1960年代後半以降のロックミュージックに着想を得たスーツを提案するメンズ・オーダースーツブランド「テーラーガーメンツ(TAILORGARMENTS)」は、3月18、19日に展示会を開催し、25年秋冬の新作を発表する。同ブランドの今期のテーマは、“インプロヴィゼーション(即興演奏)”。高い技術を誇る自社工場で、デザイン、パターン、縫製、仕上げまでを一貫して行う「テーラーガーメンツ」とはどんなブランドなのか。長年スーツの生産管理に携わってきた仕掛け人、築山昌明デザイナーに話を聞き、高い技術と独自の世界観が融合したものづくりに迫る。
創業90年の老舗スーツ企業が立ち上げた
型にはまらないスーツブランド
1 / 3
「テーラーガーメンツ」は、創業90年の老舗スーツ企業トレンザが2022年に立ち上げたファクトリーブランド。エッジのきいたシルエットやデザインで、“スーツ”の枠にとらわれない、新たな日常着としてのテーラードスタイルを発信している。
多くのブランドの生産を担ってきた経験値や、高いテーラリング技術に裏打ちされた美しいシルエットとフルオーダーのような着心地、そして築山デザイナーが吹き込むロックなムードには、ミュージシャンのファンも多く、有名アーティストが舞台やミュージックビデオ用の衣装として採用する。スーツ、ジャケット、コート、ジレなど、約30型の中からさまざまな組み合わせでオーダーできるため、好みによって自由なスタイルを作れるのが魅力だ。
立ち上げ当初はEC限定で販売の予定だったが、関西でポップアップを開催したところ、反響は予想以上。その後開催した「インターナショナルギャラリー ビームス」のポップアップも盛況で、テーラリングを現代的に再構築したデザインがファッション感度の高い来店客の心をつかんだ。「インターナショナルギャラリー ビームス」の鈴木浩矢メンズディレクターは「好きな型と生地を自由に選んで組み合わせられるため、オーダーにハードルの高さを感じるお客さまにも提案しやすかった。ジャケットはリラックスシルエット、パンツはバギーやワイドが圧倒的に人気だった」と話す。今後も、「テーラーガーメンツ」はポップアップや展示会を積極的に開催する予定だ。
築山デザイナーの言葉から紐解く
「テーラーガーメンツ」の哲学
WWD:60年代以降のロックをテーマにブランドを立ち上げた理由は?
築山昌明デザイナー(以下、築山):自分自身が最も影響を受けた60〜70年代のロックの世界観を、長年携わってきたテーラリングのフィルターを通して表現したかった。
WWD:テーラリングでのこだわりは?
築山:大阪府・枚方市にある90年以上続く自社工場でデザイン、パターン、縫製、仕上げまで一貫生産している。歴史の中で培われた技術と、テーラーリングの概念を現代的に解釈した独自の世界観を融合させることを目指している。
WWD:購入者からの反応は?
築山:普段着としてのカジュアル使いから、ビジネスシーン、パーティーシーンまで、さまざまな用途で購入してくれるお客さまがいて、ディテールやシルエットの良さ、生地やスタイリングの自由度を喜んでいただけている。デザインにひかれたが着てみると仕立ての良さに気付くという声も多く寄せられた。
WWD:今後の展望は?
築山:対面でのオーダーのような自由度の高いテーラリングをオンラインで実現するのが「テーラーガーメンツ」の強みだが、今後はECにこだわらず、プロダクトに直接触れてもらう機会を出来る限り作っていく。すでに多くの著名アーティストに着用いただいているが、音楽シーンでの愛用者も増やしていきたい。
25年秋冬のテーマは
“インプロヴィゼーション”
1 / 7
「テーラーガーメンツ」の25年秋冬のイメージソースは、ライブでの即興演奏が生まれた頃のミュージックシーン。サイケデリックなパターンの生地やベルボトムのパンツが、その当時のスタイルを彷彿とさせる。テーマの“インプロヴィゼーション”には、過去のファッションに縛られるのではなく、同ブランドの豊富なデザインと生地のバリエーションの広さを生かし、思いつくままに、自由にスタイリングを楽しんでほしいというメッセージも込められている。
25年秋冬の推しスタイル
25秋冬のテーマ“インプロヴィゼーション”をもとに考案した3ルック。豊かな質感のツイードやサイケデリックなパターンの生地を使って仕立てたジャケットやパンツで、従来のテーラードアイテムの枠におさまらないコンテンポラリーなスタイルを提案する。
「テーラーガーメンツ」は3月18、19日に、代官山ホワイトルームで展示会を開催し、25年秋冬の新作を発表する。同ブランドのこだわりの世界観と高いテーラリング技術を体感できる貴重な機会だ。
開催日時:3月18日(火曜)12:00 〜 19:00 / 3月19日(水曜)11:00 〜 18:00
展示会場:代官山ホワイトルーム
住所:東京都渋谷区恵比寿西1丁目32-4 パームヒルズ代官山1階
※取材、商談を目的としたプレスやリテールの方たちのほか、一般のお客様にもご来場いただけます。