アンソニー・ルドリュ=ティファニー社長兼CEO(以下、ルドリュCEO):このような規模の旗艦店オープンは、東京でも、近年類を見ないものだろう。だからこそ“エクスペリエンス(体験)のパイオニア”として、「ティファニー」はぜひ挑戦したいと考えた。新たなストア体験が重要性を増し、その流れは日本のみならずアジア各国で顕著になりつつある中、前代未聞のプロジェクトに挑戦したかった。

銀座は東京、日本、そしてアジアの中心。そして日本は「ティファニー」にとって、母国のアメリカに次ぐ世界第2位のマーケット。50年もの長きにわたり関係性を築き、特に(LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンが買収して)新体制になってからの直近4年でも、表参道の旗艦店に代表される多大な投資を重ねている。おかげさまで昨年開催した展覧会「ティファニー ワンダー(TIFFANY Wonder)」は17万人にご来場いただき、日本との絆は年を追うごとに強くなっている。だからこそ、より長期的な、そして永続的な投資を決めた。

幸い、銀座の中心にある角地で、売り場面積は2000㎡を超え、ゼロから作り上げる「ティファニー」のファサードでビル全体を彩ることができる物件に恵まれ、「こんな機会は滅多にない」と4年前から準備を重ねてきた。商品はもちろん、私たちの日本市場に対する“覚悟”を感じていただけると思う。率直に言って、これほど新しく、広く、多面的・多層的で、印象に残るストアが今、日本に存在しているだろうか? 私たちは、それを目指してこの旗艦店を作ったし、そんな存在に押し上げたいと思っている。

WWD:新旗艦店が担う役割とは?

ルドリュCEO:私たちは、この店をカルチャーのハブにしたいと思っている。青木淳がファサードを、ピーター・マリノがインテリアデザインを手掛けているのも、こうした願いの表れ。そこに比類なきアーカイブ、数々のアート、そして庄司夏子シェフが監修する「ブルー ボックス カフェ」を織り交ぜた。アートは、1点1点にストーリーがあり、「ティファニー」とアメリカ、「ティファニー」と日本、「ティファニー」とアートの親密な関係性を物語っている。

“空へと伸びる
ティファニー ブルーのファサードで
皆さんを幸せへと誘いたい”
WWD:新たな旗艦店は、オープン前から日本人も、外国人観光客も驚かせてきた。驚き、興味や関心を抱いた人たちには、店内でどんな体験を提供したい?

ルドリュCEO:天国に誘いたい。青木淳による空へと伸びるファサードは、そんな思いを体現したものだ(笑)。“ティファニー ブルー”は、人々を幸せにする色。そんな色に包まれた店内では、すべてのフロアで人々を驚かせたいと思っている。もちろんニューヨークの五番街のストアとの共通点は数多いが、すべてが同じではない。特に日本のお客さまはアートへの造詣が深いので、それぞれのフロアを飾るアートは厳選した。アートを見にくるだけでも構わない。私たちも、そのつもりでアートを選んでいる。もちろん最終的にジュエリーを購入いただけたらうれしいが、ゲストが新しい体験、五番街のストアでは得られない体験を楽しんでくれたら、まずは大成功と言えるだろう。

日本独自の「ブルー ボックス カフェ」を構えたことで、店内で数時間を楽しく過ごすことができる空間が完成した。五番街のストアでは、「ブルー ボックス カフェ」で小さな結婚式や誕生日パーティーを催すことがある。銀座でも同じようなイベントを企画して、唯一無二の体験を提供したい。その気になれば、ファッションショーを開くこともできるかもしれない(笑)。デジタルサイネージに彩られた階段は、最高のランウエイになり得るだろう。

“「ティファニー」はジュエラー、
夏子はシェフだが、
私たちの哲学には共通点が多い”
WWD:その「ブルー ボックス カフェ」の監修役に日本人女性の庄司夏子シェフを選んだ理由は?

ルドリュCEO:まず「ブルー ボックス カフェ」は、「ティファニー」を「ティファニー」たらしめる唯一無二の財産。映画「ティファニーで朝食を」(1961年)は、アメリカの黄金期さえ象徴しており、ハリウッドにとっても大きな転換点となった作品だ。「ブルー ボックス カフェ」は、そんな真髄をポップな空間で楽しみながら、“ティファニー ブルー”が幸せの色であることも体験できる場所。

夏子は、「カフェの天井に吊るしたブルー ボックスは何個あるのか? 正解できた人にはランチをプレゼントしたら?」なんてジョークを笑いながら提案してくれた(笑)。まさに「ブルー ボックス カフェ」の真髄を会得してくれたと思っている。それに対して私は、「じゃあ、いくつかのブルー ボックスの中にはさらに小さなブルー ボックスを入れて、外から数えただけではわからないようにしなくちゃ」と返したけれどね(笑)。

私たちはジュエラー、彼女はシェフだが、双方の哲学には共通点が多い。彼女の素材選びは、まるでストーンハンター。卓越したクリエイティビティーとクラフトマンシップにより、色鮮やかで見るだけでも楽しい料理を次々と生み出している。特にデザートは光り輝き、まさにジュエリーだ。「ブルー ボックス カフェ」は、世界で5つ。銀座やニューヨークの五番街のように来店数が多いストアに構えているが、何より重視しているのは、「ブルー ボックス カフェ」を体現するような人物と組むことができるかだ。夏子はエッジーで、クリエイティブで、明るく、ちょっぴりクレイジー。まるで(映画「ティファニーで朝食を」で主演を務めた)オードリー・ヘップバーンのようだ。

銀座で提供するフードは、ニューヨークらしく、1950~60年代のムードを醸し出しているが、夏子らしくもある。日本人女性による、日本市場のための「ブルー ボックス カフェ」だ。これこそ、私たちが銀座の新旗艦店で発信し続けたい、「ティファニー」の歴史であり、「ティファニー」と日本の絆だ。

ティファニー 銀座

住所:東京都中央区銀座6丁目9-2
営業時間:10:30~20:30

※営業時間は変更になる場合があります
TEXT : MAKIKO AWATA
DESIGN : DAIKI MIYAZAWA
問い合わせ先
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
0120-488-712